中国外相の韓国訪問:口先ばかりで中身なし?
2020年12月4日
コンスタンチン・アスモロフ
New Eastern Outlook
中国の王毅外務大臣は2020年11月25日から11月27日までソウルを訪問した。中国外務大臣の前回ソウル訪問は2019年12月だった。大韓民国の公式マスメディアは、訪問を「二国間関係における未曾有の成果」と報じたが、公式結果をひと目見て、社交辞令を吟味すると、いくぶん異なる構図が見える。
二日間の日本訪問完了後、王毅外相は、11月25日夜、韓国に到着した。
11月26日朝の大韓民国外務大臣康京和と交渉と合同会食の際、様々な課題が論じられた。一番目は、中華人民共和国の習近平主席のソウル訪問と、ソウルで開催される韓国・中国・日本三国サミット計画に関係する話題だ。二番目に、Covid-19世界的流行に対する戦いでの協力と、二国間関係を強化する他の実際的な方法に触れた。三番目に、彼らは朝鮮半島の非核化問題や、いわゆる「共通の関心」である他の地域の国際問題に触れた。
会談の初めに、韓国外務大臣は、景気回復を達成し、地域で平和と安定を維持するため、Covid-19に対する戦いで両国が、積極的に世界共同体に協力する希望を表明した。
王外相は、韓国と中国が「地域平和と安定性に貢献し、地域経済統合を推進し、グローバル・ガバナンスを補完する」ため協力すると述べたが、それ以上は述べなかった。アメリカとの対決の中、北京はソウルを味方につくよう説得しようとするだろうという推測の中での、これらの発言だ。更に、記者団に、中国-アメリカ・ライバル関係という環境で、彼の訪問は評論家たちから、どのように見られるかと尋ねられて、王外相は言った。「アメリカ合は世界で唯一の国ではありません。世界には合計190の主権国家があり、それぞれ独立しています。中国も韓国も、そうした国々です」。
両大臣は、二国間の30周年記念日を前に、ソウルと北京関係の将来の発展計画を作成する仕事を課された「委員会の設立に原則として同意した」。
習近平中国国家主席のソウル訪問は、Covid-19の状況が安定し「状況が進展」次第、可能になるだろう。
両大臣は、北朝鮮の非核化を含め、朝鮮半島状況の安定化が和平プロセス前進の条件を作り出すと指摘した。韓国メディアによれば、二人は「Covid-19を背景に、アメリカ指導部の政権移行期間を、平壌は静観的な姿勢で見ているという意見を共有し、半島の現状の安定した管理が北朝鮮の挑発を防ぐため必要なことに合意した」。
最終的に、両者は、2021年-2022年、より広範な文化交流のために準備し、2021年-25年の経済協力における共同計画を採択する努力促進のため協力することに同意した。
同時に、韓国内のアメリカ・ミサイル迎撃システム施設を巡るスキャンダルを背景に起きた、韓国の文化的コンテンツに対する中国の制限継続に対し、康京和外相は中国の積極的協力を求めた。王外相は、この問題に関し、何も言わなかったが、伝染病対策と公衆衛生に関する北東アジア共同構想というソウル提案に強い支持を表明した。
大韓民国外務大臣との昼食後、王外相は青瓦台に行き、文在寅大統領を表敬訪問し、王毅によれば韓国大統領の格別の重要性を認めている中華人民共和国習近平主席の「特別メッセージ」を手渡した。これに答えて、文在寅大統領は、ソウルは「朝鮮半島での戦争を(正式に)終わらせ、完全非核化と、中国を含め国際社会との恒久平和を実現する取り組みを止めない」と述べた。
王外相は、与党、共に民主党代表の李海?(イ・ヘチャン)や数人の民主労働党議員との晩餐会に出席した。2018年、シンガポールでの最初のアメリカ-北朝鮮サミット時に達した合意は維持されるべきだと語ったと出席者たちは述べた。
11月27日、王毅外相は、大韓民国大統領文在寅の外交問題・国家安全保障補佐官と、与党の共に民主党指導部代表と会った。
ソウルを立つ前に、中国外務大臣は国会議長朴炳錫(パク・ビョンソク)と会い、彼が「(朝鮮の)南と北が朝鮮半島の本当の主人だ。だから、朝鮮半島の運命は南と北両方に委ねなくてはならない」と指摘し「重要な隣人として、中国は建設的役割を果たし続ける」とつけ加えた。
国会議長は、北朝鮮を非核化する取り組みを継続する上で、中国の支持を求め、気候変動に対処するため、北東アジアで協力組織構築を考慮するよう中国に求め、両国の戦略交渉を体系化し、国際的に認められる高い標準レベルにしたいという希望を表明した。
何が言えるだろう?王外相の韓国訪問は、中国共産党中央外事活動委員会弁公室主任楊潔?(ヤン・チエチー)が2020年8月に釜山を訪問してから、わずか三カ月だ。中国の主要な外交的政治家による一つの国への連続訪問は極めてまれだと考えられている。
アメリカと中国が競争する中、北京から見て、韓国の戦略的重要性が増大しているあかしだと専門家は言う。日本訪問と比較して、王が多数の相手と話しあった事実で、これを補足する向きもある。セントルイス・ワシントン大学の近代中国史特任教授Zhao Maは、韓国タイムズにこう語っている。「ソウルと東京を訪問する中国外務大臣の任務は、バイデン勝利後、コロナ流行を前に、二つの隣国と中国の絆を安定させ、強化することだ」。彼の意見は「北京には取り組むべきことが多々あり、ソウルに多くを期待している」。
だが、大げさな言葉のわりに、訪問の成果は、むしろ控え目だ。
- 結果的に、特別宣言としての共同声明がなく「特別な口頭メッセージ」の本質は、実際非常に異なっていることがあり得たはずだ、その内容がメディアに漏らされなかった事実はある考えを示唆している。
- 中国外相の訪問には、事実上の理由がない。「状況が進展次第」は、かなり曖昧な言葉遣いで、王外相が「コロナ流行がどの様に進展するか」から、そうのべた事実も、多くを物語っている。
- 朝鮮民主主義人民共和国問題に関し、両者は宣言を取り交わしたが、北京は何も新しいことは言わなかった。北京は、和平策定プロセスを組織する上で、建設的役職を果たすと約束し、概して、実際に努力している。
- 大韓民国の文化コンテンツに対する非公式制裁解除要請は本質的に無視され、他の問題に関し両者は「交渉すること」「取り組みを加速し」ロードマップを作るのに同意した。
王毅外相は明らかに、大韓民国は朝鮮民主主義人民共和国同様、独立国家で、アメリカ以外の国がないわけではないことを強調しようとしたが、彼の意見がどれほど受け入れられたかは、まだわからない。私が繰り返し報じているように、北京とワシントン間の仮想的対決において、ソウルの機微な分野に対するアメリカの支配は遥かに強力なのだ。
コンスタンチン・アスモロフは歴史学博士、ロシア科学アカデミー極東研究所朝鮮研究センター主任研究員。オンライン誌“New Eastern Outlook”独占記事
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大本営広報部の外に目をやれば、惨憺たる事実だらけ。
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https://iwj.co.jp/wj/member.old/nikkan-20201124#idx-2
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