アメリカによる無益な中国封じ込め
Finian Cunningham
2021年2月28日
スプートニク
アメリカの世界覇権は、中国「封じ込め」戦略に依存している。封じ込めというのは、攻撃や敵意や対決の婉曲表現に過ぎない。そしてこの戦略は失敗するのは確実だ。
ワシントンの国家政策立案者は、対中国冷戦政策は、アメリカがソ連に対して勝ち得たと同様の勝利をもたらすと考えているように思われる。
影響力のある大西洋協議会が最近公表した逸話は、中国を屈伏させ、最終的に北京で政権交代を引き起こす「封じ込め」を支持すると主張している。狙いは、アメリカを他に競争相手のない、世界唯一の覇権国家にすることだ。
このような思考の問題は、今日の世界で、冷戦戦略を適用しても徒労なことだ。当時、世界は主に二極に分裂していたので、アメリカがソ連封じ込めに成功した可能性がある。ソ連は、経済関係の点で、世界の他の国々に対して、比較的閉じた組織でもあった。
現在、世界は全く異なっている。二極対立ではなく、多極世界の現実があるのだ。世界経済は遥かに統合されており、中国は世界最大の経済になろうとしており、主要な輸出国、輸入国、投資国で、市場なのだ。
前トランプ政権は、中国を脅して屈伏させようとして、三年前に中国に対する貿易戦争を開始した。だが、その政策は失敗した。トランプは、世界の多くの国々同様、アメリカ経済が中国に大きく依存している現実を反映して、アメリカ製造業者と消費者を傷つけたにすぎない。トランプの貿易戦争は、腹立ち紛れに、自分に損なことをしたのと同じだ。それは知性ではなく横柄さの愚行だった。
バイデン新政権も、同様に、中国封じ込めに取りつかれており、誰がアメリカ大統領になろうとも、闇の国家の立案者と帝国政策は変わらないことを示している。
バイデンはトランプの貿易戦争言説と戦術を中止しているかもしれないが、上で引用した大西洋協議会の文章が示すように、ワシントンは、アメリカ世界覇権の野望に、北京政府を屈伏させるため、依然、中国に打撃を与え、弱める狙いを推進している。
アメリカ大企業資本主義は、世界支配獲得に依存している。提携や協力や多国間協調主義は、アメリカ資本の働きが忌み嫌うものだ。これが、アメリカの政策立案者が、中国や他のいかなるライバルと見なされる国々を打ち破らなくてはならない理由だ。
だが多極世界と統合された世界経済の現実はアメリカ冷戦戦略を時代遅れにしている。
トランプの「アメリカ・ファースト」教義と異なり、バイデンと民主党は西欧同盟諸国に対し、よりソフトな、見かけ上、より穏やかなやり方をしている。バイデンは、同盟者と「協力して」、大西洋両岸の同盟を改良すると語っている。
だが、この新「協力」は、アメリカの目的を、よりうまく実現するため、中国に敵対的な陣営に、西洋同盟諸国を引き込もうというワシントンの狙いが本音だ。
今月早々、G7サミットとミュンヘン安全保障会議の両方で、バイデンは、中国とロシアは、西洋「同盟諸国」にとって、敵で脅威だと繰り返し警告した。
バイデンと闇の国家調教師にとっての問題は、西欧同盟国が中国とロシアを孤立させる彼の政策を受け入れる余裕がないことだ。それは彼ら自身の権益に有害なのだ。
今週、環球時報が、コメントしたように、中国経済の活力は阻止できない。世界にとって、中国市場から切り離されるのは、アメリカ市場から切り離されるより、益々想定しがたくなりつつある。
中国は、アメリカを超え、今や、欧州連合にとって最大の貿易相手だ。中国はドイツの輸出主導経済にとっての重要市場で、ドイツはEUの事実上の代表だ。ロシアも、ドイツとヨーロッパに、より安価な安定したエネルギーを供給する上で不可欠だ。
ソ連に対してしたように、世界を分極化するワシントンの試みが成功することはあり得ない。それは徒労だ。中国とロシアが、しばしば語る多極世界は現実であり、国々の提携と協力が、唯一実行可能な進むべき道なのだ。
アメリカの権力は、政治的、経済的環境が一変した世界に暮らす動きの悪い恐竜のようなものだ。そのやり方が期限切れで、もはや適用できない獣だ。
もちろん、絶滅に直面して、死に物狂いの、衰退しつつあるアメリカ権力が引き起こす軍事対決の危険がある。だが幸い、中国とロシアは手ごわい軍事大国で、アメリカは実際の攻撃を考えることができない。(このような不測の事態を考えることさえできるとは何といまわしいことか。それが、人々にとっての、アメリカ権力の極悪非道な本質だ。)
すると結局、こういう考察に至る。もし中国(ロシア)に対する、アメリカのパワープレーが徒労で、戦争は想像も及ばないなら、アメリカは一体どうなるのだろう?
もしアメリカが、既に腐敗過程が進行中の内部破たんを避けたいと望むなら、アメリカ社会と資本主義経済は、何らかの方法で、より民主的で、平等主義の、劇的に遥かに少ない軍国主義経済に根本的に変わらなければならない。アメリカ人は、この難題のために結集して備えることができるだろうか?
Finian Cunninghamは、国際問題について多く書いており、記事は複数言語で刊行されている。彼は農芸化学修士で、ジャーナリズムに進むまで、イギリス、ケンブリッジの英国王立化学協会の科学編集者として勤務した。彼は音楽家で作詞作曲家でもある。20年以上、ミラーやアイリッシュ・タイムズやインデペンデント等の大手マスコミ企業で、編集者、著者として働いた。
記事原文のurl:https://sputniknews.com/columnists/202102281082211919-us-futile-containment-of-china/
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だが宗主国には森の石松のような鉄砲玉が一つある。セキュリティー・ダイアモンド構想。どの国と言いたくない。
強権司会者が変わっても、茶番速記者会見は、そのまま続く。といっても、ばからしいので、実際の放送は見ていない。前首相夫人との女子会で山田氏と小野氏が夫人の左右にならんでいる写真にげんなり。有名な谷氏も写っている。
アメリカ・メディア、デイリー・ビーストのタニ記者が、この茶番速記者会見をみたら卒倒するかも知れない。
マックスウェル・タニという記者は、2月1日「ホワイトハウス記者団:バイデン・チームは我々の質問を事前に要求」(原文は英文)という記事を書いている。一行だけ翻訳してみた。
ジョー・バイデンのスタッフは、大統領報道官に厳しい質問をする記者に対し、事前に質問を知ろうとするのを厭わない。
今日の孫崎氏のメルマガ題名
東京五輪。五輪海外客容れずに選手を容れるという案の合理性はどこにあるのか。「海外客」が危険で、何故「海外選手」は安全なのか。すでにワクチン接種拒否の選手もいる。選手内に陽性者が発生したらどうするつもりか。豪州オープンのように選手を隔離するのか。
日本呆導機関の情報を摂取し続ければ脳内は必ず汚染される。何しろ本当のことを報じると、とばされるのだ。「きれいは汚い、汚いはきれい」アウト・オブ・コントロールは、アンダー・コントロール。
植草一秀の『知られざる真実』
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