« トランプの歴史的不名誉への道 | トップページ | 既に崩壊しているインドネシアに、Covid-19は壊滅的打撃を与えるだろう »

2020年6月13日 (土)

ワシントン寄りのロシア・アカデミー会員アルバートフ

2020年6月8日
Paul Craig Roberts

 もしロシア版PropOrNotウェブサイトがあれば、アカデミー会員のアルバートフは、「アメリカの工作員/手先」として、そこに掲載されるだろう。

 アルバートフは、ロシア科学アカデミー世界経済国際関係研究所国際安全保障センター長だ。彼はロシアは中国との戦略的提携を避けるべきだ主張して、ワシントン寄りを実証している。これは、もちろん、ワシントンの立場だ。アメリカの外国政策が、ロシアと中国両国に敵対的なネオコンに支配されていて、この両国がアメリカ覇権に対する障害なのだから、ロシア人の安全保障専門家が、そういう意見なのは奇妙に思える。

 ワシントンはロシアと中国両国を悪者にし、制裁し、恫喝し、両国の勢力圏で攻撃的な軍事演習を行い、ロシア大統領を「新ヒトラー」だとはねつけ、貿易戦争で中国を脅し、コロナウイルスを中国のせいにし、中国に弁償しろと脅している。

 アメリカのような敵対的で不当な大国に直面しているからには、ワシントンの敵対的意図を阻止するために、ロシアと中国は、まさに戦略的提携が必要に思える。アメリカが香港で暴動を組織し、資金供給し、中国の省の不安定化に取り組み、ネオコンはイラン政府を転覆させ、ジハード戦士をロシア連邦に送りこむことを狙って、ワシントンは、まず一国、更にもう一国を不安定にするつもりなのを示している。戦略的提携で確証された共同戦線がワシントンより大きな力となり、戦争を発生させかねないワシントンの計算違いを防ぐだろう。

 アルバートフはなぜこのような望ましい結果に反対なのか? 彼はなぜロシアが中国から「距離を保つよう」望むのだろう? 彼は中国よりワシントンを信頼するのだろうか?

 彼はこう答えている。半世紀前、ソ連邦は「公式にその綱領で、中国が世界に対する最大の脅威だと宣言した。中国を、世界の最大の脅威から、戦略上重要な同盟国あるいはパートナーへと、両極端の間で、行き来するわけには行かないのだ。このような概念で動くわけにはゆかない。戦略的同盟国というのは、その同盟国の利害関係のために戦うべく兵士を派兵する覚悟があり、その逆でもあるのだ。我々は中国とは、そのような立場にはなく、そうはならないと私は確信している」。

 中国と、もはや存在していない政府と国との間の、半世紀前の些細な対立を、今遥かに深刻な対立を阻止する戦略的提携を止めさせるためにアルバートフが使うのに一体どんな戦略上の意味があるだろう? あり得る一つの答えは、証明済みのワシントンによるロシア攻撃の意図にもかかわらず、一部のロシア人は中国よりアメリカに惹かれているのだ。大西洋統合主義という非現実的な考えは、ロシアにとって最大の脅威のままだ。

 こういう考え方をしているのはアルバートフだけではない。多くのロシア人専門家が、ロシアは、経済状態がロシアより強い中国に余り近づくべきではないと信じている。彼らは、親密な関係によって、ロシア経済が天然資源の供給源に限定され、ロシアが中国の使用人になる結果を恐れているのだ。

 ヨーロッパへのエネルギー以外の原料輸出にロシア経済を限定するのがワシントンの計画であることを、ロシア人専門家は想起すべきなのだ。中国との同盟を思いとどまらせようとしている専門家は、ロシアがワシントンの使用人になるのを望んでいるのだろうか? ロシア・中国戦略的提携の阻止は、アメリカ覇権に不可欠だ。ロシアは中国恐怖につられて、ワシントンの使用人となる危険をおかすのを避けるべきだ。戦略的提携は、ロシアと中国が、両国をワシントンの企みから守る最良の方法だ。

 現在ワシントンに脅迫されているロシアにとって、友達を作り、他の国々に橋を架けることこそ意味がある。バレンツ海で、ノルウェーに、アムール川の島を巡って中国に、対する譲歩や、日本の千島列島返還要請の検討はロシアの思いやりある外交の象徴だ。ロシアの中国不信の根拠が何であるにせよ、平和を保証するため最後に残された協定をも廃棄して、戦争への道筋を準備し続けるワシントンを、ロシアが信じるのは余り道理にかなわない。ロシアと中国にとって、世界平和にとって、ロシアと中国の堅実な同盟より重要なものはない。これは両国が、彼らの主権を守り、おそらく、アメリカ覇権のための動きが、核戦争になるのを阻止する唯一の方法だ。もしロシア人がこれを理解できなければ、我々とともに彼らも破滅する運命にある。

 Paul Craig Robertsは元経済政策担当財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリップス・ハワード・ニューズ・サービスとクリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the West、HOW AMERICA WAS LOST、The Neoconservative Threat to World Orderが購入可能。

 ご寄付はここで。https://www.paulcraigroberts.org/pages/donate/

記事原文のurl:https://www.paulcraigroberts.org/2020/06/08/russian-academician-arbatovs-washington-leanings/

----------

 今日の孫崎享氏のメルマガ題名

日本はコロナ検査徹底せず。コロナで死亡、記録に出ず他病気で死亡とされる可能性。東京都4月の死者数は10107人。過去4年間4月の平均死者数(9052人)を12%上回る、一方コロナによる4月の死者数計119。千人程度の超過死亡(コロナ死もある)の可能性。

 日刊IWJガイドの冒頭記事も

はじめに〜イメージばかりの劇場型小池都政の継続!? 東京アラート解除当日に都知事選に再選出馬表明した小池百合子氏が掲げたのは「東京大改革2.0」!? ヘイト寄りの小池都政、お気に入りの記者の質問しか受け付けない独善的会見、全国最悪のコロナ小池対策の改革が先だろ!!

« トランプの歴史的不名誉への道 | トップページ | 既に崩壊しているインドネシアに、Covid-19は壊滅的打撃を与えるだろう »

アメリカ」カテゴリの記事

アメリカ軍・軍事産業」カテゴリの記事

ロシア」カテゴリの記事

中国」カテゴリの記事

ポール・クレイグ・ロバーツ」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« トランプの歴史的不名誉への道 | トップページ | 既に崩壊しているインドネシアに、Covid-19は壊滅的打撃を与えるだろう »

お勧め

  • IWJ
    岩上安身責任編集 – IWJ Independent Web Journal

カテゴリー

ブックマーク

最近のトラックバック

無料ブログはココログ