イランに圧力を与えるはずのNATOのイラク派兵は逆に人質になるだろう
2021年2月20日
Moon of Alabama
アメリカは、NATO部隊で包囲することで、イランに対する圧力を増している。
木曜日、NATO防衛大臣の会談後、NATO事務局長イェンス・ストルテンベルグはイラクのための、より大規模な占領軍を発表した:
今日、我々はイラクにおけるNATOの訓練任務を拡大することに決めた。テロに対して戦うイラク軍を支援し、ISISが戻らないよう保証するためだ。
我々の任務の規模は人員500人から約4,000人に増加する予定だ。訓練活動は、今後、より多くのイラク治安機関とバグダッドを越えた地域を対象にする。
我々の駐留は状況次第で、兵隊数の増員は漸進的だ。
我々の任務はイラク政府の要請によるものだ。それはイラクの主権と領土保全を完全に尊重し行われる。
私は今週アル・カディミ首相と話し、全てイラク当局と十分協議の上で行うと保証した。
この考えがアメリカ由来なのは確実だ。
今週早々、アメリカの幹部国防官僚が匿名を条件に、国防総省指導部は「非常に熱心で、NATOのイラクに対する注力の強化を歓迎している」と記者団に語った。
アル・カディミは60億ドルの新規IMF融資を求めた弱い首相だ。アメリカは、これにつけこんで、「逐次的」NATO占領軍の要請をさせたのだろう。
アメリカによるガーセム・ソレイマーニーとアブ・マハディ・アル・ムハンディス暗殺後、2020年1月、イラク議会は全ての外国軍隊に国から撤退するよう定める決議を採択した。アメリカはそれを無視した。その時イラクのレジスタンス戦士がアメリカが占領する野営地にミサイルを発射し始めた。今週早々ロケット弾幕がエルビル米軍基地を襲った。
2014年から、イラクが武装集団ISIL(ISIS)と戦うのを支援したアメリカ率いる連合の一部として派遣された外国軍隊を擁するエルビル空港内の主要軍事基地を砲弾の一斉射撃が標的に定めた。
だが火曜日早々、ロケットは外国人民間請負業者一人を殺害し、アメリカ兵を含め、少なくとも9人を負傷させ、都市北西部の至る所を攻撃した。
・・・
自身をアウリヤ・アル・ダム、つまり血の守護者と呼ぶ正体不明の集団が実行したと主張し、イラク「占領」アメリカ軍を攻撃し続けると述べた。攻撃はイラン支持派のシーア派民兵が実行しているとされ、2019年からイラクの欧米軍事施設や大使館に向けられている一連の類似の事件後、ほぼ二カ月で初めてのものだった。
少なくとも2.500人のアメリカ兵同様、イラクのNATO新「指導者」はこうした攻撃の標的になるだろう。その場合「イラン代理人による」攻撃は益々「逐次的」NATO兵隊派兵の口実になるだろう。数カ月後には、NATO師団がイランの西国境に待機しているだろう。
イランの東、アフガニスタンにも、10,000人のNATO軍兵士がいる。これらは、トランプ政権がタリバーンと締結した平和協定によって5月1日までに撤退することになっている。だが協定には、タリバーンとアフガニスタン政府間の交渉が必要だ。アフガニスタンのアシュラフ・ガニ大統領は繰り返し交渉を遅らせている。彼は賄賂と軍隊に伴う「開発」資金を更に享受するため、外国軍隊をアフガニスタンに維持したいと願っているのだ。
イラク議会の一部党派が、アル・カディミのNATO派兵要請に抗議した。だが、むしろ混沌としたイラクの政治環境には統一がない。だが議会外には、本当に全ての外国軍隊がいなくなるのを望む多くのイラク人がいる。彼らはそれを実現するため自身の措置をとるだろう。
アメリカがイラクとアフガニスタンでの追加軍隊を、イランとの核合意再交渉で、イランに対し、より本格的降伏文書にする、むしろ絶望的な試みで使う、圧力の対象と見なしている可能性はありそうだ。イランは降伏するまい。
NATO軍兵士はアメリカ政策の人質となり、死傷者を出すだろう。
ヨーロッパNATO諸国が、自身を、この勝算がない状況に置くことに同意した理由が私には理解できない。
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今回も、いささか古い記事。内容は古くないだろう。
今日の孫崎氏のメルマガ題名
東京五輪。五輪海外客容れずに選手を容れるという案の合理性はどこにあるのか。「海外客」が危険で、何故「海外選手」は安全なのか。すでにワクチン接種拒否の選手もいる。選手内に陽性者が発生したらどうするつもりか。豪州オープンのように選手を隔離するのか。
いつもは、決断が、決断と言えないほど後手後手の人物が、なぜ今回フライイング気味で延長をぶら下がりで語ったのか不思議に思っていた。タヌキとの化かしあいが理由だったと納得。
日刊ゲンダイDIGTAL
昨日の国会中継、ほとんど音を消していたが、田村智子議員の質問は音を出して拝聴した。
IWJ、事業規模を大幅縮小するしかないという。
IWJの窮状をうかがうたびに、マクチェズニー氏の話を思い出す。下記記事も、検索エンジンは隠蔽している。
ロバート・マクチェズニー『資本主義がインターネットを民主主義の敵にする』について語る
この国は途方もない人数の有能な人があふれています。この国は有能な人に満ちています。ここで不足しているのは、彼らを支える資金です。素晴らしいメディアの仕事をしている沢山の人々がいる事実は嬉しいことですが、彼らがきちんと食べられるようになって欲しいと思います。家族を持てるようになって欲しいものです。彼らの頭上には屋根があって欲しいですし、昼間の別の仕事や家事の残り時間で、ジャナーリズム活動をするというようなことを無くしたいものです。子供達を寝かせ着けた後、家を掃除し、会社での仕事に行くべく目覚めるよう床につく前、夜11:00に作業する人々が、報道や文化を担っていては、自由な社会は築けません。資金の保障がなければいけません。我々に必要な良いもの、文化、ジャーナリズムを生み出すことが出来る人々が、まともな報酬を得られるようにすべきです。
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