ヨーロッパにおける「アメリカの空白」を中国はどう埋めようとしているのか
2020年6月15日
Salman Rafi Sheikh
New Eastern Outlook
アメリカ-ヨーロッパ同盟が急速にばらばらになりつつある様子を見れば、世界に影響するアメリカの能力が大規模に減少する、ある種の多極世界秩序への道を開く、世界的レベルの地殻変動が起きる可能性が高いことは、殆ど、あるいは、全く否定できない。ヨーロッパに対して減少しつつあるアメリカの影響力と、アメリカ一極支配主義に対して増大するヨーロッパの自信が、ヨーロッパは、新しいスーパーパワー、すなわち中国の単なる従属的パートナーにはならないことを示している。ヨーロッパは新たな多極世界で、一つの主要な「極」となるだろう。したがって、ヨーロッパは、中国をアメリカへの依存を多様化し、それを影響力として利用する可能性が最も高い。逆に中国は、アメリカ政策が引き起こしている空白を満たすべく既に準備しており、ヨーロッパとの関係を再定義している。だが、これは円滑な過程にはなりそうもない。ヨーロッパは、登場しつつある一つの極として、Covid-19後の国際体制において、新しいグローバル・パワーに対するかなりの影響力を持てる形で、この新しい関係の条件を決めたいと望むだろう。
最近開催された中国・EU間の第10回年次戦略的対話は、Covid-19後の世界の政治、経済、金融システムの再定義を目指す「大国外交」の広範な輪郭を象徴している。この対話は、後日行うEU-中国サミットの舞台を準備した。これらがアメリカと同盟国-ヨーロッパとカナダ間の意見の大きな相違のため最近キャンセルされたG7サミットの残骸の上で起きている事実から、これらの催しの重要性は推し量れる。
Covid-19の影響で、アメリカもヨーロッパも荒廃し、中国が既にかなり回復しているので、ヨーロッパが、深刻な経済的損失を埋め、回復への長い道を舗装する支援を得るため中国は自然の選択肢になる。アメリカ不在の中、ヨーロッパに対する中国投資は、ヨーロッパのCovid-19後生活の主軸になるかもしれない。
ヨーロッパはこの必要性に気付いており、それが欧州連合外務・安全保障政策上級代表が、中国と彼らのかつての不安定な関係を再定義する必要性を強調している理由だ。彼らにとって、中国はヨーロッパに対する「軍事的脅威」ではない。中国-EU戦略的対話の催しに参加した欧州連合外務・安全保障政策上級代表ジョセップ・ボレルは、中国は世界平和に対する「脅威」ではないと述べた。「彼らは世界に参加し、世界的役割を果たしたいと望んでいるが、軍事的野心は持っておらず、彼らは軍事紛争に参加するために戦力を使いたいとは望まないと再度確約した」と彼は補足した。
このような考え方は、中国をアメリカが支配する世界に「混乱」もたらす「修正主義国家」と定義するアメリカ国家安全保障戦略と著しく異なっている。ジョセップの見解は、アメリカだけでなく、ヒマラヤ山脈や南シナ海での中国の益々増加する軍事力を懸念している日本やインドや他の多くのアジア諸国とも相いれない。
だが、ヨーロッパにとっては、イタリアがコロナウイルス流行に打撃を受けたていた時、支援に来てくれたのは中国だった。同盟国のはずのアメリカは、ヨーロッパ支援に来ないだけでなく、成功してはいないが、自国を隔離すべく壁を築くことに決めたのだ。
アメリカと異なり、中国指導部はヨーロッパと深く関わり続けようとして多忙だ。中国の習主席は今年だけで、既に四回ドイツ首相に電話をかけている。フランスに関して、習とマクロンは既に今年の年頭以来五回話をしており、中国がヨーロッパとの関係を醸成している程度と深さを示している。この「程度と深さ」が与えている影響は、このボレル発言から明白だ。「中国は疑いなく主要な世界的プレーヤーの一つだ。これは事実で、中国は世界的な役割を増すだろう。我々の世界的目的を達成するため、我々の権益と価値観に基づいて、中国と関わらなければならない。」
益々妥協的な考え方に向かって動いているEU指導部は、アメリカ指導部の一部が「権威主義的」中国政治体制と呼ぶものの重要性を軽視しようとしている。ボレルにとって「我々の政治体制が同じでないのは明確だ。我々が我々の政治体制を擁護するように、中国がその政治体制を擁護するのは明らかだ。中国が世界的野心を持っているのは明確だ。だが同時に、中国が世界平和を脅かし得る役割を果たしているとも思わない。」
同時に、新興の世界的プレーヤーとして、EUは、もはやアメリカに服従的ではなく、中国との平等な関係を目指すだろう。中国とEUが、お互いを受け入れるため、既に魔法のような方法を見いだしたと言うには余りに尚早だろう。両者に対するアメリカの攻撃的な取り組みの後、EU、中国双方が、より近づきつつあるのは事実だが、「アメリカ要因」だけが、両組織を、長期戦略的提携で統合することはありそうもない。
EU-中国関係は、もはや「対決的ではなく」、益々現実主義に基礎を置きつつあるのは確実だが、刺激物、特に、ヨーロッパにおける中国の影響力に対するアメリカ抵抗という形のものが、ファーウェイや5G技術で現れ続ける。イギリスを含め、ヨーロッパは、これまでのところ、中国のプロジェクトを脱線させるアメリカの企みに、うまく抵抗しており、ヨーロッパは自身のやり方で中国を扱うだろうことを示唆している。この取り組み方がどのようなものかは、既に十分に明らかになっている。
Salman Rafi Sheikhは国際関係とパキスタンの外交、国内問題専門家。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。
記事原文のurl:https://journal-neo.org/2020/06/15/how-china-is-all-set-to-fill-the-us-gap-in-europe/
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国内至る所で昨年以上の人出。大本営広報部洗脳呆導バラエティーも液晶パネル出演から生出演に変わった。中身は変わらない。
『新型コロナウイルス人災記: パンデミックの31日間』読了。東電福島第一原発メルトダウンの際にも、同じ川村湊氏による『福島原発人災記――安全神話を騙った人々』を同感しながら拝読したものだ。透析を受け、糖尿病も患っておられる川村氏にとって、コロナは深刻な脅威だ。『福島原発人災記』でもそうだったが、様々な政治家や学者に対する川村氏の意見に全く同意。原発メルトダウン対策を晋裸万障がさぼったのだ。そのおかげで実際、メルトダウンが起きたのに、「完全にコントロールしている」と真っ赤なウソをいって、自分の失敗から目を逸らそうとして、オリンピックを無理やり持ってきた。天網恢恢疎にして漏らさず。新自由主義で散々医療体制を脆弱にした自分の政策のおかげで、そのオリンピックも吹き飛んだ。同時に、国民の生活も。緑のタヌキも同類だ。
最近、様々な団体が、コロナ対策で、Zoomを利用したオンライン講演?を開催している。Zoomが不気味で一切参加せずにいる。案の定、小倉利丸氏による下記記事がある。安全な国産ソフトはできないのだろうか?
明日は下記IWJ岩上安身氏の控訴審判決言い渡し。司法がまともか、そうでないのか分かる日。
雨の中、年寄りの冷や水、外出はせず、過去インタビューを拝見予定。
【小池都政に騙されるな!これまでの都知事選を振り返る シリーズ特集 6・IWJ_YouTube Live】20:00~「地中の汚染水が地上に噴出!! 11日開場予定の豊洲は問題だらけ! 岩上安身による建築エコノミスト・森山高至氏、一級建築士・水谷和子氏、築地女将さん会・山口タイ氏、新井眞沙子氏インタビュー (第二部)」
視聴URL: https://www.youtube.com/user/IWJMovie/videos?shelf_id=4&view=2&sort=dd&live_view=501
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