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2020年12月 2日 (水)

キルギスタンで選挙を支配しようと努めるアメリカ

2020年11月30日
ウラジーミル・オディンツォフ
New Eastern Outlook

 ウクライナ危機に影響を与える上で、ワシントンの予想通りには行かず、絶望的に行き詰まったアメリカは、近年、他のCIS諸国で暴動を計画し、ロシアの注意をそらすよう積極的に試みている。その一つは、他の中央アジア諸国と比較して、社会的不安定や、弱い経済や、穏やかな政治体制のため、外部干渉に脆弱なキルギスタンだ。

 中央アジアでロシアに近い最も重要な隣接諸国の一つとして、キルギスタンは常にアメリカの関心の的だ。キルギスタンは中東諸国と往来する上で素晴らしい地理的位置にある。キルギスタンは中東から密輸麻薬が入る有名なフェルガナ渓谷と境を接している。

 2014年まで、キルギスタン首都近くにアメリカ空軍基地があった。それは2001年、不朽の自由作戦の際、アフガニスタンのNATO分遣隊のために機能し、貨物と軍人をアフガニスタンに輸送するため、ビシュケクのマナス国際空港に作られていた。12年半にわたるキルギスタン基地の運用で、530万人の軍人がそこを通過した(月に兵士約3万人)。アフガニスタン上空でNATO航空機に燃料補給する切迫した必要性で、マナス米軍基地はこの問題解決に役立った。2005年、アンディジャンでの暴動を鎮圧するためのウズベク当局の行動へのアメリカによる非難に応じて、ウズベキスタンのイスラム・カリモフ大統領が、6カ月以内にハナバード基地を撤退するよう米軍に要求した後、それは特に重要になった。

 アメリカが長期間マナス軍事基地を維持したいと望んでおり、アフガニスタンでの戦争が、そのための口実に過ぎなかったのは明らかだった。マナス基地に構築した堅固な電子情報収集インフラが、ロシアや他の集団的安全保障条約組織CSTO国家や中華人民共和国のようなキルギスタンの巨大な隣人の軍隊をアメリカが追跡するのを可能にしていた。

 キルギスタンにとって、アメリカ基地の撤退は巨大な出来事だった。キルギスタンは、ユーラシア経済連合EAEUに加盟し、ロシアとのより大規模な統合を狙った他の措置をとり、今後の地政学方向についての結論を下したのだ。

 もちろん、アメリカは、マナスにおける軍事基地や、キルギスタンにおけるそれまでの支配的立場の喪失に容易には同意できなかった。あらゆるアメリカの資源は、キルギスタン共和国の世論に影響を与えるため全力をあげていた。交付金で資金供給されたキルギスNGO代表連中やメディアや専門家たちは、基地が「キルギスタン国家安全保障の唯一の保証」だと熱心に主張した。キルギスタンをアメリカ勢力圏に復帰させる計画を実行するため、かなりのCIA勢力が関与した。この作業は最近まで実行されており、2019年のジャーナリズム調査が、キルギスタンでの反乱を準備するためのCIA職員の活動の写真や具体的文書を公表して、このようなアメリカの行動の方向に、多少光をあてている。

 キルギスタンは、主権国家になって、わずか30年だ。この国は現代中央アジアで、新「グレート・ゲーム」の重要な戦略目標の一つだ。キルギスタン共和国が宣言した多重ベクトル外交政策の枠組みで、キルギスタンは欧米、中国とイスラム世界との間で親密な関係を確立した。ソビエト社会主義共和国連邦崩壊以来、ロシアとの関係は、外交政策と共和国内の政治活動にとって、中心的役割ではないにせよ常に重要な役割を占めている。

 近年、キルギスタンの政治生活は、支配集団の頻繁な変化が特徴だが、この国を形成している人々は、最近まで、歴史的に遊牧生活様式を送っており、部外者にとって、この国で、親欧米派の強力な野党を作ることは困難だ。

 にもかかわらず、ワシントンは、例えば、ウクライナで、そうであるように、キルギスタンの政治エリート集団の一部は外部の支配下になるべきだと信じるのをやめていない。彼らこそ権力を掌握すべき勢力で、そうならなければ、この国の状況を不安定させる。そしてこのような重大な局面を作るアメリカの試みは止まらず、それは特に、10月、キルギスタンで政治クーデター未遂によって実証された。

 これら条件の下、アメリカは、もはや、「どちらにするか決めかねている」ロシア国境に沿った境界の国で、選挙を支配する事実を隠しておらず、ウクライナ、モルドバでだけではなく、ここ数週間、キルギスタンでも活動の増加を見せ始めた。それで、ビシュケクのアメリカ大使館は、世界中で「カラー革命」を組織化への積極的参加で、よく知られているUSAID政府機関を通して、キルギスタンでの議会選挙(ジョゴルク・ケネシ、最高会議)と大統領選挙、12月20日(2021年1月10日)に、援助を提供すると発表した。このような催しへの、外部からのいかなる資金援助も、キルギス選挙過程に対するUSAID参加は、実際、キルギスタンの内政干渉であることは実にわかりやすい。このような行動は確実に、キルギスタンが、アメリカにとって有益な非営利組織に資金供給する金の流れを増やすことを意味するだろうし、これは主に、もちろん、野党、民族的・民主的組織だろう。可能性としては、民族主義や、民族主義的-宗教的なものもあり得る。このような弱い経済と、大きな社会的矛盾を持った国での「目覚め」は政治的混乱を増すだろう。

 だが今日キルギスタンには、ワシントンやアメリカ指導体制やキルギスタンのアメリカ大使館に抵抗する異なる目標を持った、他の当事者もいるのだ。

 にもかかわらず、この種の「アメリカ・イニシアティブ」に関する報道は、キルギスタンの政治勢力のためだけではなく、ワシントン独裁への絶対的な、実際、奴隷のような服従と、彼らの独立を交換するのを望まない他の国々も、警戒態勢をとるべき理由だ。

 ウラジーミル・オディンツォフは政治評論家。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。

記事原文のurl:https://journal-neo.org/2020/11/30/the-united-states-is-seeking-to-take-control-of-the-elections-in-kyrgyzstan/

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 猛烈な洗脳攻勢にもかかわらず、不都合な人物が当選すると、「ロシアの介入」だと四年間騒ぎ続けるが、自分が他国選挙に露骨に選挙介入する場合は、全く問題がない、というご立派な例外的宗主国。

 植草一秀の『知られざる真実』

コロナ対応に失敗し続ける自公政権

 数百人なり数千人なり数万人の支配層連中が、いくら阿呆でも、ここまで、やることなすこと失敗するはずはないだろう。計画的に愚作を繰り出し、失敗をよそおっているのではと想像してしまう。一体何のためか理解できない。

 日刊ゲンダイDIGITAL

コロナ対策そっちのけ 菅政権「携帯料金」ヤリ玉への異常

 携帯料金に注ぐエネルギーを、医療関係への支援やPCR強化に注いでも票につながらないということだろうか?

 今日の孫崎氏のメルマガ題名

英国内でのファーウェイ製5G機器の導入は長く論争。安全保障・外交関係者は米国圧力の下導入に反対、経済界は、英国は4Gすでにファーウェイ導入。5Gは4Gの上に設置。経済的にファーウエイ排除できないと主張。流れ逆転させ来年9月からの導入を禁止。

 日刊IWJガイドに、下記記事がある。本日午後7時から田代秀敏氏インタビュー。一部引用させていただく。

【1】ついにNTTドコモが携帯電話料金を引き下げへ!! しかしもともと日本の携帯電話料金は世界で最も高い! その高値には「カラクリ」が! しかもNTTは6Gを開発!? 本日午後7時からの田代秀敏氏インタビューで詳しいお話をうかがいます!

 皆様、必見の岩上安身による田代氏への連続インタビュー第3弾、ぜひとも御覧ください!!

 なお、インタビューは冒頭のみオープンで、その後は会員限定での配信となります。この機会にぜひ、IWJ会員へご登録の上、以下のURLよりご視聴ください!

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【IWJ_YouTube Live】19:00~「岩上安身によるエコノミスト 田代秀敏氏インタビュー」
視聴URL(冒頭以降は会員限定): https://iwj.co.jp/wj/open/archives/420867

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