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2021年3月11日 (木)

アジア回帰:何がイギリスをつき動かしているのか?

2021年3月5日
ピョートル・コノワロフ
New Eastern Outlook


 インド洋と太平洋の、インド-太平洋地域(IPR)という単一戦略地政学的地域への合流と、地域の主要当事国、中国とインド間で増大する競合が、インド-太平洋地域の問題に、イギリスを含め新しい国々の関与を促進した。2020年、EU脱退後、ロンドンは外交関係を多様化し、新市場を探し、EU外の世界中の国々と関係を再構築しようとしている。

 イギリスが、商業的、経済的、地政学的権益を、過去数十年、世界経済成長のエンジンだったアジア諸国との関係発展に向けているのは驚くべきことではない。同時に、ロンドンは、オランダやドイツと異なり、インド-太平洋戦略を、まだ策定していない。今のところ、ブレグジット後時代におけるイギリス権益を促進する基礎は、当時の首相テリーザ・メイが2016年に発表した「グローバル・ブリテン」の概念だ。この概念は、EU離脱の有用性を証明することと、世界中で、政治的、経済的な重要性を増したいというイギリスの願望に基づいている。

 インド-太平洋地域におけるイギリスの特殊な地政学的立場は、歴史的結びつきのみならず、軍事基地の存在によって可能になっている。半世紀前の「スエズ以東」領土からの撤退にもかかわらず、ロンドンの戦略は、依然、軍事施設、地中海から東南アジアとオセアニアに至る兵站中枢や、地域の防衛パートナーの数を増やすことに精力を傾けている。これらの施設には、バーレーン海軍基地、インド洋のディエゴガルシア基地(アメリカと共有)や、シンガポールとブルネイの軍駐屯地がある。

 近い将来、イギリスは、広大な排他的経済水域(約830,000km2)と南太平洋における通商路の有利な位置にある(ニュージーランドが管理し、フランス海軍が哨戒する)ピトケルン島海外領土のおかげで、イギリス軍艦の邪魔されない航海が可能なオセアニアにおける海軍駐留を強化する可能性がある。1971年の5か国防衛取極(イギリス、オーストラリア、マレーシア、ニュージーランドとシンガポール)や、ロンドンとオセアニア間の防衛・安全保障協定を、2020年の200億ドルのロンドン防衛費増加同様、念頭におくべきだ。

 近年イギリスは、インド-太平洋地域における海軍の存在を強化している。例えば、2018年。中国は南シナ海の西沙諸島を通過するイギリス揚陸艦アルビオン航海を非難し、このような反生産的行動、中華人民共和国の権益に挑戦する試みは自由貿易地帯を設立する両国の作業進展に疑問を呈しかねないとロンドンに警告した。だが、このような警告はイギリスの戦略家を思いとどまらせることはできない。2019年、当時のイギリス国防長官ガビン・ウィリアムソンは、グローバル・ブリテンという概念は、「法律を踏みにじる国々に反対して行動する」ようロンドンに要求していると述べた。2021年、イギリスは、まさにこの目的で、太平洋と、おそらく南シナ海で最新航空母艦クインーエリザベスを活動させることを計画している。

 既に述べたとおり、イギリスのEU離脱で、ロンドンはインド-太平洋地域を含め、世界中の対話機構へのアクセスを失い、イギリスは今の現実に対応する地域の当事者と新しい繋がりを作る必要がある。2019年、アジア諸国がイギリスの輸出と輸入両方の20%を占めたことを指摘すべきだ。アジアでのイギリス最大貿易相手国の地位は中国に帰属する。2019年、両国間の貿易取引高は1110億ドルだった。地域のもう一つの主柱インドとのイギリス貿易は88億ドルだ。アジアへのイギリス輸出の基盤は、車、石油と石油製品、薬、電気機械と装置、貴金属などだ。

 だが最近、イギリスと中国の関係は特に劇的に進展、(あるいは、むしろ悪化)し、他方、それは主としてアジアとの貿易結びつきを確立するというイギリスの野心の実現を決めるのは北京側なのだ。一方、消費者10億人の巨大で名声ある中国市場は、ブレグジット後時代に、ロンドンが貿易を多角化する稀な好機だ。他方、両国の否定的なイデオロギー的、政治的言説が、彼らの協力成功を妨げている。2019年-2021年、5Gネットワーク建設に対し、イギリスは中国通信企業ファーウェイの装置使用を禁止し、中国の衛星テレビ局CGTNの放送許可を無効にし、香港抗議行動参加者に対する中国の動きを積極的に批判した。これら全ての行動は、アジアにおけるイギリスの権益に否定的影響を与えかねない。

 ロンドンの目標の一つは、Covid-19流行で損害を受けた経済の再構築なので、世界で最も重要な消費者市場の一つとの関係を損なうのは、明らかに反生産的だ。だが、イギリスは、中国との関係を悪化させる路線を転換しないように思われる。だから、ブレグジット後の困難な時期に、ロンドンは輸入依存を解消するため、中華人民共和国からの供給削減を決めたが、これはこの地域でのイギリスの地理経済的立場を複雑にするだろう。

 インド-太平洋地域における権益を推進するために、イギリスは、日本とオーストラリアの調停に頼るよう強いられるだろう。2020年10月、日本は既にイギリスとの経済連携協定に署名し、他方、オーストラリアは、2020年夏から、イギリスと自由貿易協定を交渉している。2021年1月末、環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定への加盟を申し込んだが、そこで日本は特に重要な役割を果たしている。

 同時に、オーストラリアとイギリスは、ファイブ・アイズ諜報連合メンバーで、それは両国間の、経済のみならず、諜報協調の基盤だ。この諜報同盟に、日本を包摂する可能性について何年も議論が行われており、インド-太平洋地域にロンドンを関与させるための東京の支援は、日本にとって無駄ではないかもしれない。

 昨年2020年、イギリスに多くの難題をもたらしたが、同時に、インド-太平洋地域におけるその役割に関する議論も強化した。だが世界で最も活力に満ちた発展中の地域の一つへのロンドン回帰は、地域の国々との生産的な経済的結びつきのみならず、中国に対抗する試みが特徴で、それは実際、この地域におけるイギリスの立場を複雑にするだけだ。

 現代の世界秩序は、アメリカを中心とする概念から離れつつあり、最近数十年にわたり発展した同盟や統合組織が永遠ではないのは明確だ。イギリス自身、EU離脱でこれを示している。だから、インド-太平洋地域で重要な当事者になろうと望むヨーロッパの国は、例外なしに、地域の全ての主要諸国と絆を築く、現実的で適切な戦略が必要だ。

ピョートル・コノワロフは政治評論家、オンライン誌「New Eastern Outlook」独占記事。

記事原文のurl:https://journal-neo.org/2021/03/05/returning-to-asia-whats-moving-britain/

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 櫻井ジャーナル 2021.3.10

東電福島第一原発のメルトダウン事故から10年を経ても先は見えない

 廃炉作業は全く進まない。チェルノブイリでも、溶け落ちた核燃料の取り出しはできていない。チェルノブイリは水冷却せずに済んでいるため石棺で覆うことができた。福島は、今後どうするのだろう。

 岩波書店の月刊誌『世界』4月号「誰が廃炉にするのか」無責任なお寒い現状を鋭く指摘している。東京新聞の昨日の朝刊特報面も。ゴール示さぬ「廃炉」作業。文中、原子力資料情報室の伴英幸共同代表はゴールは石棺だと考えておられる。地元では強く反対されているという。

 ナチスのゲッペルスが始めた聖火、出発式は無観客。

 福島原発事故に関する記事、多数翻訳している。

 右側コラムにあるカテゴリーの 地震・津波・原発・核 をクリック頂ければ、該当カテゴリー記事をお読み頂ける。

 自動的に記事の下に該当カテゴリー記事が表示されるが、重要と思えても古い記事は見事に無視してくれる。たとえば下記記事は決して表示されない。検索してみると、検索エンジンも、こうした記事のほとんどを隠蔽している。

 3/11掲載翻訳記事の末尾に、下記メモを書いた。

福島原発、冷却水用の非常電源が全て動かないという。メルト・ダウンと無縁だろうか?

前日読んだ新潮文庫、小川未明童話集の一話「赤いろうそくと人魚」を思い出している。あの主題、今の日本を連想させるのだ。最後の文のみ引用しておこう。

幾年もたたずして、そのふもとの町はほろびて、なくなってしまいました。

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