« 大惨事をもたらしたスウェーデンの「集団免疫」政策 | トップページ | 「マキアベリのように考え、ムッソリーニのように行動する」 »

2020年12月21日 (月)

バイデン新政権は重要な点で謎のまま

2020年12月16日
ジェームズ・オニール
New Eastern Outlook

 大統領選挙結果に異論をさしはさむためのテキサスの動きを拒否した最高裁判所によって確認された新バイデン政権は、ロシアと中国両国とのアメリカ合州国の関係の改良をもたらすかどうかについて、現在多くの推測がある。

 私の考えでは、このような推測は見当違いだ。この意見には多くの理由がある。第一に、次期バイデン政権が集めているチームの中身だ。それは当時彼がバラク・オバマ政権で副大統領だった、バイデンなじみの人々で、実際彼に好意的だった人々の繰り返しだ。民主党が権力の座を去ってからの四年間に、彼らが意見を変えたという証拠はない。私の考えでは、ロシアや中国に対し、何らかの共感や同情の実績がある人を、長時間、懸命に探しても無駄だ。

 ロシアは確かに現実を認めている。プーチン大統領とラブロフ外務大臣両方による最近の演説は、共にアメリカ合州国に対するロシアの辛抱強さも最終的に尽きているという信号を出している。トランプ大統領時代、終始、反ロシア・キャンペーンを先導していたのが民主党だったことは忘れるべきではない。

 バイデン自身は、そのキャンペーンで大きな役割を果たしてはいなかったが、反対意見も述べていない。2014年、バイデンは、ウクライナ・クーデターの中心にいて、ウクライナとの彼の結びつきは、以来ずっと強かったことは覚えておく必要がある。最近、ほとんど何もしないのに、ウクライナから莫大な収入を享受していた彼の息子の行動について、多く報道されている。この談合は、息子ではなく、父親のための行為と見なせる。

 クリミアが圧倒多数でロシアに再加入すると票決した時からずっと、欧米メディアは組織的に、それらの出来事を間違って説明している。170年以上前に、西欧諸国が、クリミア戦争でロシアと戦った事実は、ソ連時代、国境がそれほど重要じゃなかった時に、1950年代に、ソ連の代表フルシチョフによってウクライナに移された状況同様、欧米のクリミア報道から欠落している。

 欧米の態度には、同様に深刻な偽善があるが、それは、セルビアの一部からの画策したコソボの分離を完全に見過ごし、際立たせない傾向だ。

 ロシアに対するアメリカの態度や行動の、どんな本格的変化も予想できない二つ目の重要な要因は、第二次世界大戦後の全期間にわたるアメリカ合州国とロシアの歴史だ。民主党、共和党両の政権下での、NATOの容赦ない継続的拡大を見るだけでよい。拡大が東方や南方や北ヨーロッパに向かう拡大が、どんな面であれ減じられたという理論を支持する証拠は全くない。これも再び、バイデンが副大統領としての役職下で起きており、彼は更にさ東方に拡大する容赦ないNATO政策がどんな面であれ、減じられるべきであるという一言も言っていない。この拡大は、アルメニア-アゼルバイジャン紛争への、NATOの関与未遂や、ベラルーシでの「政権交代」に対するNATO支援で、最近見られるように、更にロシアを包囲するという明確な目標を持っている。

 最近、ブライアン・クローリーが、最近のNATO刊行物(NATO 2030年)を論じて、「NATOは、存在を正当化するため、脅威と挑戦を見いだすと固く決めている」という記事で指摘した通り、この組織の拡張継続願望は少しも和らいでいない。彼らの絶え間ない拡大の能力は、平和に対して、世界が今まで目にした最大の脅威に対するものというより、自分たちは、善を促進する勢力だという幻想的信念でしか、説明できない。

 クローリーは、常に脅威と挑戦で存在を正当化しようと努めるNATOを「無能力で、悲惨な程不安定化勢力」だと説明している。再び、我々は世界軍事支配のための、これら野心のいずれも、バイデン政権下で、拘束したり束縛したりできるとは決して信頼できない。

 バイデン政権が、単にトランプの繰り返しだと言っているのではない。だが、どんな重要な政策変更も、期待するのは世間知らずだろう。私が述べているように、参照すべき、75年以上のアメリカ合州国行動の歴史がある。強調は、世界の変化を反映して、時代によって変わるかも知れないが、全体的な動きは変わらない。

 アメリカ合州国にとって、大きな課題は、中国の継続的台頭への対応だろう。トランプ政権が着手した粗雑な反中国政策の緩和もあり得るだろう。アメリカ国内中の、様々な領事館での、中国外交官に対する、さ細ないやがらせは、アメリカ中の大学の中国人学生に対するいやがらせと同様、緩和されるだろう。

 だが、これらは比較的些細な懸念だ。ウイグル人に対する扱いや、中国の一帯一路構想を損なうべく継続しているアメリカの容赦ない取り組みで、中国に対するアメリカのいやがらせは、どんな緩和もありそうにない。中国が今課している巨大な代償にもかかわらず、オーストラリアのような国の自滅的行動や、アメリカの政策への願望の盲従も変化することはありそうにないが、大半の国は、BRIへの関与を続けるだろう。最近のパプアニューギニア開発支援のための中国協定は、キャンベラでの警戒をもたらしたが、中華人民共和国との協力を強化するパプアニューギニアの動きを変えることは、ありそうもない。

 最近、オーストラリアは、経済を推進する州政府の願望を、中央政府が覆せるようにするため法律を改正した。これは明らかに、オーストラリアが熟考するのを断固拒否してき政策BRIに参加するためのビクトリア州の二年来の協定を狙っていた。ファイブ・アイズ国仲間のニュージーランドが、一年以上前に成功裏にBRIに参加した事実は、オーストラリアの姿勢を変えなかった。重要な点の一つは、オーストラリア外交政策が、まだワシントンに決定されているのだ。これはバイデン政権で変わることはありそうもない。

 トランプ下での、アメリカ合州国による恫喝といじめにもかかわらず、アメリカ合州国は、中国にとって、極めて重要な市場のままだ。バイデンはトランプ政権で外見上明白だったより、おそらく中国との取り引きには、より現実的な意見を持っている。見ていて、興味深いだろうことは、台湾に関するバイデン政権の意見だ。この時点で、シグナルは不明確だ。バイデン自身は、中国に対処する上で、特定の専門知識を持っておらず、継続的な人たちは、バイデンが最後に副大統領だった時以来、四年で経済大国に上昇したが、彼の意見の目立つ変化は起きていない。

 特に過去二年にわたる、トランプのものほど無愛想でないやり方が期待できよう。また、バイデン閣僚の最高職位任命者には、中国に関するいかなる専門家もいない。トップの人々の大半が、ヨーロッパについての知識と経験で良く知られている。これは、むしろ、成り行きを見る体制だ。

 最終的に、バイデンの健康という語られない問題がある。彼の知的能力が、四年の任期の厳しい要求に耐えるかどうかは不明のままだ。バイデンが精神的、あるいは身体的に、四年間丸ごとつとめらなければ、ハリス副大統領の見解と能力が決定的に重要になる。この疑問は、割合早く取り上げられなければならない問題だ。

 ジェームズ・オニールは、オーストラリアを本拠とする法廷弁護士で地政学専門家。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。

記事原文のurl:https://journal-neo.org/2020/12/16/the-new-biden-administration-remains-an-enigma-in-important-respects/

----------

 サマンサ・パワーが要職候補という記事もある。The Planet’s Problem from Hell: Samantha Power

 昼の洗脳呆導番組、出演者が変わったのは夫が選挙出馬する女性だけ。スシローを始めに、おなじみ忖度タレントと御用学者がたわごとをたれながす。情報をえられるとは決して思わない。大本営広報部腐敗確認のためだけ、翻訳しながら聞いている。昼の御用番組では、決して「司会者やタレントが官邸の逆鱗にふれて首にされる」ことはない。

 洗脳呆導番組を一カ月見続けるより、デモクラシータイムスの下記番組を一度見る方が遥かにためになる。

【ニッポンの崖っぷち】ゼロ・コロナへ!政府は抜本的政策転換を! 免疫疫学第一人者の徳田安春さん 20201219

 日刊ゲンダイDIGITAL でダム建設に警鐘を鳴らされている記事を読んだ。知事の変身には唖然だが。

河川工学の重鎮が警鐘「経済優先の自然観からの転換を」

 念のため、手元にある本をみたところ田中正造の治水論を書いておられる。
公共する人間4 田中正造』の「田中正造の利根川治水論」

 田中正造、古河市兵衛が経営する足尾銅山鉱害と闘ったが、その過程で利根川治水せ徹底的に検討している。彼の活動、知見、決して過去の話ではない。現代の公害、典型的には東京電力福島第一原発メルトダウンも、古河銅山鉱害と同じ、本質的に人災。
 今度お札の肖像になる渋沢栄一、偉人と言われるが古河銅山に融資しているのが気になる。融資の事実は渋沢栄一記念財団ウェブにも本人の言葉が明記してある。

 日刊IWJガイドに、本日午後8時より「モリ・カケ・サクラ・・・私たちは闘いつづける!! 対談」配信案内。

<本日の録画配信>本日午後8時より、12月12日に大阪で収録した「モリ・カケ・サクラ・・・私たちは闘いつづける!! ―対談:木村真氏(豊中市議・森友学園問題を考える会)VS 相澤冬樹氏(大阪日日新聞記者)、白井聡氏(京都精華大学専任講師)」を録画配信します!

« 大惨事をもたらしたスウェーデンの「集団免疫」政策 | トップページ | 「マキアベリのように考え、ムッソリーニのように行動する」 »

オセアニア・クアッド」カテゴリの記事

バイデン政権」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« 大惨事をもたらしたスウェーデンの「集団免疫」政策 | トップページ | 「マキアベリのように考え、ムッソリーニのように行動する」 »

お勧め

  • IWJ
    岩上安身責任編集 – IWJ Independent Web Journal

カテゴリー

ブックマーク

最近のトラックバック

無料ブログはココログ