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2020年6月 9日 (火)

帝国の醜い顔を見せるので、支配層はトランプを嫌うのだ

ケイトリン・ジョンストン
2020年6月4日

 バラク・オバマが、今アメリカで起きている「黒人の命は大事だ」抗議行動についておざなりな演説をしたが、前任者と同じ殺人の圧制的政策を推進しながら、空虚な「希望」の言説で、進歩的運動を沈滞させて、8年過ごした大統領に期待できる通りの、あらゆる点で、美辞麗句に満ち、中身の乏しいものだった。

 する必要があるチェンジについて語って、アメリカで最も力がある政治家を二期つとめていなかったかのように、前大統領は、彼らの「圧倒的多数」が人々を守り、奉仕していると警官を称賛し、抗議行動参加者を鎮めるため、抗議行動参加者と団結の誠実さがないジェスチャーをし続けるよう奨励した。

 「私は警察を再考するという目標を共有している警官たちに感謝したい」とオバマは言った。「皆の共同体、皆の国に奉仕すると宣誓した困難な仕事をする人々がいて、皆さんは、抗議行動参加者の多くと同様、ここ数週間、あの悲劇について同じぐらい憤激しているのを私は知っている。だから、人を守り奉仕する圧倒的多数の皆さんに我々は感謝している。私は「私も抗議行動参加者者と一緒に行進させて欲しい、私も並んで立って解決策の一部になりたいと認め、自制を示し、自発的に、参加し、耳を傾ける警官を見て、皆さんが会話の重要な一部で、変化には、全員の参加が必要なので私は勇気づけられた。」

 百万人のイラク人を殺した「思いやりある保守主義者」ジョージ・W・ブッシュも、抗議行動について、しゃしゃり出て、「同情と共通の献身と大胆な行動と公正に根ざす平和」のため感情をこめて訴え、ツイッター界全体でリベラル派に恍惚の発作をもたらす意見を述べた。

どんな状況下でも、ジョージ・W・ブッシュを尊敬してはならない
  - Gabriella Paiella (@GMPaiella) 2020年6月2日

 想像上のアメリカ党派分裂両派の支配層言説管理者は、マスコミを、二人の前大統領と彼らの癒やしと団結についての素晴らしい言葉に対するほとばしる称賛で満たしており、言葉は非常に素敵だ。この言葉は全く何も変えないが、耳障りだけは良い。

 そしてそれこそが、まさにアメリカ大統領の本当の仕事なのだ。警察の暴力や組織的人種差別を終わらせることではなく、アメリカ人の役に立つ変化は起こさないこと、確実に、世界を、より暴力的でない殺人的でない場所にしないことでなく、実際に社会を動かしている社会病質的なオリガルヒが、彼らから金を強奪する間、大衆をプロパガンダで引き起こす楽しい昏睡へといざなう美辞麗句を言うのだ。

 こういうことは、「凶悪犯」を銃撃することについて不愉快なことをツイッターに投稿し、ツイッター社に検閲されても、実現するわけではない。州の意志に反して戒厳令を実施すると脅すことでは、実現しない。放火された教会の前で、逆さまの聖書を持ってポーズを取るために、軍隊を動員して抗議行動参加者を残忍に扱っても、実現しない。ジョージ・フロイドの兄弟に電話をかけて、無愛想に、無関心に、冷淡にしても、実現しない。まず、パンデミックへの対応を誤り、次に、感情を刺激する警察による殺人への対応を誤り、あなたが人々の声を聞いていて、心配していると思わせるよう、痛みを和らげたり、同情的なことを言ったりせずには実現されない。国の首都が燃えている写真が流通する環境を作ることでは、実現しない。

 そして、まさにそれが、支配層の特定分子が、なぜトランプ大統領が好きではないかという唯一無二の理由なのだ。

オバマ大統領「私は警察を再考するという目標を共有している警官たちに感謝したい。」pic.twitter.com/al3Jt5l6N3
- The Hill (@thehill) 2020年6月4日

 今のアメリカ大統領が推進している実に多くの悪質な支配層の狙いを私が指摘すると、トランプ支援者は常に私に「彼が支配層に奉仕しているのなら、一体なぜ支配層メディアや政治家がそれほどヒステリックに彼を攻撃するのだ?」と問うてくる。

 理由は、こうだ。一見、トランプに対して、民主党や、お仲間マスコミが、このような未曾有の辛らつな批判で金切り声を上げるのは奇妙に思われるかもしれないが、国内や外交政策に関して、トランプが何らかの本格的な形で支配層に抵抗しているから、彼らがそうしているわけではない。支配層の悪辣な狙いに対して、彼は何ら本格的抵抗をしていない。この大統領に対し、支配層の言説管理者が、このような激しい、ヒステリックな言説をする理由は、前任者と違って、トランプが帝国の醜い顔を見せるためだ。

 寡頭政治帝国の権益を推進することに人生を捧げている連中は、トランプを、まぬけで不器用な大統領職が、帝国がしている不快なことに注意を引きつけかねない無能なマネージャーと見ているのだ。例えば、アメリカ警察は、トランプが大統領になってから、一層残忍になったり、人種差別的になったりしたわけではなく、彼は、小作農が目を覚まして、反抗するのを阻止すべく、事件と言説をうまく管理できなっただけなのだ。

 支配層の言説管理者は、見え透いた形ではなく、どのように巧妙に、大衆の認識を操作すべきか分かっているし、帝国の無能な執事が、どれほど容易に彼らのプロパガンダ昏睡状態から人々を我に返らせられるかも理解している。それで彼らは、なりたての母親が騒々しい隣人が嫌いなのと同じ理由で、トランプを嫌っているのだ。彼らは赤ん坊を起こすのだ。彼らは、トランプが良いことをするから、彼を嫌いなわけではなく、彼が良くないことをするから、トランプが嫌いなわけでもない。トランプが、人々をハッとして目を覚まさせるという形で良くないことをしているので、彼らはトランプが嫌いなのだ。

 それが、これまで4年間、政治/メディア支配層が、それほど奇妙に振る舞ってきた本当の理由なのだ。トランプが帝国の忠実な従僕(彼はそうだ)でないからではなく、彼がロシア諜報工作員(彼はそうではない)だからではなく、彼が特別に下劣な大統領(彼はそうではない)だからではない。彼が、地球上に不規則に広がる殺人帝国の病んだ悪事の不条理な仕組みを国民に見せてしまうからだ。それ以上の何ものでもない。

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記事原文のurl:https://caitlinjohnstone.com/2020/06/04/the-establishment-only-dislikes-trump-because-he-puts-an-ugly-face-on-the-empire/

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 たしかに、宗主国の堕落のほどを露骨に示してくれる点で、彼は、稀有な大統領ではないだろうか。

 コロナ流行で、一つだけ良いことがあると思っていた。孫崎氏のメルマガに同意。見出しは下記。

コロナでプラスの動きは日本進出を計っていた米国、香港などの企業が経営悪化によって進出を断念していること。大阪では大阪・関西万博前の開業を断念していたが更に2026年前諦める。横浜では米国大手ラスベガス・サンズ断念。3月予定の政府基本方針も決まらず。

 岩波書店の月刊誌『世界』7月号を購入。

 いつもの通り、最初に「メディア批評」を拝読。
 (1)バンデミックの第二波が来る前に
 (2)黒川検事長スキャンダルが見せた闇。

 ところで漢字変換で、犬次長と出た。驚くべき予知能力?Go Toキャンペーン-強盗キャンペーンは100%正しい。

 メディア批評記事は、下記のWeb論座の2月29日記事に触れている。

追い詰められる医療現場 新型コロナ治療最前線医師に聞く、医療崩壊を防ぐポイント
国立国際医療研究センターの大曲貴夫・国際感染症センター長に聞く

 この人物、

小池都知事のブレーンとしてPCR検査にブレーキをかけていた。

 と世界の「メディア批評」記事にある。

 Web論座 2月29日記事「追い詰められる医療現場 新型コロナ治療最前線医師に聞く、医療崩壊を防ぐポイント 国立国際医療研究センターの大曲貴夫・国際感染症センター長に聞く」の冒頭を読んでみた。はっきりこう明言している。

見た目は軽症ですが、喉を調べてみるとウイルスが結構多い人がいます。ということは、見た目では軽いものの医学的な理屈からすれば十分他人にうつしうるということです。だから、4日間は自宅から外出せず、静養していて欲しいということなのです。これが学会の考え方ですし、政府も採り入れてくれています。

 こういう記述からして、加藤厚労相の「誤解」発言、どこをどう押せば出てくるのか、素人には理解不能。全文は有料会員にならなければ読めないので、全文は読めていない。

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