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2020年5月15日 (金)

アメリカの不幸をさらすパンデミック

2020年5月8日
ウラジーミル・オディンツォフ
New Eastern Outlook

 コロナウイルス流行は、既に、あらゆる国々に打撃を与えている。多くの国々が直面する主要問題の一つは、出現した脅威に対処する能力が政治エリートに欠如していることだった。その結果、世界的なCovid-19流行が始まった日から、多くの人々が亡くなった。国家経済は破滅した。共通の脅威に直面して、団結への信頼が消滅し、最近まで強力な経済や金融部門があった国々でさえ、国民が貧窮化したり、飢えたりする可能性が差し迫っているように見える。多くの企業が閉鎖しただけでなく倒産し、大量失業をもたらした。

 それゆえ、このような状況で、最近多くの国々や人々が、この困難な時期に少なくとも多少の支援と、何をすべきかについて、世界的強国から多少の助言を得ようと願って(自身を「世界の指導者、世界の安全保障の保証人」と称している国)アメリカを当てにしたのは驚くべきことではない。

 だが、ホワイトハウスは、またもや、アメリカがファーストであることを世界に示して、他の国々からマスクや他の医療機器を大慌てで奪い始めた。ワシントンは、Covid-19流行に対する団結した戦いを率いるどころか、中国やWHOに根拠がない非難を浴びせ、流行発生を彼らのせいにして、政治問題化し始めたのだ。

 「世界の指導者」によるこのような未曾有の行動は、この流行ゆえ、アメリカに降りかかった、あらゆる不幸だけのせいにするわけにはゆかない。結局こうした問題の多くは元々存在していたのだが、アメリカ指導部は、国民の注意を、そこから意図的に逸らし、アメリカを偉大にすることではなく、何よりもまず自分たちを豊かにすることに注力したのだ。

 4月19日、アメリカ・マスコミに掲載された、フィラデルフィアで「地元病院から検死局行き」トラックの荷台で運ばれる七人の遺体写真が、アメリカで亡くなった庶民を扱う、あからさまに失礼な様子で衝撃を呼び起こした。だが自身は高価な家や高級医療センターの壁の背後に隠れているアメリカ指導部が、アメリカ医療制度の状態や、平均的アメリカ人が暮らす状態を知らないことがあり得るだろうか?

 ニューヨーク・タイムズのようなアメリカ・マスコミが、コロナウイルス流行が、またしても、(世紀丸ごとではないにせよ)何十年間も、この国を悩ませているアメリカ社会の長年続く構造的不平等を浮き彫りにしたと指摘した。英国放送協会(BBC)も、いまだに存在している、アメリカにおける人種による貧富の差を非難した。BBC報道は、利用可能な統計に基づいて、コロナウイルスに感染した、あるいはCovid-19のために死んだアフリカ系アメリカ人の数が、白人アメリカ人の対応する数字より、不釣り合いに高いことを強調した。フォックス・ニュースによれば、どうやら民主党が「人種的分裂をかき立てるアイデンティティ政治のような、全く無関係な政治的優先順位」で議会を「いっぱいにして」いるので、アメリカ議会は、コロナウイルス議案を通過させるのに苦闘している。例えば、民主党の法案は、コロナウイルス支援金を得た全ての企業が「最低五年間、多様性と包摂条項専門の担当者と予算をもうけるよう」要求している。CBSとロサンゼルス・タイムズは、加害者たちが、コロナウイルス蔓延はアジア人のせいだといううわさを信じて、アジア人襲撃や、いやがらせや、ヘイトクライムに関する報道が増加した事実を書いた。

 ビジネス・インサイダーによれば、何千人ものアメリカ人が、Covid-19流行のために仕事を失い、結果として、困窮者に食糧を提供する慈善団体が増大する圧力に直面している。そうした団体、サンアントニオ・フード・バンクのCEOエリック・クーパーが、食糧のための、これほど長蛇の列は見たことがないと述べた。最近、記録的な一万台もの自動車が彼の組織の緊急食糧支援を何時間も待った。そうした支援組織の団体フイーディング・アメリカは、更に1710万人の人々がアメリカで食料不足を経験すると推測している。

 Covid-19流行は元来多くの専門家が予想するより遥かに大きく、ずっと広範囲に、アメリカ経済に影響を与えている。コロナウイルス発生はアメリカ経済にとって、本物の「ストレステスト」になった。実際、ホワイトハウス経済顧問ケビン・ハセットは、アメリカの失業率は(90年前の)大恐慌レベルに達し得ると公式に認めた。

 2020年第一四半期のアメリカGDPの4.8%減少は、来るべき最悪の予兆にすぎない。見たところではナビゲータ・プリンシパル・インベスターズ(投資顧問会社)の社長カイル・ショスタクは、今年第二四半期、減少は、ほぼ10倍になり得ると述べた。

 最近、アメリカ政府債務が最高記録に達し、過剰債務に陥るリスクが高まるので、ドルに依存する国々は既にパニックを起こしており、これは世界経済に大規模な打撃を与えるだろう。「休みなしに」米ドルを印刷する能力は、どうやら、アメリカの切り札になったようだ。アメリカは資金を余分に必要とする時は常に、益々多くのお冊を発行し始めるが、インフレーションを招きかねない。中国のインターネット・サービス企業、捜狐(そうふ)の専門家が、アメリカが、お金を「印刷し」続ければ、米ドルは年末までに崩壊するかもしれないという意見を述べた。彼らは、もしより多くの国々がこれを理解し、ドルを見捨て始めれば、アメリカ通貨の世界経済に対する影響は弱まるだろうと述べた。

 CNNによれば、4月22日「ミッチ・マコーネル上院多数党院内総務は「「コロナウイルス発生後、国や地方自治体に対するより多く財政的支援に反対する」強硬路線をとった。ヒュー・ヒューイット・アソシエイツとのラジオインタビューで彼は述べた。「州が破産ルートを使えるようにすることに私は確かに賛成だ」。

 トランプ政権は、事実上無制限の金融ツールを使って、アメリカ経済を救うための本格的措置を必要としているが、現段階では、手に負えない官僚のおかげで、不十分で、大幅に遅れているように思われ、これらの措置は、実際は、大統領選挙運動の戦略要素へと変わっている。

 それゆえ、現時点で、ワシントンが「アメリカ・ファースト!」政策を推進し、いつも、そうしているように、他の国々を自身の目標達成のために利用し始めなければ、アメリカの状況が良くなると期待するのは非現実的だろう。実際、4月29日、マイク・ポンペオ国務長官記者会見の際、ホワイトハウスは、よりきつい調子を使った。彼は現在の危機の中、いかなる国や個人が、もう不当にアメリカ人を拘留し、彼らが感染して死ねば、アメリカは、彼らの死に、該当政府は完全に責任があると考えると述べたのだ。

 ウラジーミル・オディンツォフは政治学者。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。

記事原文のurl:https://journal-neo.org/2020/05/08/pandemic-exposes-usa-s-misfortunes/

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 100歳の誕生日にコロナ感染後に無事退院されるロシアのおばあさまのニュースをみた。早期に対処したことが良かったようだ。

 先日、偶然、北朝鮮指導者死亡説を得々と語る大学教授のyoutubeを見て、てっきり本当かと思いこんだ恥ずかしい経験がある。知人にまで、ご紹介してしまった。「韓国の文大統領は北の傀儡」というような趣旨の著書がある教授なので、おかしいとは思ったのだが。不思議に思って検索してみると、その教授が執筆している雑誌の号が出てきた。同じ号の執筆者を見て納得。コロナで最近亡くなった外交評論家と売り出し中の若手女性外交評論家の対談があった。スシロウの女性版のような元官僚女性の対談もあった。昼のバラエティ番組で体制擁護発言をする不思議な人物と思っていた。結局、全員同じ雑誌のお仲間。その雑誌、購入した記憶はなく、書店でみかけても表紙も見ないので諸氏の出身母体全く知らなかった。

 LITERA

検察庁法改正案が抗議の声を無視し強行採決へ! 安倍首相は会見で「黒川さんの人事はまだ決めてない」と国民を舐めきった嘘八百

三浦瑠麗の〈#検察庁法改正案に抗議します〉攻撃の恥ずかしすぎる間違いとスリカエ詐術を徹底検証! 不勉強なのは安倍応援団のほうだ

 幻冬舎文庫『隠されたパンデミック』『H5N1 強毒性新型インフルエンザウイルス日本上陸のシナリオ』を拝読して、ずっと昔に的確なシミュレーションをしておられたことに驚嘆。新刊岩波ブックレット『どうする!? 新型コロナ』も購入したばかり。忖度専門家会議の先生方、このような研究をしておられたのだろうか?寡聞にして知らない。

 小松左京の『復活の日』は壮大なSF。高嶋哲夫『首都感染』も、現実とはまったく反対の実に素晴らしい首相と厚生大臣が大活躍する姿に、うらやましくなるお話。

 ウイルスとワクチンという話題の小説では『ナニワ・モンスター』『スカラムーシュ・ムーン』が最も衝撃的。『スカラムーシュ・ムーン』で一番納得した「厚生労働破壊省の正確な描写」と読める部分をコピーさせていただこう。

「人というのは間違える生き物です。気づいた時に正さなければ間違いは増幅される。でも官僚は先輩の誤りを矯正できない。結果官僚組織はシステムエラーを拡大再生産してしまう。そんな官僚が導く日本が衰退するのは当然です。官僚は度量が小さく、自分を凌駕する人物を登用できず、七掛けの人物を後継者にします。七掛けが二代続け0.7×0.7=0.49で能力は半減します。こうして戦後の官僚組織は矮小化し能力が二代で半減する一方、欲望は倍々で肥大する。そんな官僚が自らのプライドを守るため躍起になる姿が露わになるのが今冬なのです」

 ウイルスと戦うという話題もさることながら、医療関係の世界、検察、警察内部の激しい暗躍の描写に驚く。弱みを握られ、あやつられる検事総長まで出てくるのにビックリ。余りに衝撃的な予言。もっと驚くのは、巨大書店で、紙の文庫の在庫がないこと。入荷未定とある。巣籠もりを強いられている今、これほど、うってつけな小説はないと思うのだが。当面、Kindle版で我慢するしかないようだ。

【自著を語る】『スカラムーシュ・ムーン』を書き終えて

デイリー新潮のニュース記事があるが、なぜか『ナニワ・モンスター』を取り上げながら『スカラムーシュ・ムーン』について、ほとんど触れない不思議。舞台がナニワで、医療とカジノ立国を目指すという設定が愉快。ギャンブル依存症専門医療だろう。この党派の行方が的確。コロナ不況でサンズがカジノ進出を当面あきらめたのは、とりあえず朗報だが。

【新型コロナ】チーム・バチスタの著者が10年前に予見した「パンデミックの現状」が話題

 

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コメント

米国は米国で、米国人から見たら何かと不満たらたらだろうな、と頷ける。
けれども、その不甲斐ない大統領でさえ、日本のトップのカスぶりに比べれば全くマシなレベルなのだ。

少なくともトランプ政治は、私が知る限りにおいては利権政治ではない。
カジノ王から選挙資金を出してもらっているからカジノ利権くらいはあるのかと思いきや、あっさり日本進出を断念してもトランプからは未練がましいコメントが無いところを見ると、利権は無いようだ。
つーか、利権に拘る人物ならば、年俸1ドルで務める訳がない。

とは言え、トランプ氏も傀儡官僚には翻弄されているとは、何処の国も似たり寄ったりなのだなぁ、と感じる。
あぁそうか、組織というのは序列があり、常に自分のポジションを維持しようとする人物がトップに居座るから腐るのだなぁ。
その上、これは社会全体についても当て嵌まる事なのだが、より影響力の大きい者や、権力を持っている者、カネのある大きな存在の誘導に従ってしまうという習性が、特に日本人には強いから尚更だ。
だから、そうした影響力の大きい存在が発した言葉や行動を「正しい事」と認識してしまい、まして自分の頭で物事を考える能力に乏しい日本人などは、そうした大きな存在が発した行動が民族滅亡を招くものであったとしても、途中で修正できないし、また、「修正するべきだ」との言動を発する者が居たとしても、どちらの言動が正しいのか判断ができない為、迷ってしまい、無関心を決め込む事で、どちらに軍配が上がろうが自らに責任が及ばない様にと考えるのである。
それが「事なかれ主義」というものだ。

そうした自らの無知、白雉からくる臆病な行動が、利権なしでは成り立たない程に利権まみれの安倍政治を生み出しているとも言えるだろう。
つまり、安倍政治とは、一言で言えば利権政治なのである。
何をするにも利権が絡んでいると疑って見れば、その本質に気づくだろう。
今般covid禍に対する施策などを見ても、利権が優先されていて、安倍一味にとって旨みの無い対応策などは、民衆が大騒ぎしてマスコミが嫌々ながらも取り上げたものだけを嫌々ながらも実施するといった具合だ。
或いは、政権維持や時期選挙に有利であると判断しての事だろう。

ロシアのプーチン大統領が罹患して隔離療養中とか、あぁ、それが安倍だったならなぁ、とつくづく思う。
プーチン氏の回復を祈っている。

話は変わって、某ネトウヨ雑誌に執筆しいる人物の大半は安倍友だから、奴らの流す情報は、攪乱などの目的であったり、或いはネトウヨ読者の気を引く為だったりするから出来るだけ無視するように心がけている。

この動画の藤井教授もネトウヨ雑誌に寄稿していた人物であり、安倍のブレーンだった人物との事。
しかし、最近ようやく安倍に愛想を尽かしたと見えて、ブレが無くなったなと感じる。
三橋貴明のような三枚舌ではないから一定の評価はしている。
だけど、もはや手遅れだろう。

それでも今般、検察庁法改悪について一時的なれども民衆が政治に関心を寄せた様に、こうしたウネリを何度も繰り返し、僅かづつでも民衆の意識を変化させていけば、何処かの時点で救いの道に辿り着けるかもしれない。

この日本という国が滅亡したら、世界全体も滅亡するという事を、強欲なグローバリストたちも理解すべきだ。
なぜなら、福一原発は半永久的に誰かが管理し続けなければならないからだ。

汚染水の貯水タンクが増殖限界に達したとの事で、トリチウムだけは除去できないまま海洋投棄するという。
一応、パブコメには反対意見としたものの、無理だろう事は判っている。

本来ならば、原発問題だけでも深刻な事態なのに、安倍政府の横暴ぶりには、対処する術無く、ただ嘆くばかりなり。


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