アメリカ、中国を狙って、ウイグル・テロ組織をリストから削除
2020年11月11日
Brian Berletic
New Eastern Outlook
「アメリカ、中国に標的にされているを組織をテロリスト・リストから削除」という題名の記事でのAFPが報じている。
金曜日、イスラム教徒が大多数の新彊地域で厳しい取り締まりを正当化するため常に中国に非難される正体不明の党派をテロ集団リストから削除したとアメリカは述べた。
新しいアメリカ法律や告示を掲載する「連邦公報」で、マイク・ポンペオ国務長官は東トルキスタン・イスラム運動(ETIM)の「テロ組織」指定を無効にしたと述べた。
AFP記事もこう報じている。
「10年以上、ETIMが存在し続けているという信頼できる証拠がないので、ETIMは、リストから削除された」と国務省報道官が述べた。
だが、アメリカ国務省に資金供給されている情報提供者自身によると、これは全くウソだ。中国のみならず、世界に対する、この集団によって続いている脅威を認める国務省自身のボイス・オブ・アメリカの2018年記事さえあるのだ。
2018年のVOAの「シリアのウイグル・ジハード戦士は脅威となり得る」という題名の記事は、こう認めている。
専門家は、トルコ-ロシアが仲介したシリア政権軍と種々の反政府集団間の脆弱な停戦を維持する取り組みが続いているシリアの不安定なイドリブ州に、北西シリアのジハード集団トルキスタン・イスラム党(TIP)が脅威をもたらしかねないと警告している。
要するに、アメリカ国務省は、中国を政治的に更に攻撃し、傷つけるため、周知の依然活動中のテロ組織をリストから削除したのだが、多分、この集団や、北京に対してワシントンが拡大する紛争で、彼らと提携する連中に直接支援する可能性が高い。
ETIMは、バス爆破、銃撃、自爆攻撃、ナイフ攻撃や他の形のテロを、20年以上にわたって広範に実行している。彼らは国連安全保障理事会によってテロ組織にリストされ、ほぼ同じ期間、今日に至るまで、指名されたままだ。
国連安全保障理事会の公式ウェブの「東トルキスタン・イスラム運動」という題の記事は、こう指摘している。
東トルキスタン・イスラム運動は、2002年9月11日、決議1390(2002)の段落1と2に従って、「資金調達、計画立案、促進、が準備をする、アルカイダの名前で、アルカイダの為、あるいはアルカイダを支援して」「行動や法動を支援する」上で、アルカイダ、オサマ・ビンラディンあるいはタリバーンと関連しているとしてリストされている。
ワシントンにより、リビアとシリア対して行われた代理戦争でも、アメリカによる類似のパターンが見られた。リビア・イスラム闘争グループ(LIFG)のようなテロ組織も、当時まだ公然と武器を用いた暴力を実行していた集団なのにもかかわらず、アメリカのテロ・リストから削除されていた。
自身の声明によると、アメリカ国務省は、2015年にLIFGをリストから外した。イギリスも同様に、このテロ組織をリストから外した。
ところが最近2017年、LIFGとつながるテロリストが国際的にテロを実行し続けている。
「主要テロ容疑者は、リビア内戦難民としてイギリスに来た」という記事で「ガーディアン」はこう報じている。
2011年介入の波紋は、間接的に、マンチェスター爆撃をもたらした。戦いがリビアで継続しているため、1994年、親がリビアから逃れた、22歳のアベディは、2011年、カダフィ打倒後、リビアに戻ったが、戦闘が続いているため、イギリスに戻った。アベディと家族は、カダフィを追い出すのを支援したイスラム主義集団「リビア・イスラム闘争グループ」とのつながりを作った。
アメリカと同盟諸国が、これら集団の脅威が低下していると主張して、これらテロ組織をテロ・リストから削除しているが、実は、アメリカと同盟諸国が、更に、より直接に、彼らの暴力を支援し、ほう助しようと努めているためだ。
2011年に、アメリカとイギリスが、リビア政府を打倒し、2011年以降、リビア社会で、社会分裂と不安を作り出すためにLIFGを利用したのと全く同様に、アメリカは、まさに同じ理由で、東トルキスタン・イスラム運動をリストから削除したのだ。
ワシントンのシリアに対する代理戦争への歩兵供出から、タイのような従順でない国に対するテロ攻撃(バンコク中心部での2015年のErawan神社爆撃)実行から、中国国内での暴力、不安や、分離主義をあおることに至るまで、ETIMは多くの方法でアメリカ権益に役立っている。それがもはや脅威でないから、アメリカは、ETIMを、テロ・リストから削除したのではなく、この武器を、将来の利用で更に鋭利にするため、リストから削除したのだ。
Brian Berleticはバンコクを本拠とする地政学研究者、著者。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。
記事原文のurl:https://journal-neo.org/2020/11/11/us-de-lists-uyghur-terrorist-organization-aimed-at-china/
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America After the Election: A Few Hard Truths About the Things That Won't Chane
By John W. Whitehead | The Rutherford Instituteの翻訳。バイデン当選を言祝ぐ宗主国大本営メディアとは全く違う、説得力ある貴重な視点。
属国大本営も、宗主国同様、ヨイショ言説しかないが、UIチャンネルの最新番組孫崎氏の選挙解説は違う。こういうまともな意見、デイ本営広報部では決して報じない。洗脳虚報の垂れ流しばかり。
番組中で孫崎氏が言っておられるが、NHKの番組でTPPに触れ、以降、出入り禁止にされたそうだ。IWJの岩上氏が、フジテレビの番組で、TPPに触れたすぐ後に、出入り禁止にされたのと相似形。大本営広報部は、組織的に、売国条約を推進していたのだ。
日刊IWJガイドによると、うれしいことに、本日午後7時より岩上安身氏による中国通エコノミスト田代秀敏氏インタビュー!これは見逃せない。
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