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2021年1月10日 (日)

福島第一原子力発電所と放射能汚染水問題

2020年10月12日
コンスタンチン・アスモロフ
New Eastern Outlook

 韓国メディアや、彼らと関係する環境保護活動家が、福島第一原子力発電所大惨事後の何千トンもの放射能汚染水を、日本当局が海に放出した場合に起こる差し迫った世界的環境破壊問題を時折提起する。水が間もなく放出されるが、ソウルの姿勢だけが、東京が恐ろしい決断をするのを阻止しているという断続的ニュースで興奮は拍車をかけられる。

 この問題の本質について簡単に復習しよう。2011年の福島第一原発惨事以来、放射性物質の漏洩をもたらす地下水浸透のせいで、毎日、放射性水素同位元素トリチウムや他のものを含む約170トンの放射能汚染水が生産されている。まず第一に、元々原子炉回路にあった水がある。第二に、プラント残骸と残った核燃料の冷却に使われる水がある。地下水源から流れ出て、海に向かって敷地を通過するかなりの量の水も汚染されている。水は大半の放射性物質を抽出するため処理される。だがトリチウムや他の物質は、そのまま水中に残り、膨大な量の汚染水が約千の巨大貯水タンクに保管されている。

 現在、約170万トンの物質が水タンクの中で保管されているが、2022年末までに(あるいは最悪の場合、夏までに)空いた収納スペースがなくなる。爆発した三基の原子炉は解体からほど遠く、破損した原子力発電所の所有者、東京電力は、汚染水問題に早急に対処するよう要求している。

 (トリチウムを除く)62種の放射性物質の閾値を下まわるよう処理されているので、日本政府は保管された水を「処理水」と呼んでいるが、2018年9月、890,000トンの処理水の研究が行われ、まだ80%以上が閾値を超える放射性物質を含んでいることが判明した。

 日本の専門家は、水中の放射能量は、韓国月城原子力発電所の放射能量の1パーセント以下しかないと安倍前首相が、
主張したのを引用している。韓国人科学者はこの声明に懐疑的だ。福島第一原子力発電所と韓国の原子力発電所の汚染レベルを比較するには、檀国大学校の原子力工学のMoon Zhu-hyun教授によれば、水サンプルが採取される場所を明確化するべきなのだ。異なるサンプリングの場所からの数値を一見した後、我々は汚染レベルの正確な比較ができるのだ。

 KAIST大学原子力及び量子工学科のChoi Sung Min教授は、ソウルと東京は、この問題で、科学的な裏付けがない意見を言うのを控え、慎重にするべきだと言っている。

 ウラジーミル・オディンツォフはNezavisimoye Voyennoye Obozreniye(独立軍事レビュー)記事で、2017年-18年に表面化した多数の環境問題の例を挙げている。原発からかなり離れた砂浜でのセシウム137沈着や、福島第一惨事後に生産されたカリフォルニア・ワインで微片が発見された。放射性沃素同位元素やセシウムは、日本の沖で獲った魚や、韓国で栽培された野菜でも発見されている。

 東京電力は2019年8月にこれを発表し、破壊した福島第一原子力発電所から太平洋へ汚染水を放出する提案をした。東京電力幹部によれば、問題を解決する他の全ての方法が、余りにも困難だ。

 2019年10月、イギリスでの国際海事機関会議で、韓国は、水管理問題について近隣諸国と意見を一致させる努力をするよう日本に要求した。

 2019年12月24日、2016年に、汚染水を無くする措置を論じるため日本の経済産業省に作られた小委員会が、福島から水を無くす、三つのあり得る計画を発表した。海中への放出、蒸発させ、大気に放出すること、あるいは両方を同時に利用することだ。

 全過程は少なくとも10年を要するだろう。専門家によれば、両方の方法が非常に実行可能で、それらは環境と人間の健康にほとんど影響を与えず、類似の先例が既にあり、環境の必要条件を含め、様々な必要条件を満たす。だが、放射能汚染水の海への放出で生みだされる悪いうわさは、大きな社会的影響を与えかねない。

 韓国のメディアお気に入りのショーン・バーニーは、うわさを広める好例だ。グリーンピース・ドイツの、1997年から福島に本拠を置くこの上級核専門家は、彼らが核エネルギーの危険を理解し、環境のことを深く気にかけているので、この問題は韓国人にとって明らかに重要だと主張する。彼の意見では、福島は、日本のみならず、アジア太平洋全体の地域の環境に対する脅威であり続けている。「これは決して終わらない核災害であり、韓国人は、率直な意見を述べ、良くない決定に反対することによってのみ、環境保護の上で、進歩が実現できることを理解している。」

 バーニーは、被曝には専門的に安全レベルはなく、放出される汚染水は、海洋生態系と人の健康に対する直接の脅威となると考えている。(割り引いて受けとるべきだが)彼によれば、トリチウムは、人や人以外のDNAに損害を与える可能性があり、たとえ汚染水処理が成功しているにせよ、莫大な量のストロンチウムなど他の放射性核種を残したま放出される。「明確な選択肢、つまり放射性核種を取り除くための長期貯蔵や処理があるのに、このどれも環境の見地から正当化できない。」

 2020年2月、日本当局が福島原子力発電所の百万トン以上の放射能汚染水を太平洋に放出するつもりだという情報を多くの放送局が流した後、パニックが起きた。一部の専門家によれば、海は、汚染された水を薄めることが可能なので、人間にとって、それを安全にするのだからして、この方法はより小さな悪だ。2020年2月4日、日本当局が、彼らの計画の利点について、説得しようとして、韓国大使館当局者と会談を行った。

 3月25日、トリチウム含有量を40分の1レベルにするため海水で薄め、国の安全基準で認められ、放射能汚染水を放出する計画が判明した。これは30年間にわたり、おこなわれる。

 3月26日、韓国大統領府は、日本は、水放出計画が韓国国民の健康と安全と海洋生態系に影響を与えないことを保証する措置をとるべきだという国務調整室声明で、日本の計画への懸念を表明した。

 しかし、その後、コロナ流行のため、オリンピックは延期され、ソウルの行動は、環境問題というより、日本側を粉砕する狙いで拍車をかけられたものだったため、重要なピークは突然消散した。この声明後、活動家と当局の動きはずっと散発的になった。

 この声明は、9月21日から25日まで、ビデオ会議形式で、ウィーンで開催された国際原子力機関一般会議(IAEA)の第64回総会で行われた。科学技術情報通信部の鄭炳善(チョン・ビョンソン)第一次官は、日本が極めて汚染した水を海に放出する可能性を考慮していることに再度懸念を表明し、放射能汚染水廃棄物が環境にもたらしかねない損害を慎重に分析する必要性を強調した。彼は国際法に従って、日本は汚染水処分問題に関し、国際社会と広く対話しなければならないことを指摘し、この問題に対して、より積極的な姿勢をとるよう、IAEAに呼びかけた。

 もちろん、遅かれ早かれ、貯蔵タンクはあふれるが、パニック的なうわさを、事実に基づく恐怖と分離し、問題を政治化する企みを無視して、この問題に対処しなければなるまい。その間、ソウルは虚報で人々を驚かせる可能性が高いが、こうした叫び声の強さは、政治情勢と密接に関係している。

  コンスタンチン・アスモロフは歴史学博士、ロシア科学アカデミー極東研究所朝鮮研究センター主任研究員。オンライン誌“New Eastern Outlook”独占記事

記事原文のurl:https://journal-neo.org/2020/10/12/the-fukushima-daiichi-npp-and-its-radioactive-water-problem/

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 休場だらけの大相撲開始。途中中止ということはないのだろうか。全員、15日間隔離して生活させるのだろうか。

 汚染水問題を放置して不幸オリンピック強硬方針。与党も大本営も暴徒同様。宗主国では暴徒が国会に乱入した。属国では、暴徒が常時国会を支配している。

 今日の孫崎氏のメルマガ題名 悲しい現実に座布団十枚!

転載:日刊ゲンダイ「くじ引きで決める首相の方が菅首相より立派になるのでは。日本の司法制度に「裁判員裁判制度」。この際、首相もくじ引きで選んで決めたらどうだろうか。考えて!。くじ引きで選んだ首相の方が、菅首相よりあるべき姿に近い政治をするだろう。

 呼吸するように易々とウソをつく男が、アンダーコントロールという真っ赤なウソをついて、不幸オリンピックを引き寄せた。原発事故自体、緊急電源対策を無視した彼と東電の人為的失敗が遠因。汚染水問題、アンダーコントロールどころではないことの証明。これについては、過去再三書いている。

 2006年3月1日の国会質問に全てが凝縮されている。驚くほど的確な共産党吉井英勝議員の質問と、いい加減な寺坂信昭のでたらめ回答にご留意願いたい。こういう場面、毎日繰り返して放送してもらいたいくらい。

吉井「最悪の場合は炉心溶融ですね。最悪の場合」
寺坂「最悪といいますか、あの(笑)。そもそもそういった事態が起こらないように工学上の設計がなされておりまして」

 原発事故 吉井議員質問ダイジェスト

 質問趣意書もある。日本人には、こういう基本的な文書を読む能力がないのだろうか。

 巨大地震の発生に伴う安全機能の喪失など原発の危険から国民の安全を守ることに関する質問主意書

 衆議院議員吉井英勝君提出巨大地震の発生に伴う安全機能の喪失など原発の危険から国民の安全を守ることに関する質問に対する答弁書

 日本がコロナに負けた証明の無観客アジア大会なら開催可能。メダル大量獲得国アメリカもロシアも参加できまい。中国一人勝ち。悲惨なオリンピック又はオリンピック中止後の衆議院選挙どういう結果になるだろう。そもそもオリンピックが開催されれば、コロナは一層大爆発する。選挙そのものが不可能になるかも知れない。庶民にとって最良の結果は五輪中止。昔都民ファーストの熱狂的支持者から五輪バッジをもらった。捨ててはいないが行方不明。

 最近思うが、自民党・公明党・異神売国政権と忖度官僚コロナ対策、決して失敗でも馬鹿でもない。コロナ爆発に渾身の力を振るっている。ぼろぼろにしてから、アトキンソンや竹中を代理とするアメリカ巨大資本に売り飛ばすのだ。

 いささか古い記事を翻訳しようと思った理由は単純。岩波書店の月刊誌『世界』2月号で「廃炉への現実的道筋を提起する 上 汚染水の海洋放出は必要ない」を読んだため。雑誌をお買い求めの上お読みいただきたい。無料で吹き込まれるテレビ洗脳情報しか見なければ、だまされつづける。極力テレビの洗脳番組を見ず、有償か、時間をかけるかして、まともな情報源から情報を得ない限り。

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