アメリカ大統領選挙戦 大詰め
2020年12月11日
ウラジミール・ダニーロフ
New Eastern Outlook
当選者に関して公式発表が一カ月以上されないアメリカ大統領選挙戦最後のカーブで、アメリカでも外国でも、雰囲気は限界点に達しつつある。多くのアメリカ・テレビ局は、選挙の一日前も、客観性のふりさえするのをやめ、この「アメリカ民主選挙」の、本当の、お世辞でない、本質を示す直接プロパガンダを放送した。投票日11月3日の一カ月後でさえ、様々な州での、ドナルド・トランプとジョー・バイデン支持者間の対立に関する報道がほぼ毎日ある。これまで犠牲者がいないのは事実だが、多くの事件が起きている。
アメリカ社会じゅうの民意が、二つの「国民の選択」に関して、完全に対立している様子が、アメリカ・メディアによって、はっきり実証された。
例えば、フォックス・ニュースで、ライターで活動家のチャーリー・カークはこう強調している。
「ジョー・バイデンのような連中が、何十年間も我々の中産階級を外国に売り、多国籍企業の経費で豊かになった。トランプ大統領は、これら全ての絶え間ない戦争を終わらせた。彼の全ての決定は、どうやって更に金を儲けるかではなく、国と労働者の利益に基づいていた。トランプはアメリカをより明るい未来に導こうと望む唯一の戦士だ。」
共和党の元フロリダ州議会下院院内総務マイク・ファザーノはCNNで反対意見を表明した。
「トランプが選出された時、多くの共和党員が彼が国を団結させ、異なる立場の人々をホワイトハウスに招き入れ、我が国の利益のため、彼らと協力することが可能になるだろうと希望した。だが不幸にも、彼はホワイトハウスに何も新しいもの導入しなかった。まったく逆に、多くのことがホワイトハウスから消えた。品位、深い思いやりや愛国心。ただ一だけが今そこに残っている。憎悪だ。」
アメリカ大統領選挙は、誰にも、それに反対する一言も言わせずに、誰でも公然と、プロセスを偽って伝えられる好例になった。民主党は、ほぼ全ての州で、大量の投票用紙をバイデンのために混入させていたが、主流アメリカ・メディアは、異口同音に見て見ぬふりをした。11月25日、政治評論家のタッカー・カールソンは、フォックスニュースで「青」がどのように勝利を勝ち取ったか詳細に言った。ただし主にウソによって。
現在、彼の競争相手に対して、法廷で押し返そうとするドナルド・トランプの必死の試みにもかかわらず、アメリカ選挙の歴史で、最もスキャンダラスなものだった可能性が高い2020年選挙の挽肉機で、ジョー・バイデンが勝利者となったことは益々明確になっている。だが挽肉機の挽肉は逆向きにクランクを回して戻せないのは周知の事実だ!
MSNBCが報じているように、一部のアメリカ人有権者は、元不動産デベロッパーのトランプが、順調に何かを作り出すことを望んでいた。だが、彼の支配の四年後、一つ明白なことがある。トランプは、多くの国々とアメリカの関係だけでなく、相当な数の重要な国際条約に破壊をもたらす上で、天下一品の専門家であることを示した。だから、新政権には、転生するアメリカが世界秩序を構築する上で、膨大な量の仕事が用意されているはずだ。
それが、まだ就任さえしていない、78歳のジョー・バイデンが、指導権を握った最初の数日の構想を既に練っているのは驚くべきことではない理由だ。彼の最重要優先事項には、トランプに成立された法律の大部分を破棄することも含まれる。例えば、彼は、アメリカを気候変動に関するパリ協定と、WHO加盟国に復帰させ、トランプがアメリカへの非合法移民入国を制限するため成立させた移民法を破棄するつもりだという可能性が極めて高い。暫定的に、バイデンは、イランにも若干の強調を置いている。「爆弾」ではなく、核合意がされるだろう。
バイデンによる、いくつかの演説から判断して、彼の本当のイメージは、多くの放送局が彼を描き出したものとは全く違うことが既に明らかになっている。名目だけの国家指導者になる弱い老人。現実には、彼は外国政策経験が極めて豊富で、戦略的に考える能力や、出来るだけ強硬に行動する意志がある経験豊かな専門家だ。だから、多くの国々でここ数週間にされた多くの予想は希望的観測になるだろう。そうしたものの一つは現在のウクライナ政治エリート集団が、熱心にジョー・バイデンのホワイトハウス入りを待ち受ける「雲一つない、絵のように美しいウクライナの未来」とされ予想だ。
新たにアメリカ大統領に当選したジョー・バイデンは、ウクライナ貴族の子孫だ」とウクライナ国立大学政治学教授ヴァレリー・ベビクがウクライナ・メディアに公式に述べた。「ジョー・バイデンがザポロージェ・コサック開祖バイダ・ヴィシニェヴェツキーの遠い子孫なのを、ほとんど誰も知らない。彼の高祖父、ロンドン銀行家が、保管するよう、ポルボトクの黄金を与えられ、そのおかげでアメリカが大国になったのとベビクは世界に語っている。学歴が実際はエンジニアである、この「歴史家」による「研究」は、キエフで真剣に受けとめられ、彼の著作は、頻繁にタラス・シェフチェンコ国家勲章にノミネートされている。2015年、ペトロ・ポロシェンコ大統領は、ベビクを、ウクライナ情報政策省が運営する地域評議会の議長に任命した!だから、ベビクがジョー・バイデンの本当の起源について「発見」した後、明らかに、キエフは、当時バイデンの先祖に委ねられたポルボトクの黄金は、再びザポロージェ・コサックに返還され、それによって、現在のキエフのあらゆる問題が解決するのを願っているのだ。
だが、イスラエルの情報機関ユダヤ人連絡庁の元長官ヤーコフ・ケドミは、キエフが抱く、これら希望と完全に意見が違う現実主義で、アメリカ、あるいは欧米一般で、最近は、絶対誰もウクライナを全く必要としていないと考えている。モスクワにより近い足場を得られるよう、アメリカ陸軍や海軍、あるいはNATOの基地に変えられなかったにせよ、アメリカは既にロシアに害を与える歴史的使命を果たしたのだ。アメリカは、ウクライナ領空を利用しようとしているが、それはロシアが認める場合に限ってだ。「トランプ政権」時代に達成されたものを含め、ワシントンによる多数の企みの後、ウクライナは、以前の様々な国富、経済や産業を失っており、「将来」バイデンが正式に大統領になれば、彼にはウクライナのための時間はないだろう。結局、バイデンは、自国か壊滅的状況にあり、ウクライナとの難しい関係ではなく、むしろ中国やヨーロッパやイランや中東の関係を検討するだろう。
それにもかかわらず、イスラエルは別として、最近多くの国々や政治家は、アメリカ大統領選挙戦の、この最終曲線の終わりと、それに伴いホワイトハウス入りする人物による、世界にとって積極的変化の可能性を落ち着かない様子で待っている。そのため、11月25日に、大統領選挙でのドナルド・トランプ大統領の敗北について、イランのハッサン・ロウハニ大統領がメディアに表明した満足も、彼の言葉も、決して驚くべきものではない。「アメリカ人と全世界がトランプを追い出した。アッラーに讃えあれ。」
ホワイトハウスの新しい主としての民主党候補ジョー・バイデン当選に関するドイツのフランク=ヴァルター・シュタインマイアー大統領のディ・ツァイト紙インタビューでの声明は、それと大いに共鳴していることが分かる。「今多国主義のこれ以上の浸食と、国際機構の弱体化を止めることが可能だ。NATOは、トランプの更なる四年を生き抜けなかったはずだ」。
だが、この旧ホワイトハウス政権は、イランに対する電撃攻撃という形や、他のワシントンの敵国に対して、自身の「強烈な印」を残すために、まだ十分な時間がある。情報通のアメリカの情報分析ポータルAxiosが繰り返し読者に、それを警告している。
2020年大統領選挙戦の最終カーブに、カーテンが最後落ちるまで唯一できるのは、アメリカ大統領の「国民の選択」の上で、理性と頭のさえが打ち勝つよう期待し、状況がどう進展するか、慎重に目を光らせることだ。
ウラジーミル・ダニーロフは政治評論家。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。
記事原文のurl:https://journal-neo.org/2020/12/11/the-final-stretch-in-the-us-presidential-race/
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GO TO政策急転換。医療関係者の声が届いたのだろうか? 支持率急落におびえたのだろうか?
この期に及んで、文句をいっている不思議な名古屋市長。
今日の孫崎氏のメルマガ題名
菅首相28日~1月11日の間「Go Toトラベル」全国一斉停止。加えて東京・名古行停止、11日には菅首相「考えていません」と述べたばかり。何故急変か。毎日、NHKで内閣支持率10%以上急落。NHKで見れば、安倍内閣の本年3月と同水準。よって危機感。
植草一秀の『知られざる真実』の今日の話題は深刻。
今日の日刊IWJガイド。日本の司法水準は近代以前!インタビュー後編。
<本日の再配信>本日午後8時より2018年5月9日収録「日本の司法の根幹にある『統治と支配』と『人権軽視』! 日本の司法水準は近代以前!~岩上安身によるインタビュー 第876回 ゲスト 元大阪高裁判事・明治大学法科大学院・瀬木比呂志教授」(後編)を再配信します
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