アサンジ犯人引き渡し裁定は救いだが、正義ではない
2021年1月4日
ケイトリン・ジョンストン
イギリスのバネッサ・バライスター判事は、ウィキリークス創設者ジュリアン・アサンジのアメリカへの引き渡し に反対の裁定をしたが、彼女が言うべきではない理由によってだった。
バライスターの恐るべき裁定は、いかにばかばかしく、オーウェル風であれ、犯人引き渡し裁判中に行われた、アメリカのほとんどあらゆる起訴主張を支持している。これには、アサンジが、大使館を、選挙干渉の「指揮所」にしたという、証拠も無い、とうの昔に論破されたCNN記事を引用して、言論の自由は、誰に対しても、望む文書を公開する「拘束を受けない裁量」を保障するものではないと言って、イギリス法は、政治犯の引き渡しを禁じているという弁護団の主張をはねつけ、チェルシー・マニングが既に得ていた文書を持ち出す、彼の情報源を守ろうとするアサンジの試みは、通常のジャーナリズム的行為ではなかったという偽りの主張をオウム返しし、アメリカ諜報機関には、エクアドル大使館で、アサンジを秘密にスパイする妥当な理由があったかもしれないと言い、もし彼が引き渡されたら、彼の権利は、アメリカの法律制度に守られると主張した。
「判事は、アサンジの場合、最も疑わしい主張を含め、アメリカの主張を繰り返しているだけだ」と訴訟手続き中に、活動家ジョン・リースがツイッターで書いた。
私が報じたように、CNN記事は、アメリカ国務省とイギリス政府が支援する非政府組織で働く右翼エクアドル人に書かれ、違法にアサンジをスパイしたCIA請負業者のUC Globalの虚偽情報に依拠していた。https://t.co/hZAiIeor5M https://t.co/K0CywDFaPj
- Max Blumenthal(@MaxBlumenthal) 2021年1月4日
だが、結局、バライスターは、犯人引き渡し反対の裁定をした。その戦争犯罪をあばいたことに対して、イギリスからのオーストラリア人ジャーナリスト引き渡しに、アメリカ政府の出る幕がないためではない。防諜法下で、ジャーナリストの犯人引き渡しと起訴を許せば、世界的に報道の自由に対する直接の脅威となるからでもない。世界最大の権力構造の行動に対する、国家安全保障調査ジャーナリズムの世界的な萎縮効果を妨ぐためでもない。アメリカの過酷な刑務所制度では、アサンジが自殺する危険が余りにも高いがゆえに、バライスターは、究極的に犯人引き渡しに反対する裁決をしたのだ。
アサンジはまだ自由ではなく、危機を脱出していない。アメリカ政府は、裁定に控訴すると言っており、その上告手続きが最後までやり遂げられるまで、バライスターはアサンジを、ベルマーシュ刑務所に閉じ込めておく法的権限を持っている。保釈金や釈放についての議論は、水曜日に再開するだろうが、アサンジは少なくともその時まで、ベルマーシュに投獄されたままだろう。2012年、エクアドル大使館に政治亡命をしたことから生じたアサンジの保釈違反のかどで、保釈が拒否される可能性は非常に高く、彼はアメリカ政府の控訴中、投獄されたままだろう。
アサンジがジャーナリストとして所属しているオーストラリアの労働組合、メディア・エンターテイメント&アーツ・ アライアンス(MEAA)は、この状況をうまく説明する裁定に関する声明を発表した。
「今日の裁判所裁定は、ジュリアン、彼のパートナーと家族、彼の弁護団と世界中の彼の支援者にとって大きな安堵だ」とMEAAメディア委員長、マーカス・ストロムが述べた。「公益情報を白日下にさらそうとしたかどで、ジュリアンは10年の苦難を経験し、それは彼の精神的、身体的健康に対する巨大な影響を与えている。」
「だが判事が、今日彼女の発言で、報道の自由への懸念を見せておらず、事実上、ジャーナリストが、戦争犯罪や、他の政府の秘密を暴露することに対し、情報源を守るかどで起訴され得るというアメリカの主張を受け入れたことに、我々は失望している」とストロムは補足した。「彼が起訴されている記事は、10年前にウィキリークスで公開され、アメリカ政府による戦争犯罪や、他の恥ずかしい行動を明らかにした。それら情報は明らかに公共利益になった。アサンジに対する訴訟は、常に、言論の自由を縮小し、ジャーナリズムを違法とし、未来の内部告発者や発行人に、常軌を逸した行動をしたら、罰せられるぞという明確なメッセージを送る意図の政治的な動機なのだ。」
メディア・リリース:MEAAは我々のメンバー、ジュリアン・アサンジのアメリカへの犯人引き渡しを阻止するというイギリス判事による今日の決定を歓迎し、アメリカ政府に今彼の告訴を取り下げるよう要求する。https://t.co/KmykZED1Kd #pressfreedom #MEAAmedia pic.twitter.com/aYEKoCcoyi
- MEAA(@withMEAA)2021年1月4日
実際、今日の裁定は、アサンジや、彼の家族や、世界中の彼の支援者全員にとって、大きな安堵だった。だが、それは公正ではなかった。
「法廷がジュリアン・アサンジの犯人引き渡しをしないと裁定したのを聞いて嬉しく思うが、精神衛生を理由にしている事実を警戒している」とAPのジョアナ・ラミロが裁定にコメントした。「それは内部告発者の犯人引き渡しに対し、および/あるいは、出版・報道の自由を擁護する点で、むしろ薄弱な前例だ。民主主義には、より強いものが必要だ」。
「これは報道の自由の勝利ではなかった」とジャーナリストのグレン・グリーンワールドがツイートした。「まったく逆だ。判事は2010年の公開に関し、アサンジを起訴する根拠があると信じていることを明らかにした。それは逆に、安全保障への「脅威」に対する、非常識的に圧制的なアメリカ刑務所制度による告訴だったのだ。」
バライスターが、究極的に犯人引き渡しをしないと裁定したのは良いが、彼女の裁定は、将来、防諜法下で、ジャーナリストの犯人引き渡しを可能にするアメリカ政府の起訴の主張を全て支持している。この裁定は、ジュリアン・アサンジにとっては、自由に向かう重要なステップだが、世界的な帝国主義の圧制的な権力行使は何も変えないのだ。
だから、今回、適切な対応は、安堵のため息であっても、慶賀ではない。アサンジ訴訟は、決して一人の人間の問題ではなかった。この闘いの、より大きな部分、我々全員が闘っているものは、衰えることなく継続しているのだ。
我々は正義から余りに遠いので、「あなたは引き渡すには余りにも頭がおかしい」というような残飯でさえ歓迎される。あなたは正義を望んでいるだろうか?アサンジを解放し、彼に賞と補償を浴びせ、彼を迫害するのを助けた連中全員を閉じ込めよう。それが正義のはずだ。そうなってこそ、皆様の成功だ。
- ケイトリン・ジョンストン⏳(@caitoz) 2021年1月4日
それはさておき、今回の帝国のメッセージは、本質的に「望めば、我々は完全に、お前を引き渡させることができたが、お前は余りに頭がおかしい」ということで、それは「私はお前のけつをけることができるが、お前には、その価値がない。」という国際外交のセリフに大いに似ている。それは、まだメンツを保っていて、脅威のように思われている間に、後退する方法だ。だがそれを見ている全員に、後退は、結局、後退に見えるのだ。
もしこの裁判で、世界中からの、このような厳しい監視がなければ、我々が今日、違う裁定を聞いていたのは確実だと私は思う。帝国はその不正を暴露したかどで投獄する可能性でジャーナリストを脅迫しようと、できる限りのことをしたが、結局敗退したのだ。
私は、これを、我々が戦争や戦闘で勝った兆しと思うつもりはない。だが我々のパンチが当たっている兆しではある。我々は、ここで、かすかな成功の見込みを得たのだ。
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彼は依然、獄の中。
アメリカ議事堂での銃撃で、トランプ支持派女性が死亡。ジョージア州、上院、二議席、民主党。「結局、トランプが勝利する。」と、わざわざご連絡下さった知人から、最新連絡はない。
イソップ寓話「王様を欲しがった蛙」を思い出す今日このごろ。バージョンによって違うが、神様が最後にこういうものもある。
「まだ満足しないのか?お前たちに欲しがったものをやったぞ、だから災難は身から出たさびだ。」
「君側の奸」という言葉がある。君主自身ではなく側近が悪いことを意味する。現実は、主君が悪人、側近(医系技官)も悪人。最悪の組み合わせ、コロナよりこわい。神国日本は惨めに敗戦した。今度は宗主国に支配された疑似神国日本も大敗戦。GO TOでコロナを推進したおかげで、医療のみならず経済も崩壊。オリンピックどころではない。
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IWJ、インタビュー、今日は、孫崎享氏 後編(2)
■<年末年始特別配信 2>本日午後8時より「21世紀最大のテーマ『覇権をめぐる米中衝突』が現実に! 常時臨戦国の『正体』を露わにした米国と属国日本! 『朝鮮戦争の正体』が見せる真実! 岩上安身によるインタビュー 第1004回 ゲスト 元外務省情報局長・孫崎享氏 後編(2)」を配信します!
今日の孫崎氏のメルマガ題名
東京、最多1591人感染 全国初5000人超?新型コロナ(1月06日)。こうした事 態を招いた背景には、政府・都の無策。「GOTOトラベル」を推進。菅首相「年末年始で 感染状況のベクトルが下向きになると考えていた」と緊急事態対応に遅れ。本日発動予定。
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