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2021年3月19日 (金)

(再び)ウクライナは戦争の瀬戸際にあるのだろうか?

2021年3月10日
The Saker

[本分析はUnzレビューのために書かれた]

 数週間前、私はウクライナと、実際、この地域の全ての国々に大きな脅威となっている多くの進展を列記した「ウクライナの多くのカチカチ時を刻んでいる時限爆弾」(英語原文)という記事を書いた。短期間に、状況はどちらかと言うと劇的に悪化した。そこで私は起きていることの要約から始めよう。

 第一に、ウクライナ政府と議会は、事実上、ミンスク合意は死んでいると宣言した。本当のことを言えば、これらの協定は死産だったが、皆がまだ何らかの交渉による解決のチャンスがあるふりをしている限り、彼らは「戦争抑制剤」の役をしていた。この戦争抑制剤が取り除かれた今、状況は前より遥かに爆発しやすくなる。

[補足:ミンスク合意の問題は、実に驚くべき欧米の偽善を表面化させた。ロシアは、これら合意(ロシアは当事者としてではなく、保証人として署名した)の当事者ではなかったが、欧米は、皆が、様々なネオナチの動きへの恐怖から、これらの協定を実行することができなかったウクライナのせいだったのを知っていた事実にもかかわらず、これらの合意を「実施」しなかったかどでロシアの責任にすることに決めた。これほどの「大胆不敵な」欧米による偽善は、ロシア内の政治情勢に大きな影響を与え、更に、そもそも、決して交渉による解決が可能だとは信じなかったロシア人の立場を強化した。その意味で、これら合意は欧米の道徳的堕落の深さを示し、クレムリンにとっての大勝利だった]

 第二に、「バイデン」政権が、オバマ時代の、あらゆる最悪のロシア嫌いの名士録なのは、かなり明白だ。ヌーランドやサキや、その他大勢が、公然とロシアとの対立激化を望むと言っている。ネッド・プライスのような新入りでさえ明らかに狂気じみたロシア嫌いだ。キエフの連中は、即座に彼らの悪い昔のご主人がホワイトハウスに戻ったことを理解し、彼らも、この新しい(本当にそういうわけではないが)現実を彼らの言葉に取り込んでいる。

 最終的に、最も不吉なことに、ウクライナ軍が重装備部隊を境界線に移動している明らかな兆しがある。ここにマリウポリ市で撮影された動画の例がある。

 戦車の外に、境界線に向かって東へ移送される多連装ロケットシステムや戦術的弾道ミサイルを含む他の重火器に関する多くの報告がある。言うまでもなく、ロシア参謀本部は、ルガンスク・ドネツク人民共和国諜報機同様、非常に慎重に、これら全ての動きを追跡している。

 この全てが、ゼレンスキーの人気が自由落下する中で起きている。実際は彼だけではない。お考え願いたい。バイデンはアメリカで選挙を盗み、7000万人の「みじめな連中」に対処しなければならず、EUリーダーは、多くの極めて厳しい危機(移民、犯罪、COVID封鎖、wokeイデオロギーなど)に直面している。彼ら全員、民意が欧米社会が直面する本当に重要な問題に焦点を合わせるのを阻止するため、何らかの「目をそらすもの」を必死で求めているのだ。

 このような「目をそらすもの」は一体どんなものだろう?

 第一段階:きっかけ

 ウクライナが、ただドンバスを攻撃するというのはありそうもない。キエフは「我々は侵略国の被害者だ」言説に固執する必要がある。だが過去の行動が未来の行動の最良予想材料の一つだとすれば、何が起きる可能性が高いか直ぐにわかる。

 三隻のウクライナ海軍艦船が、どのようにクリミア大橋の下に無理やり侵入しようとしたか覚えておられるだろうか?キエフがクリミア半島に潜入させようとしたウクライナ・テロ集団はどうだろう? 最終的に、ノボロシアで、ウクライナ特殊部隊によって実行された多くのテロ攻撃もある。ウクライナ特殊部隊(SBUと軍)が、ドンバス、クリミア半島や、ロシア国内でさえ、陽動作戦作戦を行っているというのが真実だ。

 今、双方(キエフとLDNR)が公式に、彼らの部隊に、どんな挑発や砲撃に反撃する許可を与えたと宣言した。いずれ側にとっても、何らかの挑発を画策し、そこで、攻撃されていると主張し、「我々は侵略者から我々を守らなければならない」と宣言すると主張するのがどれほど容易か想像願いたい。

 それゆえ、最もありそうなシナリオは、ウクライナ軍による何らかの挑発と、それに続く「防衛的な反撃」だ。

 第二段階:攻撃

 過去数年、ウクライナ軍は、装置/金に関しても、訓練に関しても、欧米から非常に多くの援助を受けてきた。更に、数値上、ウクライナ軍は、LDNR軍を合わせたものよりずっと大きい。だが、LDNR軍が過去の栄光に満足して精進を怠り、能力の質的向上を実現するために、本当に一生懸命働いていないと想像するのは間違いだ。

 ウクライナ政府は、再度の動員(過去、そうした動員は何度もあったが、本当に成功した動員は皆無だ)に取り組み、国での混乱を考慮しているが、以前のものよりうまく行くことはありそうにない。もし多少「計算」したいと望むなら、キエフが理論的に約300000人の兵士を動員でき、LDNRの常備兵は、約30000人で(これは動員前の常備軍だ)だと言うことができる。だが、LDNR軍が自身の土地のため、自身の家族と友人の防衛で戦う100%プロの志願兵なのに対し、ウクライナ軍は、主に徴集兵なのを考慮に入れなければならない。これは大きな違いをもたらす!

 そのうえ、全ての「計算」同様、この純粋な数の比較は、完全に的外れだ。要点は、LDNR軍が、遥かに良く訓練され、装備され、指揮され、士気が高いことだ。さらに、LDNR軍はウクライナ・ナチ攻撃に対し、何年も準備しており、実際、境界線の両側が今大いに強化されている。それでも、この全てにもかかわらず、LDNRには大きな弱点がある。戦略(さらに作戦)深度がないのだ。更にまずいことに、ドネツク市は文字通り前線にある。

 ウクライナ軍は、LDNR防衛を「貫通」できるのだろうか?私としては、これは不可能ではないと言いたいが、「不可能ではない」というのは、迅速に介入し、ウクライナ軍によるそのような突破作戦を阻止するためのロシア軍による多くの準備を必要とするほど十分深刻だ。ロシア軍はこのような攻撃を止める手段を持っているのだろうか?

 イエス、絶対に。そもそも、LDNR全土が、文字通り、ロシア国境のすぐ先にあり、どんなロシア兵器システムでも、LDNRのみならず、ウクライナの戦術、作戦、更には戦略深度を超えて「達する」のが可能なことを意味する。ロシアは、防空システムと電子戦システムの組み合わせを使って、LDNRに、典型的な接近阻止・領域拒否(A2/D2)「ドーム」を設定できる。ロシアのロケットと大砲システムは、対砲兵射撃のみならず、攻撃するウクライナのサブユニット破壊のために使うことも可能だ。最終的に、クリミア半島のロシア軍と黒海艦隊も、必要とあらば参加可能だ。ロシア沿岸の防衛体制(BalBastion)は全黒海を「封鎖」できる。

 ロシアにとって最大の問題は、ヨーロッパで強い政治的危機を引き起こさずには、そのいずれもできないことだ。アントニー・ブリンケンやネッド・プライスやジェーン・サキの類が、このようなロシア介入に一体何と言うか想像願いたい!彼らは、その逆なのに、ロシアがジョージアを攻撃したと非難した連中なのだ。我々全員、今や事実ではなく「大いにありそうな」「真実後」時代に暮らしているのだ。

 ドンバスに対するウクライナ攻撃の本当の狙いは、地域を再び征服することではなく、ロシアに、公然と、従って否定し難く介入するよう強いることだと私は何年もの言ってきた。これは2014年以来ネオコンの夢で、それは依然ウクライナにおける彼らの究極の目的だ。するとロシアの反撃は、どんなものだろうか?

 第三段階:ロシアの介入

 最初に、この質問をさせた頂こう。約400000人のLDNR国民が、既にロシア・パスポートを持っているのをご存じだろうか?それは多いだろうか? LDNRの総人口は、370万人なので、これは人口の10%以上だ。これは二つの理由で極めて重要だ。最初に、これらロシア市民を一種の仕掛け線とみなすことができる:彼らの多くが殺されたら、プーチンは彼らを守るためには、介入以外他のどんな選択肢もなく、実際プーチンは何度も、ウクライナが、武力でノボロシアを占領した、住民を皆殺しにしたりするのを決して許さないと明言している。第二に、自国民を守るために軍事力を使う国々の多くの先例(主に欧米諸国)がある。例としては、グレナダとパナマ両方でのアメリカ、キプロスとシリアでのトルコ、多くのアフリカ諸国でのフランスがある。

 次に、純粋に軍事的に、ロシアは地上軍を派兵せずに、いかなるウクライナ攻撃でも混乱させ、止めるために使える大量の遠隔攻撃兵器を持っている。それだけではなく、ロシアの反撃は、前線に限定されなくとも良く、ロシアは戦略深度でさえ容易にウクライナを攻撃可能で、ウクライナがそれを防ぐためにできることは全く何もない。それでも、前線での困難な防衛的作戦によって疲弊するLDNR部隊を救援する必要性が主な理由で、ロシアの反撃は遠隔攻撃兵器に限定されると私は思わない。言い換えれば、今回の場合、ロシアはわざわざ関与を否定しようさえするまい。今現在これは徒労で、非生産的だ。

 欧米は「保護する責任」(R2P)のような概念が好きだ?結構!それならロシアも、それを使える。

 もちろん、私は欧米人が、公正や先例のような概念で説得されると信じるほど、うぶではない。だが、クレムリンは、この主張を、欧米の本当の意図について、ロシア国民を更に教育するのに使うだろう。これは(2121年がロシアの)選挙年なので、プーチンにとって特に助けになる、これは更に親欧米野党勢力(明白な理由で)や、ドンバスを救う軍事介入を支援する以外どんな選択もない反欧米「愛国的」野党勢力さえ弱めるだろう。

 第四段階:帝国の反撃

 欧米の誰かが自殺するため志願し、ウクライナやロシアに対する軍事介入を支持すると私は一秒たりとも信じない。NATOは「見せ掛けの」軍事同盟だ。実際は、それはヨーロッパを支配するためのアメリカの道具だ。そう、歴史的にNATOの口実は、ソ連、今はロシアの想定される脅威だったが、NATOの本当の理由は、常にヨーロッパ大陸支配だった。欧米の誰も、東ウクライナでの(比較的小規模な)ロシア軍事介入に対して、対ロシア全面戦争の危険を冒す価値があるとは思わない。だがロシアが介入したことが否定し難くなれば(クレムリンはわざわざこれを否定しようさえするまい!)、帝国を運営する多国籍帝国幹部は、これをヨーロッパにおけるロシアの立場を弱める重大な危機を引き起こし、大陸に対するアメリカ支配力を大いに強化する本当に歴史上の機会と見るだろう。

 我々全員、欧米政治家と売女マスコミが、ドンバスで(全く偽りの)ロシア介入をどのように発明したか、彼らがどのように「ミンスク協定を実行しなかった」という理由でロシアを「罰する」と言ったかを見ている。我々は、ロシアが実際に、非常に公然と介入した途端、これらのロシア嫌いの絶叫が、どれぐらい耳障りでヒステリックになるか想像できる。再び、もし過去の行動が未来の行動の最良予想材料なら、我々は欧米政治家が常にすることをするだろうと確信できる。紛争を、できる限り悪化させ、引き延ばすが、直接ロシア攻撃はしないのだ。それがAnglioZionistsに砲弾のえじきを提供するためのウクライナ軍の目的だ。

 第四段階 頂点:あり得るウクライナ・ナチス反撃

 間違いない。「Ze」も、ラダ(国会)の他のピエロ連中も軍指導者ではない。ウクライナ軍司令官連中さえ本当に第三級だ(優秀な連中全員辞めたか、首にされた)。キエフの連中の第一関心事は、作戦地域から欧米「顧問」を安全に避難させること、次に自身と連中の金を隠すことだ。戦闘神経症でのドタバタや、素晴らしい兵器に関するあらゆるだぼらにもかかわらず、ウクライナ軍は、48時間以上、組織的な戦闘部隊として存在しえないだろう。私が先に言及したように、ロシアは、LDNRのみならず、東ウクライナ全体さえ容易に飛行禁止区域を課すことができる。ロシアは基本的に国中で電源を切ることができる。2018年、プーチンが、ウクライナの本格的攻撃や挑発は「ウクライナ国家全体に対し非常に重大な結果を招く」と発言したのは実にもっともなのだ。

 それでも、モスクワにとって、なんらかの本物の頭痛を引き起こすウクライナ・ナチの可能性を無視するのは極めて危険だ。どうしてか?

 例えば、ウクライナが、在モルドバ共和国沿ドニエストル地域ロシア軍作戦集団(OGRF)に対する攻撃で脅かすのを無視できない。これはロシアから遠く離れ、敵対的な連中に包囲された小部隊だ。チラスポリはドネツクから約600キロ西であるのを念頭において頂きたい!それだけでなく、モルドバがNATO加盟国ではなくとも、ルーマニアはそうなのだ。モルドバの現在の大統領マイア・サンドゥはルーマニア人で極めて反ロシアだ。だが、この全ては本当だが、私はもう一つの事実を念頭におくことも重要だと思う。モルドバの首都キシナウはクリミア半島から約300キロしか離れていない。だからモルドバ全土が、ロシアの遠隔兵器の射程範囲内、即応機動部隊の範囲内だ。モルドバにとって、沿ドニエストル共和国でOGRFを攻撃するどんな考えも本当にばかげているが、キエフの死に物狂いのウクライナ・ナチ政権にとって、ロシアに対する敗北よりましかもしれない。

 もちろんウクライナ・ナチ政権には「威厳の革命」以来、キエフに本当の動作主性はない。ウクライナに関する全ての決定はキエフのアメリカ政府と、その手先によって行われる。だから我々が問うべき質問は、こういうことだ。更に紛争を広げて、沿ドニエストル共和国で、ロシアに介入を強いるよう、ホワイトハウスのネオコン狂人が、キエフでウクライナ・ナチス政権を扇動しかねないだろうか?

 欧米で一部の、ロシアでは少数の評論家が(そのようなものがあるとして)「バイデン」計画は、ロシア周囲のあちこちの場所で、同時に危機を引き起こすことのはずだと示唆している。ドンバスだけでなく、黒海、そして/またはアゾフ海、ジョージア、ベラルーシ、沿ドニエストル共和国、アルメニアなどで。帝国は、シリアのロシア軍に対する飛行禁止区域を設定するヒラリー・クリントンの計画に戻ると決めるかもしれない。私には、これが今ロシアにとって、大きな脅威だという確信はない。例えば、ロシアが軍管区に分かれている良い理由がある。戦時、各軍管区は、独立して戦うことが可能な独立した戦線となり、他の戦線を支援し、ロシア軍の戦略能力によって支援されるのだ。言い換えれば、ロシア軍は近隣諸国での、複数の主要な同時危機あるいは紛争さえ対処できるのだ。ヒラリーのシリア飛行禁止区域は、CENTCOM基地の全てが、(イランとロシア)二重の十字照準線の対象である否定し難い現実を考えると、アメリカがこのような危険な動きを試みる可能性はありそうもない。

[補足:反プーチン宣伝屋が、ロシアとイスラエルが共謀しているとか、プーチンはネタニヤフの親友だとか、我々を説得しようとしている事実を私は重々承知している。私は既に、このばかげたことを数回取り上げており(ここここここここここをご覧願いたい)、私はここでその全てを繰り返さない。私はただ a)シリアのロシア防空システムは、シリア領空ではなく、シリアのロシアのタスクフォース防衛が任務で、b)シリア防空システムは、イスラエル・ミサイルを撃墜する素晴らしい仕事をしていると言っておこう。これらのシリア防空システムは、イスラエルに、さほど防衛されていない、従ってそれほど貴重ではない標的(シリアとイラン間の国境警備など)を攻撃するよう強いており、c)ロシア航空宇宙軍が、シリア領空から、イスラエル航空機を追いしている多数の報道があり、大事なことを言い残したが、d)イスラエル攻撃は、イスラエルの士気と宣伝目的(「無敵の」IDF!)に良いのは確かだが、重要なのは、それは地上では、全くいかなる差異ももたらしていないことだ。近い将来、私は、ロシアがイスラエルに売られているという、これらのうわさが、国内でプーチンを弱体化させるアメリカ心理作戦の一環であることを示す分析を書きたいと思っている。乞ご期待]

 これらの理由からで、私は、帝国が、終始アメリカ/NATO軍を、そういう動きから、しっかり離しておきながら、ロシアとの公然の紛争に、ウクライナを押しやるだろうと私は考えている。実際、アメリカ/NATOの観点からすれば、ロシアが公式にロシア軍が、ウクライナ攻撃を止めるために介入したことを認めた瞬間、攻撃の主目的は達せられるのだ。全ヨーロッパが満場一致で、全てロシアとプーチンのせいにするだろう。それは、更に順、ウクライナや東ヨーロッパの他の国々で治安情勢の劇的悪化をもたらすだろう。(熱い雰囲気の)新「冷戦」が東西関係における決定的要因になるだろう。NATOは「ロシアを排除し、アメリカを引き止め、ドイツをおさえこむ」という古い信条を蒸し返すだろう。

 第五段階:終戦後の状況

 再び、もし過去の行動が未来の行動の最良予測資料なら、ロシアは、2008年8月8日、NATOに支援されたジョージアに対する5日間戦争(実は3日のみ)でしたように、多くのことをすると予想できる。例えば、ロシア軍が実際停止すると決めた場所(現在の境界線沿いの可能性もあり、占領しているウクライナ・ナチ軍からドンバスの完全解放を含む場合もあり得る)がどこであれ、これは短期戦(とにかく長い戦争は主として過去のものだ)だろう。ウクライナ軍は徹底的に破壊されるだろうが、(彼らが、08でトビリシ占領を思い止まったのと全く同様)、ロシア軍は主要ウクライナ都市を占領するまい。2015年に、あるLDNR士官がインタビューで言ったように「我々が西に行けば行くほど、我々は解放者として見られず、占拠者と見られるようになる」。彼は正しいが、ここにはずっと重要なことがある。ロシアは、ほとんど完全に産業力を失ったウクライナを再建する余裕がないのだ。彼らの管理者連中のプロパガンダにもかかわらず、ウクライナは既に破綻国家で、既に何年も、そうなのだ。ロシアは、この破綻国家から得るものは皆無だ。絶対に何も。ロシアが今一番したくないのは、あらゆる種類の新ナチ国家主義反乱部隊と戦いながら、ウクライナ国家と経済を復活させる同時の取り組みに、はまり込むことだ。

 もし彼らが戦いに参加すれば、ウクライナ黒海艦隊とウクライナ空軍両方消滅するだろうが、ロシアはウクライナ海岸線への強襲揚陸はするまい。

 道義的、歴史的理由から、ロシアが、少なくともウクライナ東部とウクライナ南部(マエウポリからオデッサまでの地域)を解放するのを望む人々がいる。私は断固反対だ。「プーチンが来て秩序を復活させる」と言うのは非常に素晴らしく、格好良いが、ウクライナ人は、彼ら自身で解放すべきで、ロシアが彼らを解放するのを期待してはならない。ロシア世論調査が、大半のロシア人が、戦争(あるいは長引く占領)に断固反対で、南ウクライナの人々が、ロシア軍に解放されるのに必死な兆しもない。ナチの腐敗からウクライナをロシアが殺菌するという観念自体、実際は根拠のないイデオロギー的概念だ。キエフやドニエプロペトロフスクでロシア戦車をまだ夢見ている人々は、ひどく失望するだろう:それは起きるまい。

 だから、この戦争の終わりに、ウクライナ国家が、ずっと弱いものであれ、まだ存在するだろうと私は予想する。更に、もしウクライナ軍がノボロシアを攻撃すれば、ロシアは08でしたことを繰り返し、何らかの長期的統合計画で、LDNR共和国を承認するだろうことはほぼ確実だ。社会不安や蜂起さえ、東でのみならず、ウクライナの南と西で起きそうだ。言うまでもなく、EUとNATOは狂乱状態に陥り、更にもう一つの「カーテン」(おそらく「(豚脂身の塩漬け)サーロのカーテン」)が再びヨーロッパ大陸を分け、英語圏諸大国が大いに喜ぶだろう。その過程の終わりに、バンデラスタン風ウクライナは分裂して、常に、より力があり、より良く組織化された隣国の影響を受ける、より御しやすい塊になるだろう。

 ロシアは、すっかりうんざりして、欧米から顔をそむけ、中国やゾーンBの他の国々と共に多極世界を発展させ続けるだろう。

 結論:瀬戸際から再び戻れるか?

 実は、上のもの全て、単に私の憶測に過ぎず、この戦争が本当に起きるかどうか、もし起きたら、どのように展開するか誰にもわからない。戦争が最も予想困難な出来事で、それ故、多くの戦争で、始めた側が破れている。私が上に示したものは、遥かに多くのものごとの中での、一つのあり得る状況だ。前回、ウクライナ攻撃が差し迫っているように思われた時、エスカレーションを止め、キエフに攻撃しないよう説得するのに必要だったのは、「ウクライナ国家全体にとっての非常に重大な結果」に関するプーチンの言葉だった。今回の場合、ロシアは、こうしたどの恫喝もしていないが、それはロシアが、とにかく恫喝の繰り返しを信じていないためだ。

 本記事を書いている中、ウクライナ軍部隊と親LDNR部隊間で本格的な衝突がおきている。双方が小火器、擲弾発射筒や大砲を使っている。ある情報に詳しいブロガーによれば、キエフの彼の情報提供者は彼にこう語っている。

「すこし前、年老いて、もうろくしたバイデンのオフィスから、ウクライナ軍をドンバス攻撃に準備させ、ホワイトハウスの最終承認を待てという命令が来た。同時に、この情報筋は、ドンバスから衆目をそらし、ドンバスに対するどんな支援も弱めるため、ロシアの権益がある他の国々でも類似の軍事行動が行われるだろうと言った」。

 親ウクライナ派評論家を含め、マエウポリ東の前線近くで見られたロシア傭兵についてのうわさを広める、実に多くの投稿がTelegramにある。既に情報戦が始まったと言える。この戦争が現実になるかどうかは、時間がたてばわかるだろう。だが今我々は「万事準備完了」のように見える。

The Saker

記事原文のurl:https://thesaker.is/is-the-ukraine-on-the-brink-of-war-again/

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