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2020年12月 5日 (土)

就任52日前のジョー・バイデンにイスラエルから贈り物:対イラン戦争

ファフリザデを暗殺して、確実に戦争をさせるべくイスラエルは最善を尽くしており、バイデンにとっては、その軍事行動が唯一可能な選択肢だ
スコット・リッター
2020年11月28日 18:23/三日前に更新
RT

 テヘランのトップ核科学者暗殺は、アメリカ次期大統領に、イラン核開発の野望に対処するため、外交を拒否させ、軍事行動を選ぶように強いるイスラエルの策略だ。彼はどの選択肢を選ぶのだろう?

 モフセン・ファフリザデは、イラン核開発計画の謎につつまれた父だった。彼の仕事は言うまでもなく、彼の存在を、イランはほとんど認めていなかった。イスラム革命防衛隊司令部准将ファフリザデは、イラン国家安全保障の学問的部門に関与しており、最終的に物理学研究センターを率い、イランのウラン濃縮の取り組みを支援して、設計と物質取得を立案していた。

 2018年4月、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、ファフリザデがイランが猛烈に否定していた、イラン核開発計画で秘密軍事部門のトップだと名指しした。2020年11月28日金曜日、62歳の科学者はイランの首都テヘラン郊外で暗殺された。誰も彼の殺人を自分の手柄にしていないが、イランは、まさにイスラエルが彼の死に責任があるとした。

 死亡の時点で、ファフリザデはイラン国防省の一部である研究開発組織(RIO)の長だった。2020年6月、アメリカ国務省が発表した拡散防止についての報告は、ファフリザデが、「そのような仕事を再開する決定がなされた場合に、あらゆる将来の核兵器開発事業を支援するため、これまで[核]兵器に関する軍民両用の専門的活動をしていた兵器計画の科学者を雇用し続けるために」RIOを使ったと主張していた。

 この信念が、2015年の画期的な包括的共同作業計画(イラン核合意として良く知られているJCPOA)の低濃縮ウラン備蓄と、ウラン濃縮のため高度遠心分離機の使用に関する条項に従うのをやめると言うイラン決定と一緒になって、事実上、ファフリザデの死刑宣告に署名する効果があったのだ。

 JCPOAに押し付けられた制約は、一年間の「脱出」シナリオを念頭に置いて設計されていた。要するに、イランが、操作可能な遠心分離機の数と種類と、許された濃度レベルと、備蓄可能な低濃縮ウランの量に対する制限に固執するのをやめると決定した場合、一つの核爆弾製造に十分な高濃縮ウランを生産するのに必要とする時間だ。

 2019年5月、ドナルド・トランプ大統領が、アメリカをJCPOAから脱退させた一年後、イランは、もし一方の関係者が違反していることが判明した場合、合意締約国は、その義務を終わらせることを認める、合意の第26と36条の権利を引き合いに出して、合意の約束から手を引き始めた。イランはJCPOA下で、ヨーロッパが経済的誓約に従って行動しそこねたことが、明らかな違反だと主張している。最終結果で、現在「脱出」期間が数週間に短縮した。

 イランのJCPOA不服従は、トランプ政権にとって、板挟みにした。2018年以来、導入されている制裁による「最大圧力」政策は、イランを交渉テーブルに戻させて、新しい、更に制約が多い合意を強制する目標という点で、明らかに機能していなかった。

 イランが秘密核兵器という野心を維持し続けているという考えを公言したトランプ政権は、アメリカ自身の考え方によれば、アメリカと、この地域の同盟諸国、特にイスラエルとサウジアラビアに対する直接の脅威となる時間枠で、イランが核兵器を生産することを可能にしてしまったという現実に直面した。トランプ大統領がイランの核開発計画に対し軍事的選択肢を考慮しているという最近の報道の背後には、この懸念があったのだ。

 イスラエルにとって、問題は一層深刻だ。イランの核兵器能力獲得の可能性は、アメリカにとって解決困難な政治状況をもたらすのに対して、イスラエルにとって、イラン核兵器は、実存的脅威になる。この理由から、イラン核兵器能力の可能性の話になると、イスラエルは歴史的に、ほとんど手加減しない。

 アメリカとイスラエルの核兵器計画の存在に関する評価を支える諜報情報の多くは疑わしい情報源から得られており決定的ではないのに、イスラエルは絶対主義者的姿勢をとった。机の一番下の引き出しにしまうべき情報提供者を信用したのだ。

 この姿勢に対する支持を得ようする取り組みで、イスラエルは、イスラエル諜報機関が2018年早々、イランから核文書を盗んだと報告した際、イランに対する諜報情報を誇張し、でっち上げさえし、以前捏造されとた考えられた文書を発見文書の一部だと主張し、主張の真実性が疑われ、信頼性を損ねている。

 イラン核開発計画に反対するイスラエルの動きは受動的からはほど遠い。2009年-2010年、イスラエルはアメリカ諜報機関と協力し、スタクス・ネット・ウイルスをナタンズのイラン遠心分離作業に感染させるために使い、サイバー攻撃を始動した。この後、2010年-2012年に、四人のイラン人核科学者を殺した標的暗殺計画が続いた(五度目の攻撃は、イラン原子力エネルギー機関のトップを、すんでの所で殺し損ねた)。

 イスラエル諜報機関は、イラン遠心分離機計画に重要な損害と崩壊を起こした今年早々、イラン核関連施設における一連の不可解な爆発の背後にいると言われている。イスラエルはモフセン・ファフリザデ暗殺を実行したとは言っていないが、論理的に、彼の殺人は、イラン核能力を弱体化させるイスラエルの取り組みの継続と見なすことが可能だ。

 ジョー・バイデンは、この点イスラエルが行っている積極的措置にはなじみが深い。副大統領として彼はスタクス・ネット・ウイルス実装に関する極めて重要な会議を傍聴していた。彼はイランに対する軍事行動に関し、オバマ大統領に加えられた圧力を良く理解しており、イラン核科学者暗殺が、この圧力を強化する上で果たす役割を理解している。

 彼の副大統領時代、バイデンの国家安全保障担当大統領補佐官を勤めたジェイク・サリバンはJCPOAを可能にしたイランとの初期交渉で重要な役割を果たした。バイデンは、JCPOAが、さもなければ戦争に導いただろう政策進路に対する外交的出口車線だったのを十分過ぎるほど知っていた。「脱出」線表背後の計算や、イランの核兵器への軍事的関心とされていることへの懸念を重視しない決定に、バイデンは極めて精通している。

 ファフリザデ暗殺はイスラエルによる計算ずくの行為だ。彼の死はイランの核活動には実際の影響を与えない。イラン科学者の新世代が、長らく教育され、訓練され、ファフリザデが20年以上前に始めたものよりはるかにいっそう先進的で、成熟している計画で雇用されている。だが、イランの真ん中で真昼間に実行された彼の殺人は、心理的に、再び、イスラエル諜報機関の長い腕が、ほぼ誰にでも届くことを証明し、テヘラン指導部に心理的打撃を与えた。

 だが最も重要な影響はジョー・バイデン次期大統領を取り巻く国家安全保障チームに与える影響だ。バイデンと彼のチームは、JCPOAに再加入するという考えに口先だけで賛成していた。だが、彼らが、このような動きに付けた、イランが最初に完全遵守に戻り、更に制約が多い合意に、即刻継続交渉を約束しなければならないという前提条件は、広く交渉決裂の主要因と見なされていた。国務長官被指名者アントニー・ブリンケンや国家安全保障担当補佐官被指名人ジェイク・サリバンを含め、バイデン最側近補佐官の多くが、バイデンが、制裁を基本とする「最大圧力」のトランプ政策を続ける以外どんな選択肢もない可能性を示唆している持っているのが事実だ。

 イスラエルにとって、このような政策は、JCPOA再加入よりは進歩だが、受容できない。彼らの見地からは「最大圧力」はイランを交渉の席に戻るよう強制し損ねただけでなく、イランを核兵器能力開発の間近の立場に置いたのだ。

 ファフリザデ暗殺は二つの主目的を満たす。第一に核問題への解決に関してはイラン最高指導者アリー・ハーメネイーがイラン科学者に「彼が積極的だった全ての分野で殉教者ファフリザデの科学的、専門的活動の後に続く」よう指示し、バイデンに対し用意していたかもしれない、あらゆる柔軟性の可能性でイランの決意を強固にした。ファフリザデ暗殺後、イランがアメリカに妥協しようとするという考えは、率直に言って、ばかばかしい。

 だがファフリザデ暗殺の背後にある最重要目的は、将来のバイデン政権が検討している政策選択肢に既成事実を作り出すことだ。イランはバイデンや補佐官連中が求める多くの前提条件に決して同意せず、JCPOA再加入は成功しない可能性が高い。

 同様に、トランプの「最大圧力」計画継続は、進んだイラン核開発計画の状況と、それが、アメリカの見地からJCPOAの正当性を支える極めて重要な「脱出の窓」に持つ影響を考えれば、政治的に実行可能な選択肢ではない。米軍がイラン核インフラを攻撃する可能性に関し、トランプ政権が直面しているのと同じ不測の事態に、バイデン大統領は大統領就任の初日に直面するだろう。ファフリザデ殺害で、バイデンにとって軍事行動を確実に利用可能な唯一の実行可能な選択肢にすべく、イスラエルは最善を尽くしているのだ。

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 本コラムの声明、見解、意見は、もっぱら筆者のもので、必ずしもRTのものではない。

 スコット・リッターは元米海兵隊情報局員で「SCORPION KING: America's Suicidal Embrace of Nuclear Weapons from FDR to Trump サソリ王:アメリカの核兵器の自殺的抱擁 フランクリン・ルーズベルトからトランプまで」著者。彼は国連武器査察官としてソ連でのINF条約実施の査察官を務め、湾岸戦争中、シュワルツコフ大将スタッフを、1991年-1998年、国連の兵器査察官を勤めた。ツイッター@RealScottRitterで彼をフォローする。

記事原文のurl:https://www.rt.com/op-ed/508113-israel-biden-war-iran/

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 スガーリンが総合的・俯瞰的に判断して任命する御用学者が日本をだめにする見本。凶暴な権力者に拒否されるくらいでなければ、本当の学者でも医師でもない。単なる現代の竹槍理論。狂った方向を一斉に向けば亡国は証明済み。

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菅首相がコロナ重症者最多のなか会見で「携帯料金20ギガで2980円」をアピール! GoTo反省も独自の生活支援策もなく…

 こうしたイスラエル、アメリカの方針を、大本営広報部は垂れ流すだけ。

 今日の日刊IWJガイドに下記の再配信案内。

【タイムリー再配信 809・IWJ_YouTube Live】20:00~「米国の対中国・イラン強硬姿勢に追従したら日本の外交と経済は崩壊!? 米国は開戦の口実に嘘の発表ばかりしてきた!? ~岩上安身によるインタビュー 第948回 ゲスト 軍事ジャーナリスト・田岡俊次氏(後半)」
視聴URL(冒頭以降は会員限定): https://iwj.co.jp/wj/open/archives/420867

 2019年6月に収録した、岩上安身による田岡俊次氏インタビューを再配信します。これまでIWJが報じてきた田岡俊次氏関連の記事は以下のURLから御覧いただけます。
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/tag/%e7%94%b0%e5%b2%a1%e4%bf%8a%e6%ac%a1

[記事URL] https://iwj.co.jp/wj/open/archives/451041

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