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2020年5月 3日 (日)

金正恩に何が起きているのか?

2020年4月28日
コンスタンチン・アスモロフ
New Eastern Outlook

 最近我々は、2020年4月11日の朝鮮労働党の共産党政治局中央委員会会議と、太陽節の質素な祝典について報じた。以来、金正恩は人前に出ていない。4月15日、金日成誕生108周年記念日を祝うための太錦繍山太陽宮殿への年次訪問さえ省略し、ある種のうわさを呼び起こした。彼が2012年、権力の座について以来、初めて欠席した重要な祭日だった。

 2020年4月20日、報道機関CNNが、朝鮮民主主義人民共和国指導者の金正恩が「直接情報を得ている、あるアメリカ幹部によれば、外科手術後、重大な危機にある可能性がある」と報じた。

 韓国のオンライン新聞デイリーNKが、金正恩が4月12日の心臓手術後、香山の別荘で医者の治療を受けており、彼の状態が安定し、医師団の大部分が平壌に戻ったと報じた。このメディアへの情報提供者は、金が「肥満や大量喫煙の習慣や過労を含む多くの要因」のため手術を受けなければならなかったとも推測した。

 CNNも、報道を「独自に確認することはできなかった」と書いていた。「国家安全保障会議と国家情報長官事務所は、金正恩の健康についてコメントするのを拒否した。更に、CNNは「コメントを得ようと、CIAと国務省に連絡を取った」。匿名アメリカ当局者は、CNNに金の健康についての懸念は「信用できるが、深刻さの評価は困難だ」と述べた。

 この記事で言及された別の情報源は、この話の信憑性を疑った。ヘリテイジ財団上席研究員で元CIA北朝鮮課の課長補佐ブルース・クリングナーが、最近「金の健康に関する多くのうわさがあり」、もし北朝鮮の指導者が本当に入院していたら、それは彼がなぜ「重要な4月15日の祝典」に出席しなかったかの説明になると述べた。「だが、長年、金正恩や彼の父親の健康については、多くの間違ったうわさがあった。我々は様子を見なければならない」と彼は付け加えた。延世大学校国際研究所のジョン・デルリー教授も、これに関しては、間違っていることは容易にあり得ると考えている。

 それにもかかわらず、この一片のニュースは世界中に広がり、一部タブロイド紙が、アメリカが北朝鮮指導者が「昏睡状態にある」という情報を監視していると報じさえした。4月21日、朝鮮中央通信社が、朝鮮民主主義人民共和国国務委員会委員長が、キューバ大統領ミゲル・マリオ・ディアス-カネル・ベルムーデスの60歳誕生日を祝い、4月22日に、金正恩が、金日成誕生日に祝辞を送ったシリア大統領バッシャール・アル・アサドに答えたと報じたが、平壌における危機や、権限委譲の複雑さや、来たる民主革命を「専門家たち」が議論するのを止めることはできなかった。

 MSNBCのジャーナリストは、金正恩が脳死状態だとTwitterで書いた。小生の何人かの知人によれば、金正恩が危篤状態で、体が不自由だが、それでも生きているという、多くのうわさが、ソウルに広がっている。北朝鮮指導者が、追放されたか、コロナウイルスに感染したと信じている人々もいる。

 一方、アメリカや韓国や中国の当局は、憶測のいずれも確認しておらず、うわさは承知しており、真実を見出そうと試みていると述べている。4月21日、金正恩の健康に関する多くの声明がなされた。

 ドナルド・トランプ大統領が、アメリカは「朝鮮指導者金正恩の状態を知らない」と述べた。彼は、金の幸運を祈ると述べ、金が重大な危機にあると報じた最初の記事の一つであるCNNの「信頼性を疑ってた」。

 フォックスニュースのインタビューで、ロバート・オブライエン国家安全保障担当補佐官は、トランプ政権が北朝鮮指導者金正恩の健康に関する報道に「注目している」と述べた。彼はコロナウイルス流行中も、諜報機関は、外部の脅威を注視していることを国民に保証した。彼は、アメリカには、ドナルド・トランプ大統領、マイク・ペンス副大統領、マイク・ポンペオ国務長官、マーク・エスパー国防長官や、統合参謀本部議長マーク・ミリー大将を含め、政府高官たちが関与する「大きな諜報界」があると述べた。

 ジョン・E・ハイテン統合参謀本部副議長は、金正恩の現在の健康状態について追加情報はないと指摘した。「私は確認するべき何も持っているか、あるいはそれらのラインに沿って何も否認しない、それで私は金正恩は依然、朝鮮の核戦力と朝鮮軍を完全支配していると想定している。私にはそう思わない理由がない」と彼は付け加えた。

 中華人民共和国外交部報道局副局長の耿爽(コウ・ソウ)は、金正恩の健康について「政府は報道を承知している」と述べたが、情報源を知らないとし、問題について更にコメントすることを拒否した。北朝鮮に対応している中国共産党中央対外連絡部の官僚が「金が外科手術後に重大な危機の中にあると示唆する報道に異議を述べた」。

 4月21日、青瓦台報道官コ・ミンチョンが、金委員長の健康上の問題とされるものを確認できるような北朝鮮内の「異常な兆候」は見られないと述べた。

 自由韓国党議員で国会外交統一委員会の尹相現(ユン・サンヒョン)委員長が、北朝鮮指導者が「心臓血管の外科手術」を受けたように思われると述べた。彼は情報が政府筋からではなく、「北朝鮮問題で精通した人々」から来たのを明らかにした。

 NKニュースが、情報提供者の多くによれば、平壌での生活は通常通り続いていると報じた。

 4月22日、読売新聞は記事で、火に油を注ぐと決めた。新聞は「韓国とアメリカと日本の情報源を引用して」「昨年末、労働党は、予測できない状況や死亡のために、兄が支配できなくなった場合、金与正に全ての権威」を集中すると「決定した」と報じた。記事は、その時以来「多くの指示や声明」が彼女の名前で出されているとも述べていた。

 結果的に、更に多くのうわさが渦を巻き始めたが、この記事の筆者は、情報源を検討して、朝鮮民主主義人民共和国に関するどんなセンセーショナルなニュースでも分析するのに慣れている。CNNによれば、情報提供者の一人は、北朝鮮状況を「直接知っているアメリカ当局者」だ。このような場合の三分の二は、ニュースは著者によって意図的に漏らされたか、でっちあげられたかだ。

 二番目の情報源、デイリーNKは、その報道が「情報提供者のネットワーク経由で、北朝鮮内部から入手した話題とされるもの」に基づく、実に注目すべき韓国オンライン新聞だ。当然、彼らの命を危険にさらすので、彼らの名は、いずれも記事で使われることがない。それ故、ニュース記事の大半に、以下の文言に類似した記述がある。「慈江道の匿名情報提供者によれば、平壌の身体障害のある子供たち全員、その年五回目に粛清された」。止まった時計でさえ、一日に二回は正しいが、全般的に見て、このマスコミが公表する報道内容のかなりの部分が紛らわしい。

 そして読売新聞の記事は問題を提起する。「朝鮮民主主義人民共和国と争っている国のマスコミが、一体どのようにして、理論上、エリート集団だけが気が付くよう情報を入手できるのだろう?」北朝鮮指導者の妹の役割が重要性を増すにつれ、この新聞の一部のスタッフが、このような変更には理由があると結論して、報道で、匿名情報提供者を引用したに違いないと想定するほうが、ずっと合理的だ。

 興味深いことに、金正恩が健康問題のため、ひどく能力を損なったといううわさは、年頭、主に反北朝鮮プロパガンダを積極的にしている人々の間で広まり始めた。

 「2020年2月11日と2月14日の信ぴょう性を確認できないビデオの主張は、金が心臓病を患っていて、一月初旬、中国で手術を受けたが失敗した。」その結果「世界的に有名な心臓病専門医二人が、フランスから招かれ、2月10日、自家用ジェット機で平壌に到着した」。だが、NKニュースは「報告を確認することはできず、当日、衛星画像で平壌順安国際空港に到着した自家用ジェット機の証拠は発見できなかった。」

 NKニュースは、4月18日「外科手術が失敗した後、金正恩が脳死状態なのを示唆するうわさがソウルを巡っている」と書いた。実際、2014年に、つえをついて、国営メディアに再登場する前、金正恩が「40日間姿を消して」いた際、韓国メディアをかけ巡った前述の話の文の多くが「類似のうわさから表現を再利用していた」。韓国諜報局が後に彼が「足首から嚢胞を取り除く処置の外科手術」を受けていたと言った。他の情報源は、北朝鮮指導者が軍事基地を「訪問した後」足首に怪我をしたと主張していた。

 それ故、結局、唯一残った我々の手がかりは、4月15日の催しでの金正恩欠席だ。健康が理由で、祝典を欠席した可能性があり得るだろうか? 理論上、答えはイエスだ。結局、金正恩はひどくたばこを吸い、肥満している。加えて、彼の父親も祖父もこの病気で苦しんだように、彼の家族には糖尿病の長い歴史があるのだ。そのうえ北朝鮮指導者は大いに働くので、山への定期的旅行さえ彼の健康を損なうかもしれない。だが、心臓の問題や、どうやら回復しつつあるように見える心臓発作は「脳死状態」とは違う。金正恩が送った祝賀メッセージが彼が国政を普通に行っているのを示している。

 たとえ我々が最悪を想定するにせよ、例えば、2011年、北朝鮮指導者死亡についての発表は、彼が死亡した二日後、12月19日におこなわれた。このような期間は既に過ぎており、匿名情報源以外に、彼が昏睡状態にあるという確認がないのだから、我々はこの話題は作り話だと想定できる。

 コンスタンチン・アスモロフは歴史学博士、ロシア科学アカデミー極東研究所朝鮮研究センター主任研究員。オンライン誌“New Eastern Outlook”独占記事

記事原文のurl:https://journal-neo.org/2020/04/28/what-s-going-on-with-kim-jong-un/

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 数日前、偶然、死亡説を怪説する大学教授のyoutubeをみたばかり。風評をまいた責任で辞職するのだろうか。

 バリバラ桜を見る会再放送をみた。NHKにも、まともな方々がおられるのだ。コロナで自国民を殺しながら、憲法破壊で、外国人の方々を殺戮したがる狂人集団のひどさを、5月3日に思う。大本営広報部、右翼売国ファシストの本当の狙いである「緊急事態条項」に忖度しているのか、それともファシストのお仲間なのか、「緊急事態条項」の危うさを本気で特集しない。忖度しているお仲間なのだろう。

 講談社学術文庫『世界大恐慌』を読んでいる。原本は1999年刊。文庫化は2009年。驚いたのは、第8刷が、2020年4月2日。版元も、大恐慌到来を予想しているのだろう。
 本の最後にある言葉が強烈。現実と全く離れた世界、夢物語。

国際協調により、さまざまな恐慌対策を効果的に打たなくてはならないが、そのためには連邦準備理事会議長や、アメリカ財務長官、欧州中央銀行(ECB)総裁などと十分にわたりあってわが国の利害を主張できる、ビジョンと学識を持った日銀総裁や財務長官が日本には必要である。

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