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2021年3月18日 (木)

ミャンマーに対する欧米の身勝手な懸念

Finian Cunningham
2021年3月14日
スプートニク・ニュース

 国連安全保障理事会の欧米三大国は、ミャンマーでの人権侵害の懸念を強調している。だが彼らの「懸念」は、中国にとって問題を起こす身勝手な動機があるように思われる。

 先週、安全保障理事会はミャンマーの軍事政権による一般人に対する暴力を非難する声明を発表した。2月1日に、軍が文民政府を打倒し、権力を掌握して以来、このアジアの国は混乱に陥っている。

 選挙で選ばれた政府の復帰を要求する非武装抗議行動参加者への兵士による発砲で、60人以上の一般人が亡くなった。政治的指導者を含め、最少1,500人が拘留されている。

 ビルマ(今のミャンマー)の元宗主国イギリスと、更にアメリカとフランスも、安全保障理事会が、軍の権力奪取と一般人に対する暴力を非難するよう要求している。先週、欧米諸大国は、この非難の共同声明に中国を参加させることに成功した。

 これまで中国は、欧米諸大国によって、北京がその権力略奪に大義名分を与えたと非難された後、ミャンマー軍を支持したと非難された。

 中国は世界貿易のための一帯一路構想で、ミャンマーを主要ノードにするため何十億ドルも投資している。ミャンマーには、インド洋から800キロ以上、中国本土内に天然ガスと石油を輸送する二本の中国パイプラインの通過を認めている。鉄道輸送と深海港の意欲的プロジェクトも進行中だ。

 2011年に、軍事政権が権力を移譲し、選挙を認めた時に樹立されたミャンマーの文民政府と、北京は良い関係を持っていた。意欲的プロジェクトの多くが、この選挙で選ばれた政治家と交渉したものだ。軍が文民政府を追いだしたのを中国が快く思っていないと言って良いだろう。国の不安定は、中国のエネルギー供給と貿易のために重要なインフラへの何十億ドルもの投資を危険にさらす可能性があるのだ。

 それが中国がミャンマーに対し不愉快な立場にあるのを欧米諸大国が楽しんでいる理由だ。

 北京が早い非難に参加したがらなかったのを、イギリスとアメリカが強調した。それによる悪評は、ミャンマーの抗議行動参加者を、怒りで中国を標的に動員するのに役立った。ロイター報道によれば、中国のエネルギー・パイプラインや他の事業権益に対する破壊工作をするという脅迫がおこなわれている。

 これが国連安全保障理事会による非難の共同声明を発表するよう、中国が強いられた理由なのは疑いようがない。イギリス国連大使バーバラ・ウッドワードは、将来立案され、中国(とロシア)が支持するよう期待される一層攻撃的声明があるだろうと述べた。

 これは非難を利用した身勝手な政治だ。戦略的な経済的権益のため、ミャンマーで中国を身動きできなくさせているのを欧米諸大国は分かっている。もし中国が非難しなければ、ミャンマーの抗議行動参加者の怒りを、インフラ破壊に向けることが可能だ。中国が非難すれば、ミャンマー軍指導者との関係は悪化する。欧米諸大国は万力のような立場を強化しているように思われる。

 バイデン政権は、前のトランプ政権より更に、中国との地政学ライバル関係を強化しているのを極めて明確にした。ワシントンはグローバル・パワーとしての中国の勃興を抑えたいと望んでいる。ミャンマーに標的を定めれば、アメリカと西洋同盟諸国は、儲かる貿易と景気拡大のための中国新シルク・ロードの重要ノードに損害を与えることができると計算しているのだ。

 かつてのビルマで三回の植民地戦争を戦い、何十年間も無慈悲に、このアジアの国を搾取したイギリスは、ミャンマーの民主主義と人権に「懸念を持つ」資格が最も無い国だ。

 もし欧米諸大国が本当に高潔な懸念を持っているなら、彼らは、なぜ世界の他の場所での遥かに気がかりな侵害に対して非難声明を出さないのだろう?

 欧米諸大国の全くの二枚舌は、彼らのミャンマーについての「懸念」が、彼らが中国に対して使おうとしている身勝手な政治的武器であることを示している。

 Finian Cunninghamは、国際問題について多く書いており、記事は複数言語で刊行されている。彼は農芸化学修士で、ジャーナリズムに進むまで、イギリス、ケンブリッジの英国王立化学協会の科学編集者として勤務した。彼は音楽家で作詞作曲家でもある。20年以上、ミラーやアイリッシュ・タイムズやインデペンデント等の大手マスコミ企業で、編集者、著者として働いた。

記事原文のurl:https://sputniknews.com/columnists/202103141082338147-wests-cynical-concern-for-myanmar-/

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