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2021年2月27日 (土)

ロシア-中国の多国間協調主義と対決するバイデンの干渉主義

2021年2月18日
Salman Rafi Sheikh
New Eastern Outlook

 最初の主要外交演説で、アメリカ新大統領は、アメリカの伝統的な干渉主義と対決主義政策の時代が、「アメリカ・ファースト」という経済的ナショナリズムと、紛争へのアメリカの関与を減らすことを強調して、大いに論争の的となったドナルド・トランプの政策にとって変わることを明らかにした。大統領最後の演説で、トランプは、彼が新しい戦争を始めずに在任期間を完了した、ここ何十年で最初の大統領である事実を大いに誇りにしていた。だが、バイデンのやり方は、アメリカ干渉主義と、アメリカ支配権を再確立する取り組みが、地球規模で、アメリカ政治の新たな基礎であることを示している。アメリカ企業の反中国、反ロシア派連中は、トランプの「アメリカ・ファースト」に、アメリカのライバルが、アメリカの政治的後退につけこんで、数年前までアメリカの独占的影響力下にあった中東とヨーロッパを含め、多くの重要な地域に自身を投影するのを可能にした一つの主要理由だと見ている。それゆえ、ジョー・バイデン政権の最重要目標は、失われたアメリカの優位性の奪還を求めることだ。現状で、新政権は、既に、歯に衣着せずに「グレート・リセット」と呼んで、この政策を推進している。

 バイデン演説は、ロシアに触れて、明確に、こう言っていた。

「我々の選挙に干渉し、サイバー攻撃し、自国民を毒殺するロシアの攻撃的行動に直面して、アメリカが踏み付けられる日々は終わったと、前任者と非常に違う形で、私はプーチン大統領に明確に言った。我々はロシアに対する負担を強化し、我々の重大な利益と国民を守るのをためらわない。志を同じくするパートナーたちとの連合と調整して働くので、ロシアへの対処で、我々はより効果的になるだろう。」

 中国との対決の概要を語って、バイデンはこう述べた。

「我々は、最も本格的な競争相手、中国による、我々の繁栄、安全と民主主義の価値観に対する挑戦に直接対決する。我々は中国による経済の乱用に対決する。攻撃的な、強制的な行動に対処する。人権や知的財産や、グローバル・ガバナンスに対する中国の攻撃を押し返す。」

 もちろん、これらの「警告」はアメリカ支配権を再構築するバイデン政策の一環だ。彼はこう言っている。

「ひどく損なわれたものを再構築するには時間がかかるだろう。だが、それがまさに我々がしようとしていることなのだ。」

 現状のジョー・バイデン政権は、NATOを含め、アメリカに率いられる、より広範な防衛組織内でのタカ派の存在に後押しされている。NATOに資金供給されるシンクタンク、大西洋協議会のために匿名著者が書いた最近の論文は「21世紀、アメリカと民主主義世界が直面する唯一最も重要な挑戦は、習近平下で益々権威主義的で攻撃的な中国の勃興だ」と述べている。アメリカがする必要があるのは「対抗する秩序を構築したり、中国国境を拡大しようと試みたり、中国国境を越えて、その政治モデルを輸出しようとしたりするのではなく、アメリカが率いるリベラル国際秩序の中で活動し続けるのが中国にとって最大利益で、中国共産党最大の利益だと結論する」よう中国の支配層エリートに強いることだと著者は主張している。

 この方針は、つい最近、世界経済フォーラムでの演説で中国の習主席が言ったことと全く正反対だ。彼の言葉を引用すると「小集団を築いたり、新冷戦を始めたりすること、他の人々を拒絶し、脅迫したり、恫喝したりして、分離や、供給途絶や、制裁を意図的に押し付け、隔離や疎遠を生み出したりするのは、世界を分裂と対立に押しやるだけだ」と習は述べ「我々は、分裂した世界では、共通課題に取り組むことができない、対立は我々を行き詰まりに導くだけだ」と付け加えて強調した。

 同じフォーラムでの演説で、ロシアのプーチン大統領は、事実上のロシア-中国同盟は、アメリカ一極覇権主義と支配に対抗するのを主要目的として存在していることを意味する同一内容の概要を語った。

 彼がこう言った時、プーチンは明らかにバイデンの手法を予知していた。「我々は、従順な支配された衛星国の役割に同意しない国々に対する圧力や、貿易障壁、財政的、技術的、サイバー空間での、違法な制裁や規制を含め、実際的な動きの性質は、一層攻撃的になると予想できる。このようなルールのないゲームは、軍事力の一方的行使のリスクを決定的に増大する。」

 アメリカ一極覇権主義を目指すバイデンの攻撃的衝動を事前に制して、プーチンは指摘した。「中央集権化された一極世界秩序を構築する試みと連携する時代は終わった。正直に言って、そういう時代は始まりさえしなかった。この方向への試みはなされたが、今や歴史だ。この独占体制の本質は我々文明社会の文化的、歴史的多様性に反している。」

 ロシア-中国による相互利益多極構想が、アメリカの一極覇権主義に抵抗し、一層包括的な世界政治制度を構築する決意を示す中、世界の政治的、経済的重心は、際立ってアジアに移動した事実を強調している。益々多くの国が、アメリカ・タカ派が全世界に押しつけようと、支持し奉じているゼロサム競技を拒絶し、相互利益の論理を支持している。

 相互利益とゼロサム競争をその二つの顔とする「言説戦争」が全力で始まっている。

 この戦争で、アメリカは中国とロシアにだけに抵抗しているわけではない。アメリカは、なによりも、国内でも国外でも、自身の避けられない衰退に抵抗しているのだ。トランプ支持者による米国議会の事実上の占領に至った出来事は、内部で分裂し、いわゆるリベラル派と白人至上主義者の間で大きく分極したアメリカ民主主義は、もはや世界の他の国々にとっての「お手本」ではないことを意味している。国外では、中国とロシアが、アメリカに率いられる世界経済体制が、世界救済の唯一の道でないことを示している。

 Salman Rafi Sheikhは国際関係とパキスタンの外交、国内問題専門家。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。

記事原文のurl:https://journal-neo.org/2021/02/18/biden-s-interventionism-meets-russia-china-multilateralism/

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 イランとアサド政権は近い。親イラン組織はアサドの承認を得てシリア内にいるはずだ。一方、アメリカは、シリアの同意なしに、勝手に侵略している。侵略者が、正当な防衛側を理不尽に攻撃する事実を大本営広報部はそのまま垂れ流す。この宗主国と、傀儡属国は、同じ価値観だというから何とも恐ろしい。

米がシリアに空爆 新政権で初、親イラン組織の関連施設

 今日の孫崎享氏のメルマガ題名

米国防総省は、米軍がシリアで親イラン武装勢力を空爆と発表。バイデン政権は異常に金融資本、軍産複合体に依存した政権。ブリンケン国務長官、オースティン国防長官は対外軍事行動に極めて前向きな人物。米国国内的には世論コロナに全力を望んでいる中の攻撃。

 植草氏、テレビ番組に出る連中で政権工作員的な人物に「御用バッジ」を導入せよと言っておられる。むしろ政権工作員でない人に独立バッジをつけて頂きたい。ほとんどいない。というより、番組自体に「御用バッジ」を導入すべきではあるまいか。

 植草一秀の『知られざる真実』

TV情報番組に「御用バッジ」を導入

 大本営広報部ではない、デモクラシータイムス 日本の現状を伝えておられる。39:58

これが日本か!迫る米軍機 低空飛行は日常化【新沖縄通信】20210222

 日刊ゲンダイDIGITAL 孫崎享氏の記事

政治史の中でも悪質 菅首相長男をめぐる「東北新社疑惑」

 会見を強権的に切り盛りする人物がいないと、こうなる。

 LITERA

菅首相が“コロナ会見中止は山田内閣広報官隠し”と追及されて正気を失い逆ギレ! 国民の命より保身を優先する棄民政権の正体が…

 下記番組、拝聴しながら、題名「誰が女帝タヌキをつくったのか」に思えてきた。都庁も官邸も御用速記者クラブ。怪物を作り出すマスメディアの罪は重い。阿呆ニュースで、タレント弁護士のたわごとを見るたび、うんざりしている。

 西谷文和 路上のラジオ 第47回

Vol.47 「誰が『吉村洋文』をつくったのか。大阪維新の会のこれまで、これからを分析する」ゲスト:松本創さん(ノンフィクションライター)小出裕章さん(元京都大学原子炉実験所助教)

 先日の地震、亡くなった方が一人おられたという。あの地震の時、瞬間思ったのは破壊した原発の更なる破壊。水位や圧力が下がったこと以外、素人には詳細情報皆無。東電は壊れた地震計も放置していた。足尾の巨大な鉱滓捨て場は無事だったのだろうか?と思った。足尾銅山から出た坑廃水を中才浄水場で中和した沈殿物を捨てる簀子橋堆積場や源五郎沢鉱滓堆積場を思い出したのだ。源五郎沢鉱滓堆積場は2011/3/11地震でも崩れている。

 岩波書店の月刊誌『世界』3月号の特集1は、21世紀の公害
 その中の一つ「ゆきわたる公害――可視化するのはだれか友澤悠季(長崎大学)」は足尾の鉱滓にも触れている。筆者、友澤氏の著書『「問い」としての公害 環境社会学者・飯島伸子の思索』の「はじめに ii」の一節にびっくり。時宜にかなった文章。コピーさせて頂こう。宇井純氏の講座参加の場面。飯島伸子氏、足尾鉱害も現地調査しておられたという。美容室での薬品被害研究、さすがに女性ならでは。

男性ばかりの集まりにとつぜん現れた「小柄な、少々うるさいこの女性」に、はじめは誰もが、「場違い」という感想を抱いた。だが飯島はまもなく、この会への参加をきっかけに会社を辞め、東京大学で社会学を学ぶ二十八歳の大学院生に転じた。

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