アメリカは中国と海戦をする気があるのだろうか?
2020年7月17日
パトリック・ブキャナン
creators.com
コロナウイルス流行と医療危機がもたらした不況で頭がいっぱいのアメリカは、中国と南シナ海の岩や砂洲と資源に対する北京の主張を巡って衝突する用意があるのだろうか?
それが、まさにマイク・ポンペオが今週警告したように思えたことだ。
「世界は北京が南シナ海を帝国の海として扱うのを許すまい」と国務長官が、がなった。
「アメリカは沖合資源に対する彼らの主権的権利を守る上で、東南アジア同盟諸国国とパートナーを支持し、南シナ海で「力こそ正義」を押しつける、いかなる強要も拒絶する。」
こうして、ポンペオは、南シナ海の90%や、漁場や石油やガス資源の中国の独占的権利という北京の主張を、アメリカは認識しないことを知らしめたのだ。
むしろ、政策転換によって、アメリカは、今、中国のライバル諸国、ベトナム、マレーシア、インドネシア、ブルネイとフィリピンの主張を認めている。
ポンペオの立場の重さを示すため、アメリカは、航空母艦ロナルド・レーガンとニミッツの戦闘群に南シナ海を航行させた。そして、今週、誘導ミサイル駆逐艦ラルフ・ジョンソンが南沙諸島の近くを航行した。
だが、マイク・ポンペオの厳しい言葉は、実際、何を意味しているのだろう?
アメリカは、南シナ海の他の沿岸諸国の主張を認めているが、ポンペオは、もし中国がそれら5国の船に対し、武力を行使したら、アメリカは、彼らの主張を擁護するために、海軍力を使うことを意図しているのだろうか?
もし、これらの紛争で、アメリカ唯一の条約同盟者マニラが、南シナ海で、アメリカが合法的権利と見なすものを取り戻すために武力を行使したら、米海軍は、マニラの主張を実証するために、中国海軍と戦うことを意味するのだろうか?
ポンペオは北京が越えればアメリカとの戦争の危険がある一線を引いたのだろうか?
もしそうなら、ワシントンの誰かが、アメリカが今そうした主張を拒絶しているので、中国は南シナ海での全ての領有権主張を断念したり、再び主張するのを引き下がったりすると思っているのだろうか?
世界中の民主主義諸国が後ろ盾だと思っていた香港の人々に一体何が起こったかお考え願いたい。
1年間、彼らは、より大きな政治的自由を目指して行進し、抗議し、独立を勝ち取れるかもしれないと信じていた人々もいた。
だが北京が我慢の限界に達すると、北京はその下で香港が中国に返還された基本法を破壊し、取り締まりを始めたのだ。
民主主義諸国は抗議し、経済制裁を課した。だが肝心な点は、香港の人々は彼らが持っていた自由の範囲を広げ損ねただけでなく、持っていたものの多くを失ってたのだ。
彼らに対し北京が計画していることを恐れている香港反体制派分子に、イギリスが何百万ものビザを提供する中、アメリカは、香港が中国に吸収されつつあるのを見て、この都市に与えていた特別な経済的特典を取り消そうとしているのだ。
六月、ポンペオは、新彊での人権侵害行為でも北京を非難した。「今日、世界は、中国共産党が継続している抑制キャンペーンの一環として、新彊のウイグルや他の少数民族に対して、強制不妊手術、強制妊娠中絶や強制的家族計画を行っているという気がかりな報告を受けた。」
これらの報告は「悲しいことに、人命の神聖さや人間の基本的尊厳の全くの無視を実証する何十年もの中国共産党の慣行と一致する」とポンペオは述べた。
中国は、ウイグル族とカザフ人の扱い、香港の対処に対するアメリカによる抗議を、内政干渉であり、アメリカには関係ないとして拒絶した。
南シナ海については、中国は、アメリカは「世界の全ての海で権力を振りかざして」いるように思われると、そっけなく答えた。
これらのアメリカの警告と北京の対応は冷戦の最も暗い日々を思いおこさせる。
そこで再び質問だ。もし北京が自身のものとして主張する小島と砂洲を占拠し、強化し続けたら、アメリカは南シナ海での海軍紛争に覚悟ができているのだろうか? 我々は中国との冷戦2に対して覚悟できているのだろうか?
中国はソヴィエト社会主義共和国連邦が冷戦末期に保有していた戦略的兵器庫には欠けるが、経済的、技術的、工業的に、中国はソ連がそうだったより遥かに大国だ。しかも中国の人口は四倍だ。
我々は、冷戦中あったものに似た同盟体制を、ヨーロッパでのNATOや、アジアでの日本や、韓国、フィリピン、台湾、オーストラリアとニュージーランドとの安全保障条約構築し始めることができるのか、すべきなのだろうか? 我々は、拡張主義で「帝国主義」大国だとポンペオが言う、共産中国封じ込め政策を採用すべきなのだろうか?
我々は中国近隣諸国に戦争する保証を出し始めるべきなのだろうか? 我々は中国が越えてはならない一線を引きはじめるべきなのだろうか?
我々は半ダースもの中東戦争に取り掛かる前に、それをどう終えるか熟慮しなかった。北京に対する遅ればせの好戦性が、必然的に何に向かうのか、この全てが、どのように終わるのか、我々は考えているのだろうか?
記事原文のurl:https://www.creators.com/read/pat-buchanan/07/20/is-america-up-for-a-naval-war-with-china
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