反ロシア言説と反中国言説は、なぜ実にそっくりなのだろう?
2020年10月29日
Moon of Alabama
四年以上にわたるロシアゲート後、とうとう我々は、トランプとロシアの極悪非道な関係を主張するスティール文書の由来を知らされた(有料記事)。
ウォールストリート・ジャーナル調査が答えている。オリガ・ガルキナという名の40歳のロシア人広報企業幹部が、スティール氏のために働いていた友人で昔の同級生に、メモを送った。ジャーナル記事は、インタビューや、警察の記録、機密解除された文書や、アメリカ元国家安全保障当局幹部によるガルキナ女史の身元確認に基づいている。
2016年に、ガルキナは、XBT Holding SA子会社の、Webzillaインターネット・ホスティング部門で良く知られているキプロスのウェブサービス企業で働いていた。XBTはロシアのインターネット企業家アレクセイ・グーバレフが所有している。
事情に詳しい人たちによれば、その夏、ロシアとのつながりに関して、当時の大統領候補ドナルド・トランプの信用を損なう可能性がある情報を暴くのを手伝うよう、彼女は、スティールの従業員から依頼された。ガルキナは、ロシアのウラル山脈に近い地方都市ペルミでの学校時代以来、その従業員イゴール・ダンチェンコの友人だった。
ガルキナは、しばしば酔って出社し、最終的に会社から解雇された。彼女は、会社とその所有者グーバレフが、民主党全国委員会ハッキングとされていることに関係していたと主張して、復讐したのだ。スティール文書の他の一群の虚偽申し立ても、ガルキナの妄想に基づいていた。
マーク・エームズ @MarkAmesExiled - 18:39UTC 2020年10月28日
だから、アメリカ支配階級の中で、四年にわたるロシア・ゲートヒステリーのきっかけになったスティール文書は、ペルミ出身の二人のロシア人アル中にでっち上げられたのだ。アメリカ・エリートの、おぞましい、だまされやすさや愚かさは「ゴーゴリ風」という言葉では到底言いあらわせない。
スティール文書中の物語は、ロシア人による本物のデマで、アメリカのニュー・スピーク変種の「ロシア・デマ」ではなかったのだ。
FBIや、これに関与した他の人々は、実に早くから、スティール文書は一連のウソなのを知っていたのだ。ところが、この話題は、更なるたわごとの漏洩を続けることで、人々の注目を浴び続けている。この全てが、トランプに、彼が未曾有の規模で実行したように、益々多くの反ロシア措置をとらせるよう圧力をかけることだった。トランプ-ロシアつながりについての非難は、「ロシアが悪い」言説で、トランプに圧力をかけ、オバマ/バイデン政権の反ロシア政策を続けることを可能にしたのだ。
オバマ/バイデン政権の「アジア基軸」からトランプの四年を通じて続いている政策の糸は反中国キャンペーンだ。
今我々はハンターとジョー・バイデンの中国企業との不正取り引きについて大いに聞かされている。これらの非難には更に多くの証拠があり、愚かなスティール文書の主張より遥かに、もっともらしい。重要性も二重だ。こうした非難は大統領になる可能性があるジョー・バイデンに、より反中国行動をするよう圧力をかけるため使われるだろうが、主にこのような政策への支持を生み出す、反中国の公式言論を強化するために使われるだろう。
ケイトリン・ジョンストンはこう指摘している。
どのように、あるいは、どんなレベルか知らないが、我々は影響されているのだ。中国についての言説が強引に押しつけられているのは、四年前、ロシアについてのものと、まったく同じ手口だ。アメリカ政府は、長年、二つの吸収されない国々を攻撃し、傷つける計画を持っているのだ。
ロシアゲートの狙いは、決してトランプではなかった。彼の選挙運動員がロシア人と会うことに、決して関係なかった、それは決して放尿ビデオの問題ではなかったし、決して、クレムリンに対する隠れた忠誠に関する調査の問題でもなかった。ロシアゲートは、アメリカを何とかロシアとの新冷戦に追いやり、究極の狙いは、遥かに強力なロシアの同盟国中国で、トランプに、その狙いに確実に協力させるための言説管理だった。
・・・
バイデンが当選すれば、同じことが予想できる。大統領はロシア・中国両国に対してエスカレーションを進め、もう一方の政党は中国に対して甘いと非難されるのだ。両党とも、核武装した国との瀬戸際外交に向かって、アクセルを踏んでおり、誰もブレーキ付近には足を置いていないのだ。
だから中国に対する言葉による攻撃やヒンズー・ファシスト・インドのような新しい反中国同盟国の探求や、危険な武器としての台湾利用の全てがバイデン政権下で続くのは確実だ。
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野党質問、いずれも良かったが、公務員人事ゆえ、個別理由は答えられないやら、憲法十五条やら、わけのわからないことを繰り返す首相も官房長官も官僚も、全員壊れたレコード。共産党志位委員長質問まで見て、買い物にでかけた。お仲間異神のプロレス問答、聞くに値しない。辻元氏の最後の決めゼリフは良かった。冒頭の全く受けなかった首相の引用への的確な反撃。正直に申し上げると、この話題のマンガだかアニメだか全く読んだこともなく読む予定もない。
テレビ呆導、宗主国大統領選挙の話題ばかり。属国そのもの。あるいは株価。属国民主主義の終焉か否かの瀬戸際にある頭のハエを追わない腐敗のかたまり。大本営広報部。
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