「ウイルスの猛威が戦争の愚かさを実証している」のに世界保健機構WHOに戦争をするトランプ大統領
ブライアン・クローリー
2020年6月2日
Strategic Culture Foundation
3月23日、アントニオ・グテーレス国連事務総長は「今日私は世界のあらゆる場所で、即刻の世界的停戦を呼びかける」と宣言した。武力紛争を封鎖し、我々の命に対する本当の戦いに共同で焦点を合わせるべき時期だ。ウイルスの猛威が、戦争の愚かさを実証している」 彼が共感的で、礼儀正しいので、グテーレス国連事務総長が、このような責任がある発言を聞くのは驚くべきことではないが、戦争をするより、Covid-19と戦うべきだという彼の呼びかけに世界最大の民主政治の代表者が耳を傾けなかったことも驚くべきではない。
グテーレス国連事務総長は、トランプが世界の中でも嫌いなものの代表で、過去、アメリカ国連大使ニキ・ヘイリーは、ワシントンは、人権高等弁務官事務所を含め「我々に役立たない[国連]組織への資金援助を停止する」つもりだと述べて彼の政策を要約していた。次期大統領として、トランプは、国連は「人々が集まり、話し、楽しい時を過ごすためのクラブに過ぎない」とツイッターで書いた。
国連全体、特に「主要任務が、国連体制の中で、世界の医療を指揮し、調整することであり、主要領域は医療制度であり、一生にわたる健康;伝染性でない病気、そして伝染性の病気;準備、監視と対応である、世界保健機構(WHO)」に、ワシントン政権が強い敵意を持っているのは確実だ。
70年の歴史で、天然痘絶滅の実現を含め、医療の奇跡に近いことを達成する上で、WHOは世界を率い、支援してきた。一部の狂ったイスラム過激派の行動がなければ、宗教的狂人が、悪意ある反ワクチン接種プロパガンダを、病気以上に広めるのに成功している、アフガニスタンとパキスタンで、数が少ないとは言え、人々の機能を損ない、死亡させ続けている小児麻痺殲滅に同様に成功できていたはずなのだ。にもかかわらず、WHOは、グテーレス事務総長が「グローバルな対応以外に、この世界的難題に対処する方法はない」と明言した通り、ユニセフ、国連児童基金や、ビル&メリンダ・ゲイツ財団や、特にアメリカ疾病管理予防センターとともに、それ自体国連政策の一部である対小児麻痺対策で極めて効率的だった。
だがドナルド・トランプ大統領は「グローバルな対応」を拒絶し、世界保健機構を孤立させ、さらに破壊したいと望んでいる。5月18日、お馴染みの悪意的対応で、彼はWHOを攻撃し、侮辱した。とりわけ、彼は、習近平主席の圧力を受けて、WHOがCovid-19緊急事態宣言を遅らせ、WHOが「2019年12月早々、あるいはそれ以前に、医学雑誌ランセットの報告を含め、武漢で蔓延するウイルスに関する信用できる報告を首尾一貫して無視した」と証拠もなしに主張している。
イギリスのランセットは世界で最も信用され称賛されるジャーナルの一つだが、編集者リチャード・ホートンが、アメリカについて「トランプ大統領、あなたはWHOに対する攻撃で「ランセット」を引用されている。どうか私に事実を修正させていただきたい。「ランセット」は2019年12月早々、ウイルスの武漢での蔓延について報告を発表していない。我々が発表した最初の報告は、2020年1月24日、中国科学者によるものだった。」と述べて、大統領に、きっぱり反論するよう強いられたのは驚くべきだ。
この書簡でランセットは述べている。「トランプ大統領の手紙で、WHOに対して突きつけられた主張は、深刻で、この流行を制御するための国際協調を強化する努力に打撃を与える。12月と、1月に行われたグローバル対応の、いかなる検討も、実際に正確な記述に基づくことが不可欠だ。」言い換えれば、完全に独立した機関が、ドナルド・トランプ大統領がうそつきであることを明確にしたのだ。だが彼はどなりたてる痛烈な批判の、明らかに間違った非難のいずれも撤回し損ねており「もしWHOが30日以内に[すなわち6月18日までに]本格的な実質的改善を約束しなければ、私はWHOへのアメリカ資金の一時的凍結を永久にし、加盟を再考する」という彼の恫喝も訂正されていない。
WHOは完ぺきではない。(一般には報道されない)本当に良い仕事をしている他の多くの国連組織同様、金のためにいるだけで、彼らの責任である人道的任務に全く何の関心もない当局者もいる。彼らは極少数しかいないが、確かにいて、彼らは組織の立場を弱めている。だが世界全般は、WHOを承認しており、5月18日-19日の第73回WHO総会は、ある解説者が言ったように「欧州連合と中国の静かな勝利で、テドロス・ゲブレイェソスWHO事務局長の、まぎれもない勝利」は明らかだった。
「加盟国が誠意をもって行動しない場合、WHOが、情報共有と透明度という核心活動で失敗したと考えている」というのアメリカの見解だが、(「事実上どの国もこの流行から免れることはできないのだから、国家は単独ではこの問題を解決できず、我々は協力しなければならない」)というメルケル首相や、(「我々が協力した場合にのみ、我々はこのCovid-19流行に打ち勝てるだろう。我々は強いWHOと我々加盟国が必要だ」)というマクロン大統領演説で明らかなように、これは明らかにばかげたことだ。総会の雰囲気は前向きで、流行と戦う上で、世界中の国々が「我々の命のための本当の戦いに、皆で集中しよう」というグテーレス事務局長の声明に同調するものだった。
アメリカ以外の全ての国がウイルスに対する戦いでWHOに協力しているが、トランプと彼の手先は、アメリカが直面する大惨事を、自身以外の全員のせいにしようと固く決意して、世界を分割しようと四苦八苦しているのだ。
威嚇するような最後通牒の下品さは別として、WHOへのアメリカ対応には精度が欠如している問題がある。トランプは彼が要求する「本格的な実質的改善」の性質を広く知らしめず、30日ではなく、わずか10日後に、WHOと「我々は今日関係を終える」と発表し、またもや、彼の不安定性さと一貫性の完全な欠如を実証した。
ロイターが報じたように「アメリカ・ファーストという狙いに焦点を当てるためトランプは多国主義を拒んでいる。就任以来、彼は国連人権理事会、国際連合教育科学文化機関ユネスコ、気候変動とイラン核合意に取り組む世界協定を離脱した。彼は国際連合人口基金向けとパレスチナ難民を支援する国連難民高等弁務官事務所向け資金を削減した。」
このような軍事的に強力で、経済的に影響力がある国の大統領が、これほど荒々しく振る舞うのを世界は認め続けられない。トランプの激怒は戦争の愚かさ実証しており、流行と戦うために、まとまるのは、他の国々次第だ。白人による黒人男性殺人に対する抗議(アメリカでは黒人でいてはいけない)で、驚異的な暴力がアメリカ全土で勃発しており、Covid-19による死者が一週間で最多となる中、大統領は、ホワイトハウス・ローズ・ガーデンで演説し、これら国家的危機に関する政策を提出するのではなく、国連に戦争をはじめたのだ。これは実に愚かだ。
Brian Cloughleyは、イギリス軍とオーストラリア軍の退役軍人、元カシミール国連軍事使節副団長、元在パキスタンのオーストラリア国防担当大使館員
個々の寄稿者の意見は必ずしもStrategic Culture Foundationのものを意味しない。
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『女帝小池百合子』を読み終えた。予定通り、宇都宮氏に投票すると決めて、朝、ネットをみると、とんでも記事がある。見回り隊。女帝らしいお粗末さ。彼女も酷いが、『女帝小池百合子』の中でも、かかかれているが、こういう手合いをチヤホヤしつづけるマスコミは共犯者。
今日の孫崎享氏メルマガ題名 監視対象リスト中には、どうみても太鼓持ち番組もあるのが不思議。
週刊ポスト「「官邸の「反政府番組監視」記事。「モーニングショー」の玉川徹氏等、批判的な番組やコメンテーターの発言を重点的に収集。監視対象局は沈黙、説明を政府に求めようともしない。政権大新聞やテレビ報道支配意図。SNSが検察庁法改正批判で新しい力」
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