いまだ行き詰まっている米韓防衛経費論争
2020年6月4日
コンスタンチン・アスモロフ
New Eastern Outlook
特別措置協定(SMA)として知られている米韓防衛費分担金協議に関する我々の最新記事を2カ月前に掲載したが、以来何ら進展していない。
背景情報を簡単に説明すると、1991年以来、韓国は、アメリカ軍駐留の経費を部分的に負担しており、韓国の分担は、建設プロジェクトと兵站経費の負担と、アメリカ韓国軍(USFK)の約8,600人の韓国人従業員の給料支払いに、あてられていた。2019年12月に期限が切れた古いSMAの下で、ソウルは8億7000万ドル支払うよう要求されていた。
アメリカが韓国負担の5倍増、約50億ドルを要求し、韓国政府が拠出を約10%引き上げると申し出た2019年9月最初の協議後、交渉は決裂した。
最近の7回目協議が、2020年3月17-19日に行われたが、28,500人のアメリカ兵の朝鮮半島配備経費を、どのように分担すべきかについて、ソウルの鄭恩甫(チョン・ウンボ)首席代表と、アメリカ側担当ジェームズ・デハート国務省政治軍事局選任補佐官は、お互いの相違から目をそらすことができず、合意に達し損ねた。匿名希望のソウル外交筋が、アメリカは、アメリカ軍駐留を維持するため、韓国に、年間40億ドルを支払うことを強く主張したと語った。彼らが当初要求していた数値は、地域の安定を確保する戦略上の関心より、アメリカ自身の金銭的関心に専念していることに対し、ワシントンが批判を受けた後、10億ドル減額された。
同じ時期に、彼らの賃金が払われていたアメリカの金がなくなって、アメリカ韓国軍(USFK)韓国人従業員に重大な問題が起きて、彼らは4月1日から一時解雇されなければならないことになっていた。ソウルは、この問題を解決する別協定を結ぶよう提案したが、ワシントンはこの第二の問題が重要なのにもかかわらず、経費分担する主要合意について決定を遅らせる理由を韓国に与えるだろうと、このアイデアに反対した。
4月21日、ドナルド・トランプは、アメリカ部隊を韓国領土に配備しておくためには、韓国が、もっと多く支払うべきだと繰り返した。トランプは、防衛負担を13%増やすというソウルの申し出を、彼が拒絶した理由は、公正の原則に基づいており、アメリカが韓国に「大変な奉仕」をしているという根拠からで、アメリカは「平等に公正に」扱われなければならないためだと述べた。ドナルド・トランプは、資金問題を解決できないので、アメリカは、朝鮮半島のアメリカ部隊の縮小を交渉しているといううわさをはねつけた。「縮小の問題ではない、彼らが自国の防衛費を負担するかどうただ?」
4月30日のインタビューで、ドナルド・トランプはロイターに語った。「彼らは多くの金を支払うことに同意した。私が大統領になって以来、彼らは過去してきたより遥かに多くの金を支払っている。」それでも韓国大統領官邸は「交渉はまだ進行中だ」と言ってコメントを拒否し、康京和(カン・ギョンファ)外務大臣は、トランプが拒絶した額が、韓国が出せる「最高の可能レベル」だったと言った。「韓国とアメリカは防衛経費を分担合意に関してまだ交渉中で何もまだ公式に決定されていない」と外務省が述べた。
5月1日、韓国国会は、アメリカとの防衛経費分担交渉における韓国交渉者の立場を強化するため、一時解雇されたアメリカ韓国軍(USFK)の韓国人従業員の支援に供するため、満場一致で特別法を成立させた。一時解雇された従業員は、180万ウォンの(1,476.6米ドル)の毎月の給与と、平均月給の約60-70パーセントにあたる198万ウォンを受け取る。これは、毎月の75億ウォンの予算割り当てを必要とする。政府は最初に金を支払い、後日合意されるSMAの枠組みの下で、アメリカへの支払金額から、この額を差し引くことを計画している。
5月8日、別の韓国外交筋が「我々は既に我々の能力の最善を尽くした」と述べ、韓国には、より多くの出費の余裕は残っていないと語った。これらの声明で、現在の交渉段階が、このような形に見えることが非常に明確になった。韓国は、13%が、支払える最高額だといい、アメリカが要求した韓国の分担額の5倍増を、約1.5まで下げた。年間13億ドル、それが韓国の最終で、合理的な申し出なのだ!
同じ日、5月8日、ルネ・クラーク・クーパー米国務次官補(軍事問題担当)が、いずれの側も同盟が損なわれるのは望んでおらず、アメリカは韓国との防衛費用分担合意の実現を期待していると繰り返した。彼の発言は、アメリカ部隊配備を維持するため、韓国が「我々に大きな金額を支払うことに同意した」というドナルド・トランプ大統領の主張と矛盾すると韓国報道機関は指摘した。
2020年5月15日、R・クラーク・クーパーは、ワシントンが、防衛経費分担について、ソウルとの交渉で柔軟でだ、交渉自身は進行中で、双方が政府とドナルド・トランプ大統領と文在寅大統領が完全に受容できる合意に至るため、一度もやりとりをやめたことがないと繰り返して述べた。
これに答えて、中道左派のハンギョレ新聞が、ソウルは立場が断固としており、13%の増加が、韓国が提供できる最大だと強調した。「政府の立場は変わっていない。アメリカが言及した金額は到達不能だ。」
交渉締結の遅れが、他の分野で同盟国の協力をそこないかねないという懸念の中、2020年5月20日に、マーク・ナッパー国務副次官補(東アジア太平洋担当)が、手詰まりを打開するため両国が一生懸命働いているから、アメリカと韓国は方法を見いだすと「強く確信している」と述べた。ナッパーはCovid-19流行に対する対応で、韓国を「世界のモデルで模範」だと称賛し、アメリカがウイルス発生への対応で、韓国との協力から利益を得たことを指摘した。だが彼はコロナウイルスに対する戦いでの二国間協力は「何年、何十年もの二国間の人材交流と教育交流」のおかげだと指摘した。
ナッパーは、アメリカは「アメリカ納税者の負担を減らすべく、韓国だけでなく、北東アジアやヨーロッパで他の同盟諸国との間で負担の公平な分担方法を考え出したい」というトランプの立場を繰り返した。
今年、期限切れのものに、新SMAが取って代わるべきとなってから既に6カ月経っている。結局、トランプは、有利に交渉をしようとしているだけで、忘れてならないのは、そもそもトランプは抜け目ない実業家で、5倍増という金額は、後で値引きする最初の言い値であることは専門家ならすぐわかる。彼の誇り高い独立政策からして、立法院選挙で特筆すべき勝利を確保した直後に、アメリカの全ての命令にソウルを従わせたくないだろうから、文大統領は、まだ圧力に屈していない。だが他の過去の例と同様、ソウルは遅かれ早かれ屈伏する可能性が高いが、韓国マスコミは、外交の大勝利として描写するだろう。「ワシントンの最初の金額と比較して、我々が交渉した価格を見ろ!」
コンスタンチン・アスモロフは歴史学博士、ロシア科学アカデミー極東研究所朝鮮研究センター主任研究員。オンライン誌“New Eastern Outlook”独占記事
----------
遥かに属国度が高い日本の、戦争負担、韓国のようには、抵抗できず、黙って言う通りに払うのだろう。全て国民の税金。医療制度をどんどん削減し、宗主国戦争予算に向けるのが、属国支配層のお役目。
『女帝小池百合子』の著者、大量資金援助をしてくれる日本支配層とズブズブの関係にあるエジプト支配層に近いカイロ大学が、いい加減な回答をすることは当然折り込み済み。小林教授も、日刊ゲンダイ記事の末尾に、しっかり書いておられる。ともあれ『女帝小池百合子』、発売直後、街の書店で購入したのだが、アメリカのいいなりになる実情を書いた名著『拒否できない日本』を一年近く在庫無しにした巨大書店では今回も、すぐには買えない。都知事選の邪魔にならないようにという配慮だろうか?
なお、小池氏がカイロ大を「卒業」したと同大が公式に認めた場合は、同大が世界の常識とは違う「表彰」機関だということである。
ネット書き込みに「日本語を事前学習していない学生が東大を四年で卒業できた」というのと同じだというのがあった。
コロナを口実に“お仲間内での分け合い”の典型? にわか作りの事務所を見て、「ポチョムキン村」を想起。
日刊ゲンダイDIGITAL
誹謗中傷の本人が対策検討?
LITERA
« 帝国の醜い顔を見せるので、支配層はトランプを嫌うのだ | トップページ | アメリカ経済は50%減少している - 必要な雇用計画はいずこ? »
「アメリカ軍・軍事産業」カテゴリの記事
- パトリック・ローレンス:予想通りのトゥルシ・ギャバード屈服(2025.01.20)
- 大統領の鳴り物入り宣伝など忘れろ アメリカ帝国主義によるホワイトハウス占拠だ(2025.01.19)
- シリア分割と新サイクス・ピコ協定:地政学的混乱と地域再編(2025.01.12)
- 制裁と物理的手段でロシアとの和平を阻止する(2025.01.17)
「北朝鮮・韓国」カテゴリの記事
- ウクライナ - 「ブリヤート人を装う」北朝鮮兵士(2024.11.12)
- 人をだますのは露骨なプロパガンダではない(2023.07.24)
- 福島第一原子力発電所の放射能排水問題は何か? 第一部。技術的側面(2023.07.08)
- 日本と韓国を中国と戦争させたいと望んでいるアメリカ(2023.05.26)
- 尹錫悦(ユン・ソンニョル)訪米結果への期待に対する反予測(2023.05.01)
「トランプ大統領」カテゴリの記事
- パトリック・ローレンス:予想通りのトゥルシ・ギャバード屈服(2025.01.20)
- 大統領の鳴り物入り宣伝など忘れろ アメリカ帝国主義によるホワイトハウス占拠だ(2025.01.19)
- 就任さえしていないのに既に全面戦争を誓うトランプ(2025.01.15)
- グリーンランド併合の恫喝でデンマークの玄関マットを踏みにじるトランプ大統領(2025.01.14)
- 2025年、再びアメリカによる政権転覆の標的となったイラン(2025.01.08)
« 帝国の醜い顔を見せるので、支配層はトランプを嫌うのだ | トップページ | アメリカ経済は50%減少している - 必要な雇用計画はいずこ? »
コメント