アメリカの末期的衰退
Finian Cunningham
2020年7月23日
スプートニク
トランプ大統領が、コロナウイルス流行に対して、事態がもっと良くなる前に、事態がもっと悪くなると認めて、認識を180度転換したのは、アメリカ政治の一般的状態にも当てはまる。アメリカ政治は現在の状況の下で、もっと悪くなるだけだ。
支配的な二党制度という枠組みの下では、アメリカ体制の根深い問題を解決する方法がないためだ。
民主党が、アメリカの全ての困難を、トランプと共和党に責任をなすりつけるのは幻想だ。ジョー・バイデンが、11月、大統領に選ばれたら、アメリカが何らかの種類の正常に戻れるという考えは夢想だ。
同様に、共和党が、民主党に、社会機構を引き裂いた責任をなすりつけるのも幻想だ。トランプや議会の共和党のお仲間や右翼メディアは、抗議のあらゆる大混乱や街頭暴力を「急進左翼の民主党」のせいにしている。それは、貧困、警察暴力や人種差別に至るまで、アメリカの問題が、どれだけ深く根ざしているかについての途方もない否認に過ぎない。同様に「急進的左翼の民主党」という概念も、全く間違った呼び方だ。
アメリカにとって、体制は基本的に崩壊している。それは、いずれも、ウォール街や大企業や軍産複合体の企業権力に支配され、彼らにへつらう二大政党制の遺物だ。右も左も、うわべだけの無意味なアメリカ政治の形容詞だ。両党は、もっぱら大企業の手段だ。
二政党、共和党と民主党は同じコインの表と裏に過ぎない。コインとは大企業権力だ。アメリカは実際は民主主義国家ではない。投票は金権国家での「民主主義的権利」怪物に過ぎない。
意味ある変化を実現するため、ある党を選挙で退陣させて、もう一方に交替させるという考えは、ただの夢想だ。
両党どちらがホワイトハウスの行政や、立法機関の議会を支配しようとも、海外での果てしない戦争や、外国侵略を取り仕切り、国内で、両党は、支配層エリートを法外に豊かにするため、大多数のアメリカ人労働者の膨大な数の容赦ない貧困を取り仕切っている。それはアメリカ資本主義と帝国主義いじめにとって不可欠な任務なのだ。二大政党のいずれも、その基本的機能に反対するいかなる意志も認識も示していない。
「希望と変化」を謳った民主党議員のバラク・オバマは、そうした類の何も実現していない。彼は外国での、より多くの戦争と、より多くの爆撃と殺害を監督した。
共和党の異端者ドナルド・トランプは「沼を排水し」「果てしない戦争」を終わらせると約束した。彼は、そうしたことは何もしていない。
二党支配は、まさに決して何も変化させないよう作られているのだから、アメリカ政治を既定する二大政党制では何も変化しない。
アメリカの大企業資本主義と寡頭政治は戦争用に作られた制度だ。大量殺戮という建国の基礎から、現代の世界支配への衝動に至るまで、暴力と戦争を、体制にとって不変の付随物として必要としているのだ。共和党も民主党もアメリカ特有の条件は変えない。彼らは、強調のしかたを変えて表現しているに過ぎない。
現在のトランプ政権による中国との緊張の無謀なエスカレーションを見よう。ワシントンは、コロナ流行から、スパイ活動の主張に至るまで、崩壊した社会としての重大な内部欠点から、アメリカ国民の目をそらすのにも役立つ、広範囲の口実の下で、中国の世界的な野望を封じ込もうとしていることに、ほとんど疑いようがないように思える。
だが、ライバルの民主党ジョー・バイデンも何ら代案を提案していない。彼は誰が北京に対し、より好戦的に聞こえるかでトランプを凌ごうとして、中国への無分別な挑発をしているのだ。
バイデンも、ホワイトハウスの新保安官希望者を装い、アメリカ政治への干渉とされるものに関し、ロシアに厳しくすると誓っている。この姿勢は空しい徒労のでっちあげだ。一方トランプは、彼以上に「誰もロシアに対して厳しくない」と主張している。それで、我々は、ことわざの、出口のないうさぎ穴に落ち込んでしまうのだ。
両党とも、大企業資本主義に奉仕するため、アメリカ帝国主義を正当化する方法として、外国によるオバケ・ゲームを演じているのだ。
それが、普通のアメリカ人にとっての恩恵や進歩や、あるいは実際、何度もアメリカ侵略に耐えなければならない世界他の国々のために、今まで何も変化しない理由だ。
アメリカ政治パラダイム丸ごと変化が必要だ。二大政党制は時代遅れだ。アメリカで、大多数の労働者の利益を擁護し、推進する政治代表を組織する必要がある。そのためには、ウォール街や大企業や、そのメディアや軍産複合体の既得権益に対する正面からの異議申し立てが必要だ。
要するに、アメリカ資本主義は清算されなければならない。それは徹底的に改良可能なのだろうか? それとも、廃止して、真の民主主義に、完全に取って代わられる必要があるのだろうか? それは、自分たちの権利のためにまとまったアメリカ国民の判断次第だ。だが一つ確かなことがある。現在の腐敗した二党支配下では、進歩のための答えはない。実際、アメリカは末期的衰退状態だ。
Finian Cunninghamは、国際問題について多く書いており、記事は複数言語で刊行されている。彼は農芸化学修士で、ジャーナリズムに進むまで、イギリス、ケンブリッジの英国王立化学協会の科学編集者として勤務した。彼は音楽家で作詞作曲家でもある。20年以上、ミラーやアイリッシュ・タイムズやインデペンデント等の大手マスコミ企業で、編集者、著者として働いた。
記事で表現される光景と意見は必ずしもSputnikのものを反映しない。
記事原文のurl:https://sputniknews.com/columnists/202007231079964237-americas-terminal-decline/
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「日本モデル」の素晴らしさをうたった総理は正しい。今、その素晴らしさが、全国民、全世界の目の前で展開している。日本人の「民度の高さ」を自慢した副総理も正しい。世界は、この「民度の高さ」に言葉もでない。
「准看護師に逆転無罪 東京高裁」に続いて、黒い雨訴訟。腐敗支配体制の根幹に触れない部分では、腐敗した司法も、当然の判決をせざるをえないのだろう。さもないと、完全に信頼を失う。英語でいう、いちじくの葉?
伊東光晴氏による大熊孝著『洪水と水害をとらえなおす』の毎日新聞書評を7月始めに拝読したばかり。それでもダムで解決という愚論を信じる人は多い。この本を是非読みたいと思う。手元には『洪水と治水の河川史』や『利根川治水の変遷と水害』もある。いずれも、田中正造が闘った谷中村の遊水池化問題の背景を知りたくて読んだもの。
LITERA
日刊ゲンダイDIGITAL
記事中で、上昌広氏が、こう言っておられる。
「現行の感染症法では、民間の医療機関や検査会社は、厚労省、国立感染症研究所、保健所の指示がなければ検査できません。濃厚接触者以外に、医療従事者やエッセンシャルワーカー、社会的弱者を無症状でも検査できる建て付けになっていないのです。法改正が必要なのに、厚労省や国の感染症対策分科会が横やりを入れている。法改正しない限り、検査拡充は期待できません」
田岡俊次氏、遠藤誉氏と真逆の意見。
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