イランを待ち受ける危険な挑発
2020年12月8日
Tony Cartalucci
New Eastern Outlook
最近のイラン人核科学者モフセン・ファフリザデ暗殺は、ほとんど大喜びの欧米メディアは、次期アメリカ大統領ジョー・バイデンが副大統領だった2015年に署名された、いわゆる「イラン核合意」に戻らないのを確実にする試みと決めつけている。
記事は、バイデンは、世界的な舞台で、アメリカを顕著なリーダーに戻そうと望んでおり、イランとの和解は彼の優先事項にあったと報じている。
欧米メディアは今、競ってイスラエル政府を非難しているが、イスラエルは、これら非難を軽視したり、誤りを立証しようとしたり焦っていないように思われる。この狙いは、最近のエスカレーションで、アメリカを無関係に見せることだ。イスラエルとイラン間で増大する緊張の中、世論を形成し、アメリカを無力だと描写する競争は、近い将来、あり得るどのようなアメリカの関与も、ワシントンとしては、招かれておらず、非計画的で、気が進まないように見せるよう意図されているのだ。
だが、イラン政府に悪影響を及ぼし、転覆するという狙いは、バラク・オバマを含め、複数の大統領に及ぶ、何十年も、アメリカ外国の政策にとっての強迫観念だった。
2009年という早い時期から、アメリカ政策立案者たちは、アメリカと同盟諸国を、イランとの紛争に更に向けて動かすため、アメリカではなく、イランが、侵略者のように見えるのを最小化するような方法で、この種の戦術を使う計画を詳述している。
ジョー・バイデン次期大統領が、アメリカ外国政策の危険な路線を逆転するのを待って、息をこらしている人々は、そもそも彼が、8年間副大統領として、この方向に進むのを推進していたことを忘れているのだ。
オバマ-バイデン政権は、実際、包括的共同作業計画(JCPOA)つまりイラン核合意を締結したが、同時に、アメリカは、地域でのイランの親密な同盟国シリアに対し、いまだに継続中の代理戦争を引き起こしており、これは、イランと直接対決する前に、イランの主要同盟国の一つを構図から外すことを狙った代理戦争なのだ。多くの点で、イラクでのアメリカの駐留と、イエメンで継続中のサウジアラビア戦争での役職も、この狙いに役立っている。
署名される何年も前から「イラン核合意」は崩壊の運命にあった
オバマ-バイデン政権のイランとの和平に対する見かけ上熱烈な願望にもかかわらず、それが署名される前から、JCPOAは崩壊の運命にあった。
当時、アメリカ政府による和平工作は、全くみかけだけで、合意が公的に論じられる何年も前、署名されるずっと前に考案された計画のだった。
地球上最大の欧米企業既得権益に資金供給されるブルッキングズ研究所の2009年の「ペルシャへの道: アメリカの対イラン新戦略の選択肢」と題する(PDF)文書は、イランにアメリカ制裁の下から逃げる機会を、アメリカが不誠実に申し出るよう要求しているが、この申し出が、アメリカに意図的に妨害され、更なるエスカレーションに向かう口実として使用されるのを認めていた。
文書には、このような声明(強調は筆者)がある。
アメリカが空爆を開始する前に、イランの挑発を引用して、空爆の正当化に利用できれば、遥かに望ましい。明らかに、イランの動きが、より法外で、より致命的で、より理不尽であれば、益々アメリカに好都合だろう。もちろん、このゲームの仕組みがばれてしまえば台無しになるので、世界の他の国々にはそうと悟らせずに、アメリカが、イランをこのような挑発に駆り立てるのは非常に困難だろう。(多少成功の可能性がある一つの方法は、テヘランが公然と、あるいは半公然と報復し、それが、いわれのないイランの侵略行為として描写されるのを期待して、秘密の政権転覆の取り組みを強化することだ。)
ブルッキングス文書は、こうも提案している。
同じように、イランに対するいかなる軍事作戦も、世界中で大いに不評となる可能性が高いので、作戦に必要な後方支援を確保し、その作戦による負の結果、ブローバックを最小化する適切な国際的文脈が必要だ。国際的な非難を最小化し、(いやいやながらであれ、こっそりとしたものであれ)支持を最大化する最善の方法は、核兵器を入手しようと固く決意していて、不純な動機で入手しようとする政権しか拒絶するはずがない、余りにも素晴らしい最高の提案を提示されたのに、イランが拒絶したという考えが広まっている場合にのみ、攻撃することだ。そうした状況下では、アメリカ合州国(あるいはイスラエル)は、怒ってではなく、悲しみながらの作戦のように描きだすことができ、少なくとも国際社会の一部は、最高の提案を拒否したイランが“自ら招いたのだ”と結論するだろう。
合意を作りだし、それを破壊し、それをイランを軍事攻撃する口実として利用するのは常に計画だった-JCPOAが署名されるずっと前から。
2009年の200ページ以上のブルッキングス文書は、明らかにアメリカと同盟国が、イラン自身に、より直接的な行動をする前に、イランの同盟国、シリアとレバノンのヒズボラを構図から排除する試みや、アメリカが政治的に実行できない計画の一部を実行するためのイスラエルの利用も含め、出版以来ずっと、その枠組みに従っているのがわかる。
いろいろな点で、ブルッキングス文書の中で詳述されている方法の全てが、事実上、実行されるか、少なくとも試みられている。
最近のエスカレーションは予測可能だった。最近の「バイデンのアメリカは「イランに対する圧力を続けるだろう」という記事は、「トランプの」アメリカであれ、「バイデンの」アメリカであれ、イランとの和平は、決してアメリカ対外政策の一部ではなかったことを指摘している。
必要なのは、大統領に就任次第、バイデンが優先順位をにしていると欧米メディアが主張する、望ましい「和平」からアメリカを「いやいやながら」「引き離す」ように見える挑発とエスカレーションだ。
モフセン・ファフリザデ暗殺で、既にドミノはそれに向かって倒れ始めた。イランと欧米の大衆を、中東での、代理あるいは別の、もう一つの悲惨な戦争に引きずり込まれる可能性に直面する危険な時期が待ち構えている。この政策を推進するのに必要なのは、従順な欧米メディアが再びアメリカの関与を支援する役職を果たすのを熱心に待っている、アメリカが、より直接関与するために引き合いに出せる、本物であれ仕組まれた挑発であれ、イランの挑発だ。
Tony Cartalucciは、バンコクを本拠とする地政学研究者、著者。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。
記事原文のurl:https://journal-neo.org/2020/12/08/dangerous-provocations-ahead-for-iran/
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文中にある“ペルシャへの道: アメリカの対イラン新戦略の選択肢”は、下記の記事でも言及されている。
シリア戦争は始まりに過ぎない 2017年1月5日 (検索エンジンで隠蔽されている記事)
昨日の「赤旗」で下記記事を見た。
「大阪、看護学校閉校へ 相次ぎ二校 維新府政が補助削減」
LITERAにも下記記事がある。自分で首をしめておいて、自衛隊のお世話になるという不思議な異神論理。
昨日の感染者、東京602人
日刊ゲンダイDIGITAL
緑のタヌキ・カルタ遊び最新版「ひきしめよう」。一方GO TOは放置。
常に、森永卓郎氏説を連想。
「生産性の低い」と考える高齢者を清算しようとしているのではないかと思ってしまうほどの動きの鈍さだ。
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