医療の人質化:人工呼吸器問題の起源
2020年5月2日
Tony Cartalucci
New Eastern Outlook
大企業が、いかに安価な人工呼吸器が市場に出るのを阻止し、10年以上、国を不足の被害を受けやすい状態に放置したか。
コロナウイルス病2019(Covid-19)が見出しを独占し始めた際には、個人保護具(PPE)や人工呼吸器を含む重要な医療機器不足の可能性という不安が伴っていた。
ロシアなどの国は、使える人工呼吸器の膨大な備蓄を持っていた。それを海外の欠乏の危険がある国々に送ることが可能なほど多く。
そうした国々の一つには、アメリカ合州国も含まれる。
「トランプ-プーチン電話会話後、コロナウイルス用医療器具を積んだロシア飛行機がアメリカに着陸」という題のロイター記事は、こう認めている(強調は筆者)。
二人のリーダーの電話後、アメリカは、人工呼吸器や個人保護装置具を含む必要な医療用品をロシアから「購入することに同意し」それらが水曜日、ニューヨーク市の連邦緊急事態管理庁に渡されたと国務省は述べた。
ロシアの対応は、実に寛大で立派だったが、本当の疑問は次のことだった。それは、そもそも、なぜ必要だったのか?
アメリカの人工呼吸器不足:10年以上知られていた
アメリカの人工呼吸器不足は、Covid-19が広まる速度に不意打ちをくらった結果だったと、多くの人々が信じるかも知れないが、真実は、アメリカの不足は、少なくとも10年間知られていたのだ。
2010年のMITの学生プロジェクトが、安い、容易に生産できる、携帯人工呼吸器を、不足に対処すべく設計し始めるはずだった。「低コストの機械式ポータブル人工呼吸器の設計とプロトタイピング」という題名のプロジェクト論文が指摘していた。
通常の用途に十分な人工呼吸器があるが、インフルエンザ流行や自然災害や大規模な有毒化学物質放出のような多数の被害者の場合のためには準備が不足している。先進国では、大量被害者状況のために、最新技術の人工呼吸器の備蓄や配備の経費は、ひどく高い。2005年11月にブッシュ大統領が発令した国の準備計画によれば、アメリカは最悪の世界的流行のために、約742,500の人工呼吸器を必要とするだろう。現在使用中の100,000台と比較すれば、システムが不足しているのは明確だ。
ニューヨーク・タイムズが「アメリカは新しい人工呼吸器の備蓄を作ろうとした。活動は失敗」という題の記事で、アメリカでの人工呼吸器不足がどれほど長く、続いているかに注意を払って、報じていた。
13年前、アメリカ公衆衛生担当者のグループが、医療制度の重要な脆弱性の一つと見なすものに対処する計画を思いついた。人工呼吸器の不足だ。
呼吸支援装置は大型で高価で数が限定される傾向があった。この計画はインフルエンザ流行や別の問題に配備する安価な持ち運び可能な装置の大量備蓄を作ることだった。
NYT記事は、この計画がばらばらに壊れたと説明する。具体的には、安価で、持ち運び可能な人工呼吸器の備蓄を作るのを請け負った企業が、数十億ドルの医療機器製造企業に買収されたためだ。
会社名は、NYT記事の30段落に、やっと出てくる。Covidienだ。買収された後、Covidienは人工呼吸器開発に、より多くの金を要求しただけでなく、開発した製品に、より高い価格を要求した。彼らはプロジェクトに取り組んでいた担当者たちを配置転換し、事実上、取り組みを棚上げした。動機は単純だった。この企業は既に、より安い代替品の開発と配備により市場での立場が脅かされる、遥かに高価な人工呼吸器を売っていたのだ。
アメリカの課税を避けるため海外を本拠にするアメリカ企業で、自分たちが買収した企業が、そもそも埋めようとしていた不足を埋めるのを手伝うため、人工呼吸器の設計を公表すると訳の分からないことを言って最近見出しになった、メドトロニックMedtronicに、Covidienが買収されたと報じるのは、ずっと後の段落だ。
ここで明らかになっているのは、一企業ではなく、業界丸ごとの、組織的腐敗や、独占や不当利益や、人の健康維持という医療の本当の目的に対する無関心だ。
利益に駆動されるアメリカ企業による医療制度の乗っ取りが、容易に解決できたはずの人工呼吸器不足をもたらしたのみならず、ロシアのような、アメリカの想像上の「敵」に翻弄されるようにさせているのだ。
現在のワシントンのロシアに対する敵対的姿勢は、ロシアの実際の脅威ではなく、アメリカ覇権を永続させることに基づいており、アメリカ企業の強欲がアメリカ外交政策を駆動していることが、アメリカの目的と、モスクワに対する影響力に悪影響を及ぼしている事実が、アメリカの現在の権力構造が、いかにアメリカ自身の最悪の敵であるかを示すのに役立つ。
国家医療制度が貪欲な企業に乗っ取られており、平均的アメリカ人にとって、高過ぎて、手の届かない、しばしば効果的でもない薬品や医療機器のなすがままになっている問題は明白で喫緊だ。即座の問題を解決することはありそうもないが、最終的には既存の独占を置き換えるのに役立つかもしれない革新的な生態系をもたらすオープンソースの選択肢に、益々多くのアメリカ人が時間とエネルギーを投資している。
アメリカ覇権を支持する人々は、アメリカ覇権は明らかに持続不可能で、しばしば反生産的だという事実から、本格的な再考が要求されているはずだ。
アメリカの権益団体に標的を定められた外国諸国が、代替メディアを活用して、より安価で、より効果的な選択肢の認識を高めるのは、アメリカ医療の現在の状態が、許容できるものでも必然的なものでもないことをアメリカ人が理解するのを助け、これら略奪的な権益団体を弱体化させ、より正直で、生産的な業者に対する余地を作るのを助け、アメリカ人や、アメリカと世界の他の国々との関係にとって役に立つだろう。
Tony Cartalucciは、バンコクを本拠とする地政学研究者、著者。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。
記事原文のurl:https://journal-neo.org/2020/05/12/holding-healthcare-hostage-the-making-of-a-ventilator-crisis/
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ロシアでは、コロナ患者が入院している病院で、人工呼吸器からの火花で火事が起きて、数人亡くなったという。
日刊ゲンダイDIGITAL
LITERA
安倍応援団の攻撃に怯まない「#検察庁法改正に抗議します」の有名人たち…小泉今日子は「読んで、見て、考えた。その上で今日も呟く」
再処理工場、新規制基準に適合!適合させるための基準を作っただけのこと。どさくさまぎれ火事場泥棒の典型。トイレのないマンション増設を推進する馬鹿げた政策。再処理した後の使い道も、廃棄場所もないのに。原子力規制委員会は原子力寄生委員会。コロナ忖度御用専門家会議と一緒。コロナ忖度御用専門家会議、経済学者を加えるといっても、もともと腐敗し失敗した大本営宣伝部隊に、提灯持ち経済学者を加えても敗戦は変わらない。洗脳エセ情報を生み出す連中が増えるだけ。
日刊IWJガイド
原子力規制委員会は13日の定例会見で、日本原燃株式会社再処理事業所(いわゆる六ヶ所再処理工場)を新規制基準に「適合」していると判断する審査書案を了承したと発表しました。
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