ボリビア:アメリカが支援したクーデター後の公正
ラモナ・ワディ
2021年3月19日
Strategic Culture Foundation
アニェス逮捕に反対している人々にとって人権が本当に重要なら、この人々はクーデター後に行われた暴力も同じ様に批判していたはずだ。
この人物が、エボ・モラレス前ボリビア大統領打倒後、「大統領代行」なるものを勤めた、アメリカが支援するクーデター計画者である場合、この逮捕を「野党による弾圧」とみなすことができるだろうか? 主流メディアによれば、この表現は妥当なのだ。過去の数十年の外国干渉を繰り返し、中南米に干渉するトランプ政権の試みをどう見るか次第で、元暫定大統領あるいは独裁者のヘアニネ・アニェス声明を、ヨーロッパの主要記事は、早々と正当化している。
逮捕時点では手錠をかけられず、尋問のため、ボリビア警察に護送されたアニェスは、アメリカが支援したクーデターでの彼女の役割を軽視した。「これは乱用だ」とアニェスは主張した。「クーデターではなく、憲法上の継承だ。」
だがドナルド・トランプ前アメリカ大統領下のホワイトハウスは、関与を示唆し、他の中南米諸国に警告する見え透いた声明で違うことを述べている。「これらの出来事は、ベネズエラとニカラグアの違法政権に、民主主義と民意は常に勝利するという強い電波を送る」とトランプは述べた。「我々は完全に民主的な繁栄する自由な西半球に更に一歩近づいている。」
国連とヒューマンライツ・ウォッチ(HRW)は、アニェスと2019年クーデターに関与した他のボリビア当局者を支持している。HRWの南北アメリカ局長ホセ・ミゲル・ビバンコはアニェスと他の当局者に対して発行された逮捕状にはテロの証拠がないと述べた。
「弾圧」言説を逆にすれば、ボリビア政府が、アニェス政権に一斉検挙された1,000人以上の人々に対して与えた最近の恩赦が、どの政治機関が国家テロと迫害を始めたかについて雄弁に物語る。元警察署長ハイメ・スリタが告訴されているサカバ虐殺と同様、クーデターの余波、ボリビア先住民に浴びせられた暴力は言うまでもない。
HRWは、アニェス政権が、政治的動機で、MAS支持者を迫害したのを認める一方、乱用への道を開くと述べて、ボリビア政府の恩赦法案を批判した。前の報告で、この組織は、アニェスの「モラレスに対する過大な容疑」も非難していた。
人権組織が切り抜けたがらない政治的文脈が、ここで欠けている。モラレスは、大統領四期目立候補という彼の決定への支持を失ったが、アニェス自身は、ボリビアの政治的多数派に欠けており、暫定期間の支配は、ボリビア先住民を犠牲にした国家テロによるものだった。2020年10月、ボリビア人は、投票でMASを権力の座に戻し、新大統領下で秩序を復活させ、アメリカの影響を拒否した。
ボリビアを、国際通貨基金IMFの手中に陥れることも含め、クーデターが実現しようとしたこと立ち向かうことこそが、国際社会がすべきことだった。アメリカによる民主主義独占の主張は、独裁国をもたらす外国干渉へのアメリカ自身の「民主主義的」関与によって破壊されたのだ。
アニェスにとって、民主主義再構築は、ボリビア人の60パーセント以上が先住民であるにもかかわらず、先住民の代表なしの政府を意味していた。右翼クーデターにとって平定は排斥と忘却を基盤に作られていた。先住民の人たちが、その存在を確立していなければ、政府は彼らの存在を否定することができる。モラレスとMASに反対する人々は、余波の中しかけられた暴力の予兆として、街頭で先住民の旗を燃やし、アニェスの呼びかけに耳を傾けた。
アニェス逮捕に反対している人々にとって人権が本当に重要なら、この人々はクーデター後に行われた暴力も、同じ様に批判していたはずだ。だがそれは例えば、彼女の逮捕に懸念を表明しながら、アニェスの被害者、ボルソナーロの標的と同じ被害者、先住民への懸念を表明しなかい、ブラジルのヤイル・ボルソナーロ大統領の類には通じない。ボリビアは民主主義の枠組みを通して、外国干渉に対抗し、公正を実現する約束を守ったのだ。それを批判する人々は、この過程に耳を傾けるべきだ。
記事原文のurl:https://www.strategic-culture.org/news/2021/03/19/bolivia-justice-after-us-backed-coup/
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