バイデン大統領は、トランプと同じぐらい混乱していて、好戦的だろう
ブライアン・クローリー
2020年8月11日
Strategic Culture Foundation
今のところ、次期アメリカ大統領は、ドナルド・トランプではなく、選挙戦で、唯一の民主党被指名者がジョー・バイデン前副大統領なので、トランプが「寝ぼけたジョー」と呼ぶ人物による四年を、我々が、まさに経験する可能性がありそうに見える。
8月7日、一連の奇異な主張で、アメリカ国家防諜安全保障センターのウィリアム・エバニナ長官が、2020年大統領選挙に対する「外国の脅威」があると宣言した。いつものように、いかなる種類の証拠もなかったが、彼は、特に、ロシアは、バイデンを「主として、けなす」ため様々な手段を使っているのに対し、中国は、トランプがお払い箱になるのを望んでいると警告した。言語道断なトランプに率いられた非常に多くのアメリカ国民から、彼が好きなようにしていることに対して多数の侮辱があるので、ロシアには、バイデンをけなす必要がないのを新冷戦戦士連中は見落としているのだ。同様に、中国が、トランプが現場から姿を消すのを望んでいるのは明白だが、これは大多数のアメリカ有権者も望んでいる。さらに、ワシントン・ポスト報道によると、「32カ国の回答者のピュー世論調査によれば、64パーセントの人々が、アメリカのリーダーとしてトランプを信頼しないと言っている。こうした厳しい意見は、特にヨーロッパで多い。」
モスクワや北京は腰を上げる必要がない。彼らは、ただ傍観し、醜態を笑っていればよいのだ。
8月3日、トランプは、Twitterで、いつものメッセージ連発をし、その一つで、彼の政権は「中国ウイルスとの戦いで、非常に良い仕事」をしていると主張した。彼はホワイトハウス・コロナウイルス・コーディネーターの著名な医師、デボラ・バークス博士に批判的で、下院議長を「狂ったナンシー・ペロシ」と呼んでいる。この人物は明らかに錯乱しており、無作法な言動は侮辱的だが、彼と、トランプの長い攻撃演説への反撃で「こんなことを言われるとは信じ難いが、もし私が大統領に選ばれたら、私はツイッターで専門家を侮辱するのではなく、ウイルスを制御するため、我が国最高の専門家たちと協力して、月曜の朝を過ごすだろう」と言ったバイデンの間に他に一体どういう相違があるのか熟考するのは興味深い。
バイデンが「中国ウイルス」と呼ばなかったのは注目に値するが、これは中国に対する彼の全体的政策が、トランプや彼のお仲間のそれと大いに異なるという指標ではない。ロシアに関しても、バイデンが大統領になっても、ワシントンの現在の対決的姿勢から大きく離れることがないのは明らかだ。外交政策に関するバイデンの公開発言から推測できるのは、国防総省とアメリカ大企業の大立て者にとって旧態依然の可能性が高い。
バイデンは、ハト派ではない。無数の発言撤回や、失言や、明白なデッチアゲにもかかわらず、軍事介入を支持する彼の実績が、武力による解決より、対話を求める熱心な交渉者のものからほど遠いのは明白だ。2003年に、GWブッシュ大統領が始めたイラク戦争に、彼は反対だったと、マスコミを説得しようと懸命だったが、侵略が始まった日、バイデンは、CNNで「もしサダム・フセインが武装解除しなければ、彼を打倒する権限を、大統領に与えるよう、我々の多くが投票した。そして、結局、さほどうまくは処理されなかったが、彼を打倒しなければならないと信じる人々がいる。」と言ったのだ。これは到底ワシントンの悲惨な戦争の非難とは言えず、バイデンが混乱していることが明白になった際、彼の広報担当者は「バイデン副大統領が即座に戦争反対を宣言したと言ったのは言い間違えだった」と主張する声明をワシントン・ポストに送った。
リビアに対する彼の姿勢もほぼ同じで、大統領になると予想されるバイデンは、アメリカ-NATOによるカダフィ打倒と殺人で頂点に達した、七カ月間の電撃爆撃に対し、批判的からほど遠く、ロサンゼルス・タイムズにこう述べていた。「NATOは、きちんとやった。この場合、アメリカは20億ドルを使い、一人の命も失っていない。これこそ、我々が前進するに当たり、過去のようにではなく、世界に対処する処方箋だ。彼が生きているか死んでいるかにかかわらず、彼は消えた。リビア国民は、独裁者を追い出したのだ。」彼はそれから、彼は「リビア攻撃に対して強く反対した」と主張した。それは、もしかすると事実だったかもしれないが、彼の主張が強かったのなら、それは非常に静かだった。
確かに、バイデンは、武力は「目的が明確で、達成可能な時に、我々の重大な権益を守るためにだけ」使われるべきだと宣言した。だが彼の経歴上、彼が「世界に対処する処方箋」を持っているのだと考えているとすれば、彼は「重大な権益」には柔軟で、軍事的に、接近戦をいとわないように思われる。
彼はロシアには頑固に敵対的で、フォーリン・アフェア誌で、プーチン大統領は、NATOを弱め、欧州連合を分裂させる方法を探して、アメリカ選挙制度を卑劣な手段で攻撃し「欧米民主主義の基盤を攻撃して」いると書いた。類似の発言と同様に、主張を裏付ける証拠は提示されておらず、ワシントンの現政権と同様、大統領になり得るバイデンは、ロシア国境により近く、アメリカ-NATO軍事同盟の拡張を奨励している。彼はウクライナとジョージアを取り込むNATO拡大を強く支持し、反ロシア制裁は継続し、強化さえすべきだと言っている。
中国への彼の態度も、ほぼ同じで、彼は外交評議会で、中国の「ハイテク独裁主義」に直面して「自由世界」は団結しなくてはならず、ワシントンは、新技術の世界的使用を支配する「規則、標準と制度」を考案しなくてはならないと述べた。ロイターは、バイデンが現代のアメリカ・中国貿易協定は、「施行不可能で」「北京の、あいまいで、弱い、繰り返される約束に満ちており」、中国が「国有企業に有害な助成金を提供し」、「アメリカのアイデアを盗み」続けるのを可能にしていると述べたと報じている。これが、アメリカ諜報関係高官が、中国政府がトランプより好んでいると我々に語る人物なのだ。
誰が次のアメリカ大統領になろうとも、Covid-19流行に対する無能な対応や、平和的反人種差別デモに対して残忍な制圧をする警察や民兵部隊の見境がない偏狭さによって起こされる国内の混乱が続くだろう。国防総省とその強力なビジネスパートナーに要求される、よろめきながらの好戦的外交政策が継続するだろう。
ロシアや中国や他の国々の人々のように、普通のアメリカ国民は、平和や良い統治と繁栄を望んでいる。トランプ大統領のもう一期は、こうした願いを実現し損ねるはずだが、現在の傾向を考えると、バイデン大統領はトランプと同じぐらい混乱し、好戦的で、従って、国民も苦しむだろうと思われる。
Brian Cloughleyは、イギリス軍とオーストラリア軍の退役軍人、元カシミール国連軍事使節副団長、元在パキスタンのオーストラリア国防担当大使館員
個々の寄稿者の意見は必ずしもStrategic Culture Foundationのものを意味しない。
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文芸評論家斎藤美奈子さんの東京新聞・本音のコラムを楽しみにしている。8月12日の「WC株式会社」は座布団十枚。コラムの右側の特報も馬毛島の自衛隊問題を鋭くついている。居並ぶ無責任政治家連中を、めった斬り。WCというのは、with coronaの略。
日刊ゲンダイDIGITALの下記記事でも引用されている。
コロナには夏休みはないが、無責任男にはたっぷりある。LITERA記事
「東京電力福島第一原発事故は制御されている」と真っ赤なウソをつき、原発事故を隠すため強行しようとしたオリンピック、コロナ大流行で、あえなく流れた。マリオの顔がつぶれるのは結構だが、放棄された原発事故被害者の方々は、コロナ流行にも見舞われている。大本営広報部、オリンピック延期の可能性云々は報じても、原発事故被害者の方々の現状は報じない。今夜は、IWJの青木美希氏インタビューを拝聴。
【IWJ_YouTube Live】18:00~「コロナ禍の陰で現在も進行する原発事故被害(2) 原発事故被災者・避難者を襲うコロナ危機! 今、何をすべきか、すべきではないのか! 岩上安身によるジャーナリスト 青木美希氏インタビュー」
視聴URL:https://www.youtube.com/user/IWJMovie/videos?shelf_id=4&view=2&sort=dd&live_view=501
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