中国との衝突航路に艦船を航行させるワシントン
Finian Cunningham
2020年6月24日
Strategic Culture Foundation
今月時点で、中国に対する明確な脅威となるよう意図した太平洋哨戒のため、アメリカは同時に航空母艦を三隻配備している。各空母打撃群は、駆逐艦、航空機と潜水艦から構成されている。アメリカは総計11隻の航空母艦を保有している。
インド-太平洋軍司令部の作戦部長ステファン・ケーラー海軍少将は、この異様な配備について、こう述べたと引用されている。「航空母艦と空母打撃群はアメリカ海軍戦力の目を見張るような象徴だ。私は現在空母打撃群が三つあることにわくわくしている。」
戦略国際問題研究所CSISのChina Power Project部長ボニー・グレイザーは、この作戦が、北京にとって、ある種プロパガンダ・クーデターだったと示唆しながら、挑発的だったことを認めた。彼女はこう述べた。「中国は、これをアメリカ挑発の例として、アメリカが、この地域で不安定の原因である証拠として描くのは確実だ。」
中国による「描写」などどうでもよい。ワシントンが太平洋で戦争行為と不安定さを増やしていることは明らかに事実だと思われる。
アメリカによる未曾有の軍事力の誇示は、ワシントンと北京間の政治的関係が、新冷戦に陥った時に行われているのだ。コロナウイルス流行を巡って、ドナルド・トランプ大統領は、中国に対し、新たな人種差別的な暴言で、支持基盤を強化している。最近オクラホマ州とアリゾナ州の集会で、大統領は中国から「クン・フルー」(格闘技カンフーと、インフルエンザを組み合わせた造語)「疫病」が来たと述べた。
一方、先週マイク・ポンペオ国務長官は、オンライン会議で、北京政府は、民主的な欧米諸国を脅かす「ならず者」だと述べた。ポンペオは、中国の「専制政治」に対し、アメリカと共に立ち上がるよう、ヨーロッパ同盟諸国に促した。
北京はポンペオが「根深い冷戦心理」で「政治ウイルス」を広めていると酷評した。
ワシントンの反中国ヒステリーは最高潮に達している。その一部は、アメリカの死亡者数が120,000人を上回り、減少する兆し皆無の、コロナウイルス対策を酷く誤ったため、トランプ政権は、中国に罪をかぶせることが必要なことかから生じている。これは世界の死者数のほぼ四分の一で、トランプが是が非でも日常業務の再開を要求しているので、今後数週間で増加し続ける可能性が高い、恐ろしい実績だ。
更に、長期的、根本的な戦略上の対立という傾向がある。アメリカ戦力に対する世界的標的として、焦点を明示的に中国に当て「アジア重視政策」に着手したのは、2011年、バラク・オバマ大統領下のことだった。
トランプ政権は、中国との対決という戦略上の狙いを遂行したに過ぎない。様々大統領が変われども、常に帝国主義政策が闇の国家の計画路線に置かれるアメリカ政治権力の構造的性格を示している。
トランプの激烈な性格が、アメリカ産業を「レイプした」と中国を非難し、あらゆる種類の他の不正行為とされるものに対する貿易戦争に関する彼のおはこで、反中国の動きをあおったのは確かだ。
それはコロナウイルス流行が、アメリカ経済大国の弱点と、トランプのいわゆる「アメリカを再び偉大な国にする」妄想を残酷に暴露する前だった。それで、アメリカの傲慢さが脱け殻だと暴露された「怒り」のため、身代わりにする見いださなければならなかったのだ。アメリカ帝国主義にとって既成のプロパガンダ標的、中国を強化するのだ。
中国に本拠を置く中国南海研究院の今週の研究が、トランプ政権は、これまでになく大規模な米軍を配備していると主張している。二期のオバマ政権中、アメリカ海軍は、係争中の南シナ海で「航行の自由」作戦を四回実行した。中国南海研究院によれば、トランプ下で、このような作戦の数は22回に達している。
だが、より不安なのは、2017年にトランプが就任して以来、アメリカと中国の軍司令部間の連絡が劇的に減少していることだ。
それは、南シナ海と台湾海峡周辺の中国を巡る米軍大規模増強によって、何らかの事件あるいは、侵犯と見なされるものが手に負えない状況に陥る本格的リスクがあることを意味している。(カリフォルニアやバージニアへの中国海軍による同等の増強はまだ目にしていない。)アメリカと中国の軍艦は既に危険なニアミスに出くわしている。だが現状を一層危険にするのは、両国の軍間連絡の真空に加えて、トランプ政権が意図的に悪化させている北京との好ましからぬ緊張だ。習近平中国国家主席に対するトランプの過去の親しげな言葉にもかかわらず、両国の信頼感はどん底だ。
ワシントンは、中国が法的に「世界経済を崩壊させる」のに責任があるとほのめかしているだけではない。トランプ政権は、中国と欧州連合に経済関係を減少させるよう要求している。中国の通信技術が、アメリカの国家安全保障のリスクだという主張から、中国がEU中のインフラ計画に投資しているので、ヨーロッパの国家主権を損なっているということまで、あらゆる種類の中傷が北京に投げつけられている。
EUは中国の最大貿易相手国なのだから、ワシントンによるこのような要求は北京の重要な世界的利害関係に対する直接の攻撃だ。
中国に向けてアメリカ艦隊を航行させるのは決して孤立した作戦ではない。極めて挑発的なものだ。明らかに「政治」「経済」から軍事に及ぶ敵意の構図だ。ゼロサム心理が戦争の前兆である崩壊しつつある帝国による典型的な帝国主義の攻撃作戦だ。
個々の寄稿者の意見は必ずしもStrategic Culture Foundationのものを意味しない。
Finian Cunninghamは主要報道機関の元編集者・記者。国際問題について多く書いており、記事は複数言語で刊行されている。
記事原文のurl:https://www.strategic-culture.org/news/2020/06/24/washington-sailing-on-collision-course-with-china/
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狂気の晋裸万障
LITERA
安倍政権がイージス・アショア停止を利用して「敵基地攻撃能力」保有を主張するペテン! 安倍首相も「先に攻撃したほうが圧倒的有利」
今日の孫崎氏のメルマガにびっくり。全く知らなかった話題。
『朝鮮戦争の正体』(7月1日発売?)ピカソが朝鮮戦争の絵を描いたの御存じですか。ゴヤの「1808年5月3日」、マネ『皇帝マキシミリアンの処刑』的。戦争のゲルニカは代表作。「朝鮮の虐殺」は米軍の虐殺に触発された絵とされてる。知られないようにしたのです。
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