ニュージーランド新外務大臣、欧米の中国バッシングへの参加を拒否
2020年12月15日
ジョセフ・トーマス
New Eastern Outlook
ニュージーランドは、アメリカ、カナダ、イギリスとオーストラリアと並んで「ファイブ・アイズ」諜報同盟仲間なのにもかかわらず、「ファイブ・アイズ」のより大きな国々が中国に対して行なっい、絶えず強化している宣伝攻勢に加わる試みに抵抗した。
この理由は、いくつかあるが、中国がニュージーランドの最大の貿易相手国だという事実が、中でも最も重要だ。
過去数十年にわたり、ニュージーランドは他の「アイズ」より中国とずっと親密な関係も享受している。ニュージーランドは中国との自由貿易協定の最初の参加国だった。2018年時点で、中国人住民は、ニュージーランド人口の5.3%を構成し、成長しつつある。
ニュージーランドは中国の意欲的な一帯一路構想(BRI)に参加している唯一の「アイズ」でもある。
中国とニュージーランドの結びつきが極めて親密なので、中国とのつながりと、北京のBRIへの関与が、他の「アイズ」の国家安全保障に対する「安全保障上の危険」となった場合、「ファイブ・アイズ」は、ニュージーランドと「縁を切る」可能性を、アメリカのマイク・ポンペオ国務長官が示唆した、と「NZは、依然、中国の一帯一路での場所を画策している」という記事で、ニュージーランドのスタッフ紙が報じている。
ニュージーランド新外務大臣は国益第一
中国との関係と、「ファイブ・アイズ」の間での立場が、ますます逆説的になりつつあるニュージーランドの縮図を描いたのは、カタール国営メディア、アルジャジーラの最近のニュースで、アルジャジーラのリシェル・キャリーが、新彊のウイグル人と、香港の反政府活動家に対する取り締まりを巡る主張で、中国に圧力をかけるのをニュージーランドが拒否したことで、ニュージーランドのナナイア・マフタ外務大臣を、いびったのだ。
マフタ外務大臣は、中国はニュージーランドの最大貿易相手国で、ニュージーランドは、中国に対して、ニュージーランドが人権問題と統治をどのように考えているか言っており(中国も完全に理解している)、二国間の結びつきに、干渉するべき問題ではないと断固述べた。
中国に対する、こうした主張の多くが、アメリカ政府や、アメリカ政府が影響を与えたり、資金供給したり、指示したりしている報道機関(アルジャジーラを含め)が推進しているものであることを、アルジャジーラは言わない。標的にした競争相手に対して、アメリカの外交政策を推進するために、このような主張を造りあげるアメリカの実績にも言及していない。
例えば、新彊での中国の治安活動は、何百人もを殺害した何年もの致命的なテロの後、最終的には、中国に帰国する何千人ものウイグル過激派が、紛争で、シリア政府に対して戦争をしている中、行なわれているのだ。
新彊での脅威は重大だが、この脅威を軽減しようとする中国の取り組みを、欧米は、「人権侵害」として描こうとするのは、中国内でのテロリストの脅威も、シリアのウイグル過激論者の訓練や武装も、共に欧米とその同盟諸国に資金供給され、組織されているのだから、実に身勝手だ。
香港の人々による抗議行動は、言論の自由と、「民主主義」への熱望に過ぎないという主張による、香港での中国による虐待に対する告発についても同じことが言える。実際は、抗議行動参加者は、北京が対応するべき、もう一つの治安上の脅威と、その対応を「制圧」として欧米が引用できるもう一つの機会を作るために、アメリカが資金供給し、組織しているのだ。
ニュージーランド外務大臣は、中国を狙った、これらのあからさまな挑発で、他の欧米諸国を非難することはありそうもないが、これら挑発や、それへの中国の反応を、中国を「非難する」機会として利用する上で役割を演じるつもりはないと明らかに決めている。
ここには、欧米の一部が、地政学的に起きている潮の変化と、中国の勃興が、脅威というより、機会であることを、ゆっくり実感している楽観的な兆しがある。それは、2003年に、イラク戦争をもたらし、2011年以来、北アフリカから、中央アジアのアフガニスタンまでの地域を破壊している体制こそが、実際は脅威で、中国が脅威だという欧米の主張は虚構で、ワシントン、ロンドンとブリュッセルが取り仕切る、現在の支配的な国際秩序の見せ掛けを一部の国々が放棄している希望の兆しでもある。
ジョセフ・トーマスはタイを本拠とする地政学誌The New Atlas編集長で、オンライン誌New Eastern Outlook寄稿者。
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