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2020年12月22日 (火)

「マキアベリのように考え、ムッソリーニのように行動する」

アラステア・クルック
2020年12月14日
Strategic Culture Foundation

 今月早々、レバノンのアル・マナル・テレビは、ヒズボラ無人機が撮影したガリラヤのイスラエル基地映像を放送した。Branniteのイスラエル基地と北イスラエルのRowaysatアル・アラム司令センターを映像で見ることができる。その軍事知識が高く評価されているSouthfrontによれば、ヒズボラは、戦闘能力があるものも含め、様々な無人機を現在、運用している。各種報道は、ヒズボラが(イランの支援で)手ごわいステルス無人機と、誘導巡航ミサイルの部隊戦力を確立したことを示唆している。ロシアとつながる軍事サイト、Southfrontは、今日、この集団は、世界中の多くの軍隊より良く訓練され、装備が整っていると結論している。

 イスラエルは、始めて「次の戦争」がレバノン領に限定されないと確信している。国境が侵され、攻撃的戦闘部隊が入植地や家に入り、イスラエル部隊と衝突するだろう。

 これは巨大な「チェス」だ。おそらくは(2006年の戦争のように、タンクではなく)武装無人機や、自爆無人機や「誘導」ミサイルの組み合わせが支配するだろう。ヒズボラとの新たな戦争についての、進展する理論では、イスラエルは全ての飛行場が、精度が高いミサイルで爆破されると考えている。(そのため、航空防衛で、あり得る無人飛行機やミサイルの集中攻撃に対し、航空優位を維持するため長い滑走路を必要としない新世代F-35B戦闘機の飛行中隊をいくつかアメリカから入手しようとしている。)

 これは、イスラエルやアメリカの、イランに対する、いかなる「軍事」オプションであれ、それしかけた側の自殺用「赤い錠剤」へと変換させるイランの一つの要素だ。静かに、過去四年間、世界中が、(核兵器と想定されている)「巨大なもの」に注目していた間に、イランは、ガザ、レバノン、シリアとイラクからイエメンまで、この地域を包囲する通常の「ミクロ」兵器の、「群れの」「誘導」(事実上、レーダーで検知できない)「アリの巣」を作ったのだ。

 それはまだ、(もはや時代遅れかも知れない枠組み「巨大なもの」-JCPOAに執着している)アメリカやヨーロッパの考え方の中には浸透していないが、イランは静かに計算をひっくり返したのだ。今や、イランが影響力を持っている。しかも、イランには、(東に向くことで)他の貿易の選択肢もある。イスラエルと湾岸「同盟諸国」は、対照的に、防御態勢にある。

 すると次は何だろう?アメリカの制裁解除に60日間の期限を設定するイランの法律が発効した。アメリカがそうしない場合、この法律は、イランがウラン濃縮レベルを20%に引き上げ、その核施設への国連査察官のアクセスを制限しなければならないと規定している。イスラエルにとっての結論は、この新パラダイムは、アメリカとの速い秘密協議が必要なことだ。

 イスラエルの中には、明らかに「これを理解している」むきもある。いくつかの分割スクリーンという現実の一つでは、それは、もっぱら(アメリカの政治が注力している)核だが、別のスクリーン上に映っているのは、テーブル上に軍事的選択を戻しているアメリカに対するイランの赤い錠剤抑止力だ。

 だがマイケル・ブレナー教授が述べている通り、アメリカでは(イランとJCPOAは、一つの例外だ)で「外交政策は、これまで二年間、軽視されてきた」。"JCPOA問題でさえ、イランが我々の重大権益を脅かす敵性国家で、このイスラム国家が消滅すれば、極めて嫌なものを無くせるだという二重の命題に対する反対意見はごく僅かだ。この合意は極めて蔓延しており、対外政策界は、批判的思考に対する集団免疫のようなものを獲得してしまった。 政治エリート、シンクタンク、コンサルタント専門家連中全員が同じ賛美歌集を合唱している。既存の相違は、基本的に同じ脅威の評価や、脅威とされるものに対処する戦術に関して、かろうじて目に見える相違だけだ。戦略はどこにもない」。

 現在、我々は「テクノ排他主義者」の見方に、極めて影響を受けやすい。これは、軍事的であれ、アルゴリズム制御であれ、技術は抵抗できない変化の動力源なのだと、絶えず我々が言われているためだ。その結果、我々は今や、我々の問題に対する解決が、益々、技術(あるいは、より多く、より良い武器)以外のものである未来を想像できない。明らかに、兵器の段階的進化は(実際そうだった)戦略上の大変革をもたらすものになり得る。それでも歴史の最良の教訓は、未来は、技術だけで形成されるのと同様、文化的、社会的動的関係に決定されるということだ。

 そして、アメリカが文化的な青対赤「戦争」を経験する中、中東も、自身の文化戦争をしており、それはワシントンが批判的な声に「全く耳をかさずに」自分をとりまく世界を、光の勢力と暗闇の勢力、自由対専制;公正対圧迫と残虐さ、というマニ教的善悪の争いと定義していることで益々悪化し、手に負えなくなっている。

 ワシントンは、本当に鏡の中の自身の姿を凝視して、世界の他の国々に、幅の広いショールを投げかけているのだ。アメリカ大統領選挙は、もはや純粋に政治的なものではなく、今や、宇宙の悪魔に対する、あるいはデミウルゴス(トランプ)に対する「十字軍」だとされている。中東にとって、この要点は、アメリカが「悪で有害」と定義するものは、他の社会の文化戦争(アメリカの自身のものと、いささか異なる)以上のものではないかもしれないということだ。

 要点はここだ。軍事的であれ、金融上のものであれ、技術は決定要因ではないことが良くあるのだ。イランは強いストレス下に置かれたが、それでも、イランは解決策(精巧な抑止兵器)を作るための内部資源を見いだした。イランは社会的、文化的エネルギーを示したのだ。これは重要だ。

 歴史哲学者ジャック・バーザンはこういう質問をしている。「何が国を作るのか?」彼は自身の質問に答えている。「この質問への答えの大部分は、これだ。共通の歴史的記憶。国の歴史が、学校でしっかり教えられないと、若者が無視し、資格のある年長者が誇らしげに拒絶し、伝統の意識は、破壊を望む気持ち以外の何ものでもなくなる」。

 The Atlantic誌12月号には、動物学者のピョートル・トゥルチン教授のインタビューがある。彼は初期の経歴で人口動態を分析して過ごした。なぜ特定のかぶと虫の種が、ある森林に生息するのか、あるいは、なぜそれは、同じ森林から消えるのか?彼はこのようなことに、いくつか一般原則を展開し、それが人にも、あてはまるか考えた。

 トゥルチンが気付いた繰り返されるパターンの一つは、彼が「エリート生産過剰」と呼ぶものだ。社会の支配階級が必要な支配者数より速く増加すると、これが起きる。(トゥルチンにとって、「エリート」は政治指導者だけではなく、経済食物連鎖の頂点の人々や、全ての企業や大学や他の大きな社会組織を意味するように思われる。)The Atlanticは、こう説明している

「支配階級が発展するための一つの方法は、生物学的なものだ。皇族の身分を彼らのために作れるより速く、王子や王女が生まれるサウジアラビアをお考え願いたい。アメリカ合州国では、エリートは、経済と教育の上昇流動性によって、彼らを過剰生産する。益々多くの人々が金持ちになり、益々多くの人々が教養を身につける。これらのどれも、それだけでは、悪いものには聞こえない。我々は、皆が金持ちで、教養を身につけるのを望まないだろうか?金とハーバード学位が、サウジアラビアでの高貴な身分のようになると、問題が始まる。多数の人々がそれを得ても、ごく僅かの人だけが実権を持てば、最終的に、権力を持たない人々が、権力を持った人々を攻撃する」。

 差し迫る崩壊の最終的な引き金は、国家破産になりがちだとトゥルチンは言う。ある時点で、増大する不安は高価になる。エリートは施しや景品で、不幸な市民を静めなければならない。そして、これらが品切れになると、彼らは意見を異にする人々を取り締まり、人々を圧迫しなければならない。最終的に、国家は、あらゆる短期的解決策が枯渇し、これまでまとまっていた文明社会が崩壊する

 トゥルチンの記事は、現状のアメリカ合衆国の説明として共振するよう意図されており、実際、共振している。ところが、これは、中東の多くを正確に記述している。特に、安い石油価格という文脈で。この地域は経済大惨事だ。しかも、トゥルチンの観察は、この地域の独裁者だけではなく、いくつか重要な点で、すなわち社会の貧困と不均等で、これは、イスラエルにも、他の国々にもあてはまる。

 文化的「戦争」は、文明の「生命」が衰退しているのか、それとも元気で創造力に富でいるかの問題でもある。

 イラン革命の後の、9/11事件と「アラブの春」、NYTマガジンの長いエッセイで、ロバート・ワースは、ムハンマド・ビン・ザーイド(MbZ)アブダビ皇太子のような重要な湾岸指導者の当初の政治的イスラム開放性、ムスリム同胞団承認の道から、彼自身の封建権力への移行は、「両立しない」という。

 MbZは、ムスリム同胞団やイランと、徐々に執念深く対立し、さらにサウジアラビアのワッハーブ体制にさえ用心深かった。2013年までに、MbZは深く未来を心配していた。アラブの春蜂起が数人の独裁者を打倒し、政治的イスラム主義者が真空を満たすため立ち上がった。ワースは更にいう

「それは破滅的な暴力の処方箋だった。地域大国は、ほとんどそれを止めようとしなかった。トルコは、自分が好むイスラム主義者を支援し、彼らの一部に武器を与えた。ペルシャ湾のU.A.E.の石油に富んだ隣国カタールもそうだった。サウジアラビアは、高齢の病んだ君主に阻まれて、態度を決めかねていた。」
「彼は間もなく、色々な意味で、MbZの被保護者で、MbSとして知られている若いサウジアラビア皇太子ムハンマド・ビン・サルマーンを同盟者として支持を得ることになる。彼らは協力して、2013年、選出されたイスラム主義大統領を、エジプト軍が退陣させるのを支援した。2015年、MbZは、国際連合の禁輸とアメリカ外交官に反抗し、リビア内戦に足を踏み入れた。彼はアフリカの角で陰の実力者となるべく、サウジアラビアの商業港町を利用して、ソマリアで、アル・シャバブ勢力と戦った。彼はイランに支援されるフーシ派民兵と戦うため、イエメンで、サウジアラビアの戦争に参加した。2017年、彼はペルシャ湾の隣国カタールに対して攻撃的通商停止を計画して、古い伝統を壊した。これの全てが、差し迫るイスラム主義の脅威と彼が見たものを妨害することに向けられていた。」

 もちろん、この全てと、サンドハースト王立陸軍士官学校で教育を受けた君主のモデル「スパルタ」軍で、ワシントンで彼はスターになった(後に、オバマがモルシを支持したため、更に、MbZが反対したオバマのJCPOAで、その後喧嘩別れした)。

 すると、この差し迫った文化的戦争の大惨事への、湾岸とスンニ派の反撃は一体何なのだろう?MbZは意欲的な夢を実現した。「全てのイスラム主義運動が失敗していたことを、成功して示す国を構築する。トルコののような非自由主義的民主主義国家ではなく、1960年代と1970年代、リー・クアンユーがシンガポールでそうしたように、彼はその反対の、社会的にリベラルな独裁国を作るのだ。」未来は二者択一だった。抑圧かカタストロフィーか。彼は抑圧を選んだ。「それは「文化戦争」だ」と彼が言った。

 これは(ごく小さいにせよ)まとまった文明社会の崩壊だった。湾岸の文化伝統はイスラム主義とイランの「ウイルス」から守るため骨抜きにされつつあった」。頻繁に地域を訪問したワースさえ、超資本主義のガラスの塔下、大洞窟をあてもなくさまよう、住民を「根なし草の個人」と描写した。エネルギーは枯渇し、文明が穏やかに死んでゆく。

 だがイスラエル人解説者ズヴィ・バレルにとって、MbZのイスラエルとの正常化は、MbZの世界観構造中に、更に織りこまれる不可避の継続だ。「ムスリム同胞団に対する彼の憎悪は、彼が特に首長国連邦、スンニ派イスラム全般にとっての明確な差し迫った脅威と見ているイランに対する彼の不安と等しいのだ」。

 中東で、スンニ派の「古い」支配体制が、地域のシーア派に圧倒される恐怖で身を震わせている瞬間、シーア派は、広範にルネッサンスを楽しんでいる。イランが示しているように、文化的活力は抑圧に打ち勝つこと可能だ。そして文化的復活に対する正しい対応は、決して「軍事的選択」ではない。イランがJCPOAでの対決で準備できていることが、欧米の路線転換を緊急なものにしている。それは起きるだろうか?ワシントンでは、ほとんど起きるまい。我々は、出来事を待ち受ける「永久封じ込め」に対するイスラエルとアメリカの要求の崖っぷち沿いに、ふらつきながら神経質にすり足で歩くしかあるまい。

 アラステア・クルックは、元イギリス外交官、ベイルートに本拠地があるコンフリクツ・フォーラム創設者で理事長。

個々の寄稿者の意見は必ずしもStrategic Culture Foundationのものを意味しない。

記事原文のurl:https://www.strategic-culture.org/news/2020/12/14/thinking-machiavelli-acting-mussolini/

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 スガーリン政権によって、また一人排除されようとしている今、元NHKディレクターによる講演会のIWJ録画は中身の濃い二時間だ。

201219 【兵庫】「第52回 メディアを考えるつどい」 菅政権のメディア介入とNHK国策放送局への道

 報道1930での菅首相に対する保坂正康氏の指摘は全面的に同意する。余りにまともなご意見に驚いた。

 NEWS23出演スガーリン。日本学術会議任命拒否に壊れたレコード。聞くべきもの皆無。コロナ対策皆無。

 タヌキ会見は聞かなかったが、日本医師会の会見はしっかり拝見。

 LITERA

菅首相の追加経済対策の内訳に唖然! 医療支援や感染対策おざなりでGoToに追加1兆円以上、マイナンバー普及に1300億円

 『東京終了 - 現職都知事に消された政策ぜんぶ書く』を刊行した舛添要一氏、女帝タヌキが東京をぶち壊して逃げた後、再度、都知事を目指しているのだろうか。

 日刊ゲンダイDIGITAL

安倍前首相は国会招致へ「桜疑惑」再燃で自民内紛が表面化

 2017年10月に翻訳した記事「安倍首相はうまくやってのけたが、涙に終わるだろう」三年後の今読んで納得。御用評論家や大本営広報部よりニュージーランド人学者の方が、遥かにまとも。

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