ベラルーシ
クレイグ・マレー
2020年8月16日
欧米マスコミは、ルカシェンコはプーチンの手先だと誤解している。それは正しくない。プーチンは、彼のことを腹立たしく、むしろ頭の鈍い時代に合わない人物と見なしている。ルカシェンコが本当は最近の選挙で負けたという欧米の誤解もある。それは正しくない。公式結果発表で、差が極めて誇張されているが、彼はほぼ確実に勝っていた。ロンドンがイギリスではないのと全く同様、ミンスクはベラルーシではない。ベラルーシの大部分がかなり遅れており、国家機構によって大きく影響を受ける。独裁者は自分の人気を高くするため自由に使える、あらゆる手段を持っている。だからといって、奇妙な選挙や国民投票が、その人物が独裁者ではないことを意味しない。私が20年近く言っているように、ルカシェンコは独裁者だ。
私の分析は、おそらく、ルカシェンコは票の60%以上で楽勝していた。だが、それは決して自由な公正な選挙ではなかった。マスコミは(同じことがイギリスのマスコミにも言えることをお忘れなく)非常に偏っており、あらゆる重要な反政府派は、なんらかの方法で立候補を阻止されたので、弱い野党候補者しかいなかったのだ。
欧米は、ベラルーシ世論をかなり露骨に、「カラー革命」に向けて工作しようとしている。だが彼らは困難な状況の上にいる。西ウクライナは、消費生活を実現したいと願って、西欧やとEUに近付くのに本気で熱狂的だった。ベラルーシでは、中央ミンスク以外では、そういう感情は極わずかしかない。最も重要なのは、ベラルーシというのは「白いロシア」を意味し、白いロシア人は、文化的に自身をロシア人だと非常に強く考えている。ベラルーシではカラー革命は起こらないだろう。だが、欧米は試みている。
読者の多くと異なり、私はこの事態を、とんでもないことだとは思っていない。他国の政治的方向を自分に有利な方向に変えるために影響を与えようとするのは外交の重要な目的で、常にそうだったのだ。私は20年間、イギリス政府のために、むしろその良き擁護者だった。BBCワールドサービスは常に、外務省に資金供給されており、その存在そのものが、そもそもの発端から、多数の言語でプロパガンダを送り出すことで、影響を与えようとする試みに基づいている。ブリティシュ・カウンシルは、シェークスピアへの純愛から外国でイギリス文化を促進するのに何百万も費やしているわけではない。政府資金は、マスコミや社会に影響を与えることを目指すNGOに与えられている。将来の指導者を見つけ出し、親イギリス感情を持たせるため、教育や学士課程に招聘するのだ。
私はそれのいずれも問題と思わない。それは外交がというものの一環だ。イギリスが遥かに大規模に行っている全く同じ活動をロシアがするのに対し、イギリスがかっとなるのも一興だ。だが、それは全て昔からのゲームの一環だ。もし私が今ベラルーシ大使だったら、反ルカシェンコ・デモ支援を見つかってもる、良心の呵責はないはずだ。それはすべて仕事の一部なのだ。
もちろんこの全てには、より暗く、陰気な側面があり、その場合、活動は公開ではなく隠蔽される。イギリスが、密かに外国マスコミのジャーナリストを買収するIntegrity Initiativeの事業に資金供給したり、政府言説を推進するため、何千という偽のソーシャル・メディア・アカウントを作ったり(後者は、特に国防省や政府通信本部GCHQが行う)しているのは、うさんくさい。大量の現金で、政治家や公務員や将官を買収する、MI6の、より伝統的な活動もそうだ。だが、またもや、私はそれについて余り騒ぎ立てる気持ちになれない。それはゲームの中の汚れ仕事だが、暗黙の限界がある、昔からのものだ。再び、私が強く反対なのは、ロシアが、まさにイギリスが遥かに大規模に行っていることをすることに対し、イギリスがとてつもなく殊勝ぶることだ。
だが、更に、暗殺や偽旗射撃や爆撃と冤罪を負わせるなどの遥かに暗いものもある。これでは、一線が越えられ、命が奪われ、猛烈な対立が引き起こされる。ここで、由緒ある国際的慣習が、これらの行為を受容可能にすると言う用意は私にはない。この一線がウクライナでは越えられた。上に述べたような理由から、ベラルーシには、このような火花に衝撃を与えるような火口が存在すると私は思わない。
ルカシェンが退陣するのは私としてはとてもうれしい。あらゆる品位ある民主主義において、トップの任期期限は要因たるべきだ。権力さえ握ってしまえば、外部からの衝撃を阻止し、何十年間も個人の人気を維持するのは困難ではない。人気は、民主的正当性と同一ではない。前から言っているように、憲法上の詭弁にもかかわらず、大衆の支援にもかかわらず、プーチンが任期二期を上回って留任するのは絶対に間違っていると私は非常にはっきり述べざるを得ない。
ルカシェンコにとって理想的なのは、一度も選挙に勝ったことがない大統領を担ぎ上げる欧米のベネズエラ戦術と逆に、新たな選挙に進むことだ。ベラルーシ国民にとって、国際的安定性にとって、最良の結果は、改革志向だが、おおむね親ロシア候補者の当選だろう。プーチンは、この危機を、20年前に署名された単一市場・自由貿易地域、ロシアとベラルーシ「連合」を再主張するのに利用している。重要なことに、ごくわずかのベラルーシ人を含め、ベラルーシの未来はEUよりロシアとの統合にあるのを疑う人はごくわずかだ。
プーチンに対する歴史的に最大の批判は、ロシアの経済基盤を多様化し、一次産品の輸出から、高付加価値経済へと変える上での彼の失敗だろう。ベラルーシでの彼の目的は、固く結びつき、大いに裕福なオリガルヒに支配される大規模商品輸出の鋳型にベラルーシをぴったり合わせることだろう。プーチンはベラルーシが必要とする経済改革には、ほとんど興味はあるまい。
私の期待は、ルカシェンコが続投し、経済をロシアに戻す新方向に向けることだ。プーチンの長期的政治目標は、常に、旧ソビエト社会主義共和国連邦の大多数のロシア語圏地域をロシアに再統合することだ。それは、ウクライナとジョージアでの彼の政策だった。ベラルーシは重要な目標だ。彼はエネルギー助成金増加(プーチンの経済武器庫は非常に限定されている)で、ベラルーシを、よりしっかり結び付けようと努めるだろう。ルカシェンコ更迭は、プーチンのやるべき仕事のリストで上位になるだろう。私はそれは、三年と考える。ミンスクでの現在のデモは、本格的な経済的、社会的影響を与えずに終わるだろう。
情報更新 8月17日
私は下のコメントに応えて次のことを書いたが、私の考えの重要な部分を効果的に説明していると思う。ベラルーシについてだけではない。
私と多くの読者の相違は、双方とも、「欧米」政府を、資本主義エリートによる労働者階級を搾取する略奪で、エリートに奉仕するマスコミによって支配されるエセ民主主義国家として認知しているが、あなたと他の人たちは、反欧米というだけで、そうした政府がずっと良いと考えているように思われる。
多くの反欧米政権、ルカシェンコやアサド、そして、そう、プーチンも、資本主義エリートによる労働者階級の搾取で、エリートに奉仕するマスコミに支配されるエセ民主主義だと私は考えている。少し違った形で組織されているだけだ。そして市民的自由への対応は、より酷い。
——————————————
Integrity Initiativeや、77th Brigade、Bellingcatや大西洋協議会や、何百という他の戦争挑発プロパガンダ工作をなどの我々の敵と異なり、当ブログは、国家、大企業、あるいは組織的な資金源を全く持っていない。その多くが必ずしも全ての記事に同意しないが、主流ではない意見や、内部情報と討論を歓迎する読者の自発的定期購読契約で、もっぱら運営されている
当ブログを継続させるための定期購読契約を大いに歓迎する。
(元記事の)ドロップダウン・ボックスから定期購読契約の金額を選択願いたい。
記事原文のurl:https://www.craigmurray.org.uk/archives/2020/08/belarus/
----------
ヒルゴミもゴミスマも見ないた連中の発言全く知らない。他の番組も、すしロウや異神創設者を見た瞬間チャンネルを変えている。白痴洗脳大本営広報部は、タイコモチしか出演させない。
LITERA
吉村知事とシンクロか、橋下徹も馬脚! コロナ対策過剰論を主張するため「熱中症ではそんな対策してないこ」と子ども騙しの詭弁に…
ベラルーシ、文字通り解釈すれば、白いルーシだろうか。ルーシについて正確な解釈に関心のあるかたは参考書をお読みねがいたい。昔『ポーランド・ウクライナ・バルト史 (世界各国史)』や『不思議の国ベラルーシ ナショナリズムから遠く離れて』や『ロシア史』を購入した記憶はあるが行方不明。
洗脳テレビを消して、デモクラシータイムスの番組を拝聴した。
ソ―リ、もうお休みください コロナ・不況に無策は許されず WeN20200821
地域別コロナと闘う処方箋~100のやらない理由より踏み出す一歩の大切さ【新型コロナと闘う 児玉龍彦×金子勝】20200820
延期オリンピックが実現可能か、やら、宗主国二政党実質一党の茶番選挙はしつこく呆導するが、オリンピックで隠蔽しようとしたトリチウム水をまともに報じるもの、一体どれだけあるだろう?
【「限界の夏」迫る!これでいいのか!?「トリチウム水」海洋放出問題を考える シリーズ特集 7・IWJ_YouTube Live】19:30~「『アンダーコントロールはどうなった?福島原発汚染水の現在(いま) 』映像で見る福島の漁業者の想い~これ以上海を汚さないで ―登壇:満田夏花氏(国際環境NGO FoE Japan)、武藤類子氏(東電刑事訴訟支援団副団長)」
視聴URL: https://www.youtube.com/user/IWJMovie/videos?shelf_id=4&view=2&sort=dd&live_view=5017月25日に収録した、「汚染水問題を考える三多摩の会」、「ミストラルジャパン」主催の集会を再配信します。これまでIWJが報じてきたトリチウム関連の記事は以下のURLからご覧いただけます。
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/tag/tritium
画期的な「赤松小三郎ともう一つの明治維新 テロに葬られた立憲主義の夢」をかかれた著者による新刊『日本を開国させた男、松平忠固』をようやく読み終えた。上田はまともな開国を推進する英雄を生んでいた。開国後の輸出品まで準備していた。テロしかできない水戸学カルトの薩摩・長州連中とは根本的に違う。しかし小学校、中学校、高校、いや大学まで、日本人は明治維新の偉業という真っ赤なウソで完全に洗脳されている。史上最長最低最悪の首相も長州閥。
『赤松小三郎ともう一つの明治維新 テロに葬られた立憲主義の夢 』については、2017年1月 1日 (日)掲載の翻訳記事バチカン、ビルダーバーグと‘移民’危機 で、最初に触れた。
徳川幕府がアメリカと結んだ条約は決して不平等ではなかった。薩摩・長州による攘夷テロにつけこんで、イギリスが反撃し、清国に対するアヘン戦争で不平等条約を押しつけたのと同じ手口で、明治政府に不平等条約に変えさせたのだ。徳川幕府がアメリカと不平等条約を締結したのではなく、薩摩・長州による対外暴発が、平等な条約を、不平等条約に変えさせたのだ。学校で教えられているのは偽史。
本書の中で、上田の方が作っておられる松平忠固史も紹介されている。目からウロコ。
『日本を開国させた男、松平忠固 』の247ページから、引用させていただこう。広く読まれて欲しい本だ。
当初の条約において、関税自主権は存在した。平等な条約を、不平等なものに変えてしまったのは、尊王穰夷派の「志士」たちのテロ活動と、下関戦争の敗戦の帰結であった。下関戦争の敗戦は、列強に対する卑屈な感情を植えつけてしまい、日本の近代化のあり方を歪めた。
世界のいかなる国家であれ、排外主義思想とその実践としてのテロ活動は、その国を危機に陥れこそすれ、決してその国の国際的地位の向上に結びつくことなどない。それは肝に命じねぽならない歴史の教訓である。それを美化することなど、断じて許されてはならない。
忠固の時代の日本外交は敗戦を経験せずに行なわれていた。下関戦争の敗戦の結果として列強への従属を強いられた明治政府や、太平洋戦争の敗戦の結果として米国への従属を強いられた現在の日本政府と比べ、何ら負い目などなかった忠固の時代の外交の方が、よほど対等で自立していたのである。
近年の日米関係は、米国が自国の都合に合わせて強要する新自由主義的な要求を唯々諾々と受け入れてきた歴史である。一九八九年に日米構造協議がはじまって以降、地方商店街を壊滅させた大店法の規制緩和にはじまって、株式持ち合いなど日本型経営の否定、農産物市場の自由化、郵政三事業民営化、種子法廃止、水道民営化など、枚挙にいとまがない。本書を執筆中の二〇一九年には、日本だけ農産物関税の削減義務を一方的に負いながら、米国は関税削減義務を負わないという「日米貿易協定」が調印された。これこそ、まさに絵に描いたような不平等条約である。松平忠固がこの内容を知ったら、悲しむに違いない。
« ナワリヌイが部下から「毒物」とされる飲み物を渡されるのを示す空港CCTV映像 | トップページ | ナワリヌイは毒を盛られていない »
「読書」カテゴリの記事
- 中国と中南米:地歩を失いつつあるワシントン(2022.01.20)
- オリンピック金メダル獲得をいかに避けるか(2021.12.15)
- 選挙の正当性に関する道徳的権威がサウジアラビアと同程度のアメリカ(2021.11.28)
- 人類文明を方向付ける道徳的資格がない億万長者連中(2021.11.07)
- 国際連盟復活を警告するプーチン:帰結的意味は何か?(2021.11.01)
「NATO」カテゴリの記事
- 失敗に終わったゼレンスキー訪米(2024.09.30)
- ウクライナ - ゼレンスキーの「勝利計画」茶番(2024.09.24)
- NATO、ロシアに宣戦布告:成功するだろうか?(2024.09.23)
「ロシア」カテゴリの記事
- 余計者パベル・ドゥーロフ(2024.10.04)
- 失敗に終わったゼレンスキー訪米(2024.09.30)
- ウクライナ - ゼレンスキーの「勝利計画」茶番(2024.09.24)
- NATO、ロシアに宣戦布告:成功するだろうか?(2024.09.23)
「ベラルーシ」カテゴリの記事
- 政権転覆活動家ラマン・プロタセヴィッチと彼のライアンエアー・ミンスク飛行事件落着(2023.05.28)
- NATO分裂を予兆するアメリカ主導「有志連合」(2023.02.24)
- ベラルーシの未来(2021.06.03)
- ベラルーシで逮捕されたロマン・プロタセヴィッチは欧米政府に資金供給されたネオ・ナチ(2021.05.28)
- ランドと悪意あるロシア包囲(2020.10.16)
« ナワリヌイが部下から「毒物」とされる飲み物を渡されるのを示す空港CCTV映像 | トップページ | ナワリヌイは毒を盛られていない »
コメント