アフガン戦争犯罪を隠蔽し、アメリカの対中国敵対方針に従うオーストラリア
Finian Cunningham
2021年4月15日
Strategic Culture Foundation
アフガニスタンでの戦争犯罪問題は、アメリカ応援団を勤める上で、オーストラリア政府の道徳的信用を落とすとFinian Cunninghamは言う。
オーストラリア特殊部隊が行ったアフガニスタンでの戦争犯罪とされていることの衝撃的調査が発表されて、ほぼ5カ月後、キャンベラ政府には、加害者のいずれにも、法の裁きを受けさせる意図がないことが明確になっている。
昨年11月、多数のオーストラリア特殊部隊員が、子供を含め、アフガニスタンの村人や抑留者の違法殺害に関与していたことを見いだした、ブレレトン報告として知られている、長く待ち望まれていた内部調査が公表された。この報告書は、39件の殺人事件に限定しているが、オーストラリア部隊が行った戦争犯罪の実際の数が、ずっと多いことを示唆している。彼らは、いくつかの他のNATOや非NATO諸国とともに、アメリカが主導する戦争の一環としてアフガニスタンに配備された。
ブレレトン報告が発表された際、オーストラリアの著名人が多くの苦悩や恥ずかしさを表明した。だが、軍要員に刑事訴追を起こす目的で、オーストラリア政府が設立した特別調査員事務所は、脇に追いやられたように思われる。実際、新たに任命されたオーストラリアピーター・ダットン防衛大臣と彼の補佐は、最近、軍人に責任をとらせる上で、ブレレトン報告は重要ではないというメディア・キャンペーンを始めた。
皮肉にも、問題全体で起訴に直面している唯一の人物は内部告発者デイビッド・マクブライドだ。この前オーストラリア国防軍弁護士は、最初に、戦争犯罪問題に注目を促した機密情報を違法に公開したかどで告訴された。彼は、もし有罪と裁決されれば、最高50年の禁固刑に直面する。
マクブライド(57歳)は、オーストラリア軍による違反の多くが起きた期間、2011年と2013年の二度、アフガニスタンに配備された。部隊に対する犯罪の申し立てに気付いて、彼は、ことを上級指揮官に知らせようとしたが、そうするのを阻止されたと言う。2014年-16年、マクブライドは、アフガン・ファイルとして知られるようになったものを、恐ろしい殺害を詳述するいくつかの報告を放送したオーストラリアのメディアに漏らし始めた。世の議論が、ポール・ブレレトン少将率いる完了に四年を要した調査を促した。
本質的に、ブレレトン報告はマクブライドが発表したことを裏付けている。アフガニスタン一般人に対しオーストラリア特殊部隊が行った複数の戦争犯罪があった。それら犯罪には、被害者の死体冒とくに加え、緊急捜索の際の冷酷な非武装の村人の銃撃がある。
ところが、警鐘を鳴らす彼の勇気のために、デイビッド・マクブライドは残りの人生を終身刑で終わらせるよう官憲に脅迫されており、理由がない殺人を犯したオーストラリア奇襲隊員は自由なままで、一部は過去の奉仕のかどで勲功を与えられ、他の連中は現役軍人であり続けている。
マクブライドの運命には、もう人のオーストラリア人内部告発者ジュリアン・アサンジのそれと、紛れもない類似性がある。アフガニスタンとイラクでアメリカ軍が行った無数の戦争犯罪をあばいたのは、アサンジと彼のウィキリークス・サイトだった。現在、アサンジ(49歳)は、アメリカへの犯人引き渡し裁判を受け、イギリス最高警備刑務所の独房監禁に投獄されている。引き渡されれば、アサンジはスパイ活動の罪で禁固170年の刑に直面する。彼の事件は、法的起訴でなく、政治迫害であることにほとんど疑いない。
アサンジは彼の引き渡しを巡りイギリスで投獄されているが、オーストラリア政府は自国民の一人の権利を弁護する関心をほとんど示していない。スコット・モリソン首相は、その「犯罪」が、アメリカ軍が行った凶悪犯罪について真実を話しただけの内部告発者に対する非人道的な取り扱いに反対する世界中の大衆抗議にもかかわらず、寛大さに対して、ワシントンにどんな公式要求もしていない。
デイビッド・マクブライド事件は、ジュリアン・アサンジの苦境に対するオーストラリアの公式無関心を説明している。つまり、オーストラリア当局は、アフガニスタンでの戦争犯罪に対する責任共有という点で、彼ら自身、どっぷりつかっているのだ。キャンベラの軍幹部や政界実力者が、それを知ることなしに、オーストラリア軍が、この殺人騒ぎを続けることができたとは信じ難い。これが、オーストラリア当局が、刑事訴追を続けずに、この問題を葬り去るのに懸命な理由だ。このようなもみ消しが、過去の、そして、おそらくは将来の戦争犯罪に免責を与えることになるにもかかわらず。
明らかに、オーストラリア政治家にとっての優先課題は、誰も彼らのように真実を語ったり国家的犯罪暴露をしたりの繰り返しを決してあえてしないようにすべく、デイビッド・マクブライドやジュリアン・アサンジのような内部告発者を刑務所に入れることだ。
オーストラリア支配層にとって、もう一つの主要な関心事は、ワシントンとアメリカの中国に対する地政学的敵意の狙いで、良い印象を与えることだ。アフガニスタンでの戦争犯罪隠蔽は、その間、43,000人以上のアフガン国民が殺されたと推定される血まみれの20年侵略戦争犯罪全体をごまかして、ワシントンに、大いに役立つのだ。
キャンベラ当局が、彼らの軍隊がアフガニスタンで行った戦争犯罪の不名誉について、オーストラリア国民に、くよくよ悩ませないことも非常に重要だ。そうすれば中国に対するアメリカの敵意キャンペーンを強化する政府の努力を傷つける。オーストラリア政治家は、中国を悪質な貿易行為と人権侵害のかどで告発して、中国に対するワシントンのけんか腰の態度を、おうむ返しにしている。キャンベラは中国に嫌がらせし、最終的に攻撃するため、アメリカの戦略的軍事投影地点になると申し出て、ワシントンと完全な同一歩調で、陣太鼓をたたきつけている。
だがアフガニスタンでの戦争犯罪問題は、アメリカ応援団を勤める上で、オーストラリア政府の道徳的信用を落とす。それ故キャンベラがデイビッド・マクブライドとジュリアン・アサンジのような正直者とともにその問題を隠蔽する最高の必要。
Finian Cunninghamは主要報道機関の元編集者・記者。国際問題について多く書いており、記事は複数言語で刊行されている。
個々の寄稿者の意見は必ずしもStrategic Culture Foundationのものを意味しない。
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日本の未来図?
福島第一原発汚染水を放流し、アメリカの対中国敵対方針に従う日本
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パンケーキならまだしも?ハンバーガーで日本丸ごと醜の御盾にさせられる。パシリとは言え悲しいもの。
ウイグル人権問題を大本営広報部は報じるが、自国内での入管による人権無視やニチイのフィリピン女性雇用打ち切りは知らんぷり。
話題をまとめた下記番組、1時間41分あるが、中身は濃い。
「失敗ばかりの吉村知事なぜテレビは有難がる?」「汚染水海洋放出いくつも他の方法がある」「日本の難民制度」「フィリピン女性の雇用打ち切り」「BIG ISSUE」
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視聴URL: https://www.youtube.com/user/IWJMovie/featured【IWJ・Ch5】17:00~「声明『日本学術会議会員候補6名の速やかな任命と政府の権力介入の撤回を求めます』の発表について記者会見 ―登壇:池田香代子氏(翻訳家)、井上淳一氏(脚本家、映画監督)ほか」
視聴URL: https://twitcasting.tv/iwj_ch5
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