アメリカは中国に干渉せず、自国の正常化に注力すべきだ
Andre Vltchek
2020年6月4日
チャイナ・デイリー(中国日報)香港
アメリカのあらゆる地域で、アフリカ系アメリカ人や他の抗議行動参加者が、絶え間ない残忍な黒人殺害に抗議し、警察や州兵とさえ戦って、都市が次々と炎上している。
苦悶の中「息ができない!」と叫びながら、ジョージ・フロイド氏がミネアポリスで、警官に、文字通り窒息死させられ殺害されて、火がついた。
Yahoo.co.ukメインページを開いても、アメリカで進行中の大規模動乱に関するニュースは皆無だ。ところが香港や国家安全法やトランプとポンペオの北京に対する恫喝に関してはもりだくさんだ。
逆説的に、アメリカで起きていることに関して詳細な報道を得るには、RTを含め、欧米以外のマスコミ・サイトを見なければならない。
「警官に地面に押さえつけられて窒息させられた非武装の黒人男性フロイドの死は、悲劇が起きたミネアポリスを越えて、多くの抗議行動参加者の共感を呼んだ。」
ニューヨークのブルックリンで「私には弟や姪や甥がいます」とブリアナ・ジェンキンスという名の抗議行動参加者がRuptlyに語った。「我々の同行なしに、彼らが外に出るのが心配です。わかりますよね。何が起きるかわかりませんから、子供に、お店に行って欲しくはありません。」アメリカやイギリスや他の西側諸国が中国政府や香港政権や香港警察を侮辱するのに忙しいが、アメリカ国民、特に少数派の人々が、世界の他のどこにもないような割合で、警官に射殺され、文字通り殺されている。
香港暴徒が外国の旗を掲げて「民主政治のために戦って」いると主張して行進しているが、益々民営化されるアメリカ刑務所には、地球上他のどの国より多くの拘留者がいる。何十年間も、アメリカの投獄は犯罪の処罰が狙いなのではない。それは何百万人ものと人々の人生を犠牲にする巨大ビジネスになっている。
2020年に、230万人の囚人がアメリカの拘置所に拘束されている。100,000人当たり698人で、世界最高の比率だ。
2015年以来、アメリカ警官は、1,252人の黒人、877人のヒスパニックを殺している。
人権弁護士で、ジョージ・フロイド家の弁護士の一人、リー・メリットは状況をこう要約している。
「アメリカの警察文化は現代世界で最悪です。世界中で、これだけ多くの人々を殺害し、投獄する国はありません。我々は危険な状況にあります。」
メリット氏とベンジャミン・クランプ弁護士は「アフリカ系アメリカ人共同体の基本的人権の継続的な拒絶」のかどで、アメリカに国連制裁が課されるべきだと考えている。
香港の暴徒たちは、トランプ大統領が書いた抗議行動に関連する最近のツイート、世界全体に衝撃を与えたツイートを繰り返し読むべきだ:
「どんな困難でも我々は管理する。だが略奪が始まるとき銃撃が始まる。」
今、トランプ大統領は制裁で中国を脅している! アメリカ当局者は、中国と香港が暴徒を阻止しようとしていることを批判している。
それが、全て、巨大で、奇異で、逆説的な政治的熱狂へと変わりつつある。
今、国内的にも国際的にも最大の人権侵害者であるアメリカは、ヨーロッパやアジアの類似の法と比較して、決して過度ではない香港国家安全法を制定したかどで、中国を「罰する」準備ができている。
明白な理由で、ミネアポリスと香港の画像・映像は決して並んで表示されない。欧米主流マスコミには「比較の文化」がないので決して比較されない。中国とアメリカで、毎年一体何人が警察暴力で亡くなっているだろう? 一体どこで人権が、より侵害されているだろう?
一体どこで人権が本当に侵害されているかに基づけば、どの国が制裁に値するだろう?
道義的問題は別としても、深刻な経済問題もある。もしアメリカが脅しを実行して、1992年のアメリカ・香港政策法を破棄すれば、最も影響を受けるのは香港で、北京ではないだろう。
2020年5月30日、マーケット・ウォッチがこう報じた。
1992年のアメリカ・香港政策法で認めていたすべての権利をアメリカが終わらせれば、「香港経済は基本的になくなるだろう」と、エノド・エコノミクスのチーフエコノミスト、ダイアナ・チョイレバがマーケット・ウォッチに語った」。
チョイレバはこう述べた。「最も重要なのは、この法律が香港ドルの米ドルとの自由なやり取りを義務づけていることだ。もしアメリカが、香港通貨当局の米ドル利用制限に動けば「それは極端な最後の手段で」広範囲にわたる資本逃避を引き起こし、地域の銀行業務と輸送と物流部門を破壊しかねない。」
アメリカの政策は、国内でも、国際的にも、不条理を糧にしている。それはカフカ的だ。もはや論理は通じない。
政策が益々混乱し、益々不合理になるにつれ、一層、不明確になり、さらけ出され、結果的に、問題に直面することになる。
香港は、死に瀕して崩壊しつつある帝国の被害者へと変わりつつある。
香港「抗議行動参加者」の混乱は、彼らが仕える知的、道義的混乱の反映に過ぎない。
Andre Vltchekは哲学者、小説家、映画製作者と調査のジャーナリスト。彼は多数の国での戦争と紛争を報道している。「China’s Belt and Road Initiative」や「China and Ecological Civilization」を含め20冊の本の著者。
この見解は、必ずしも「中国日報」のものを反映しない。
記事原文のurl:https://www.chinadailyhk.com/article/132679
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チャイナ・デイリー(中国日報)は、中国共産党傘下の英字新聞。
デモクラシー・タイムスの下記番組二本、抗議行動の話題に触れている。
日刊ゲンダイDIGITALには、『女帝小池百合子』の著者インタビュー記事がある。
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