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2021年3月 8日 (月)

イランとイラクを仲違いさせ損ねたバイデン

2021年3月4日
ウラジーミル・プラトフ
New Eastern Outlook

 2月25日、イラクと国境を接するシリア地域で米空軍が行った空爆と、ジョー・バイデン大統領による、これら行動が招いた影響は世界の多くの国で多くの議論を引き起こしている。

 2月26日、ジョン・カービー国防総省報道官は、記者会見で、特に「アメリカ合州国のイラクとクルドのパートナーがシリアの親イラン派集団のインフラ空爆に必要な情報を集めるのを支援した」ことを指摘した。

 「分割して、支配せよ」という古来の原則に沿って行動し、主権国家シリアの領域に、この明確な攻撃行為の準備をする上で、イラク諜報機関とクルド人の協力とされることを述べ、バイデン政権が、テヘランとバグダッド間の争いを強め、エルビルが地域での攻撃的政策を推進するのを支援するつもりだったのは確実だ。だが、イラクは即座に、ジョン・カービーによるこの声明をウソだとレッテルを貼り、公式にシリア中で空爆を開始するため、アメリカが頼った諜報情報を、バグダッドはワシントンに送っていない事実を公式に強調した。「シリア領の標的への攻撃が成功する前に、イラクから諜報を受け取ったというアメリカ国防長官の声明に対し、イラク国防省は驚きを表明する。我々はこれを否定する」とイラク軍部が述べた。同時に、彼らはバグダッドと国際的な連合との協力が、「国の主権と安全を維持するのを許す形で、イラクを脅かすテロに対して戦う」狙いと一致することを明確にした。加えてイラクは、既に、この問題の調査が始まったと述べた。

 アメリカの声明と、シリアの親イラン派集団に対する空爆を背景に、2月27日、イラクのフアド・フセイン外務大臣は、突然生じた問題を緊急に解決するためテヘランに飛び、イラン最高国家安全保障会議のアリ・シャムハニ事務局長と会談を行った。「シリアでの残忍なアメリカ攻撃は、組織的テロを蘇らせる取り組みの一環だ。イランと、過激派と戦っている他の国々は、イスラム原理主義テロが地域に再度出現するのを阻止する」とアリ・シャムハニ事務局長が述べた。イラン最高国家安全保障会議事務局長は、イラク外務大臣に、外国軍隊を国から追い出すという、イラク議会に採択された法律を想起させた。シャムハニは、この法律実施の、どんな遅延も、この地域での緊張の更なるエスカレーションを招くと発言した。

 会談の中で、両大臣は、イラクのNATO兵士を、500人から4,000人に増やすNATOの意図を議論した。この議論の理由は、2月18日、NATOのイェンス・ストルテンベルグ事務局長による、兵士増員は「バグダッドによる公式要請後に」行うが、この決定の全詳細は、イラクのムスタファ・カディミ首相と合意されていたことを示した声明だった。2月25日のイラン民兵に対する米国空爆が、有志連合が保有する兵士の数を増やす本当の狙いは、かつてワシントンが宣言した対テロの戦いではなく、秘密テロ集団ダーイシュ(この集団はロシア連邦で禁止されている)との戦いの最前線にいる親イラン派代理軍に対するものであることを示しているので、NATO部隊増加を、テヘランが懸念するのは確実だ。

 親イラン派民兵に関するワシントン自身の批判的な立場は、ジョー・バイデン大統領から議会に送られた書簡で、はっきり表現されており、そこで彼はシリアに対する米空軍攻撃が「親イラン派集団に計画された、イラクのアメリカ軍と国際的な有志連合軍への攻撃を防ぐために必要だった」と述べていた。

 既に、2月25日の米軍空爆を準備する上で、イラク諜報機関を共犯にしようとする試みを、イラク当局が不満を表明する環境で、ジョン・カービー国防総省報道官は、2月27日に新しい声明をするよう強いられた。彼が、ワシントンは、シリアでの米空軍攻撃目標を決定する際に、イラク諜報情報を使っていなかったことが判明したと述べた。そうすることで、アメリカは、2月25日、シリア領に対して行われた侵略で、イラク諜報機関とクルド人を巻き込もうとした無謀な案の失敗を実際に認めたのだ。

 更に、2月25日、米空軍による余りに露骨な攻撃が、この地域のアメリカ人、とりわけアメリカ軍人にとって、治安情勢を大いに悪化させると悟って、ワシントン率いる有志連合は、既に、イラクのアメリカ兵に対する脅威レベルを、戦闘警戒に引き上げた。これはフォックス・ニュースで報じられ、治安状態を改善する必要措置は、これまでのところ、バラド空軍基地だけだと明記している。フォックス・ニュースによれば、この情勢は、現地の状況次第で、数日続き、予防措置として行われている。アメリカ・有志連合軍を擁するバラド空軍基地の治安強化は、一週間前、アメリカが「イランとつながる戦士」だと非難する人々に実行されたミサイル攻撃を受けことによる。

 一方、シリアは、再度、アメリカ侵略を止めるよう公式に国連に要求した。「シリア外務省は、安全保障理事会に、平和と安全維持に責任をとり、常任理事国(アメリカ)が主権国家に対する侵略と犯罪を続けるのを阻止する即座の処置をとるよう再び要求した」とシリア外務省が声明で述べた。国連事務総長と国連安全保障理事会議長に送られた書簡は、シリア領に対する米軍空爆が「不自然な口実でアメリカ軍が繰り返す露骨な侵略、一連の攻撃の再発」だと述べている。

 ウラジーミル・プラートフは中東専門家。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。

記事原文のurl:https://journal-neo.org/2021/03/04/biden-failed-to-drive-a-wedge-between-iran-and-iraq/

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