トランプが中国に罪をなすりつけている理由
Finian Cunningham
2020年4月17日
スプートニク
今週トランプ大統領は、中国当局によるCovid-19犠牲者数は誰も信じないと言った。トランプは、マイク・ポンペオ国務長官とともに、病気の規模を隠蔽したかどで北京を非難した。
ホワイトハウスも、ほぼ同時に、世界的流行の危険に関して他の国々をだます上で中国と共謀したと言って、世界保健機構WHOを非難した。おそらく彼の主張の正しさを証明するため、トランプは、アメリカのWHOへの資金拠出を停止した。
中国は、流行勃発について、早期に世界に警告したと言って、中国が隠蔽したという主張をはねつけた。
中国のデータに対するトランプの懐疑心の一部は、中国の感染症例と比較的少ない死者数から生じているように思われる。今週、死者は4,000人以上に達したが、中国の感染症例は約82,000件だった。それは12月に新しいコロナウイルスの病気が勃発した武漢市に関し、以前のデータを上方修正した後だ。死亡率情報が集められるにつれ、このような修正は、あらゆる国による通常の慣習だと北京は言う。例えば、イギリスでは、高齢者介護施設での死者を数えそこねているために、これまでのところ死者数が大いに過小評価されているように思われる。誰か、イギリス政府を、隠蔽のかどで告発しているだろうか?
いずれにせよ、ドナルドや他の欧米指導者を悩ませているように思われるのは、彼ら自身のものと比較して、中国のパンデミックの数値が、どうして低いかだ。
今週、アメリカで、このグローバル・カウンターによれば、感染症例と死亡者数は、700,000と34,000人以上だ。それは中国の数値より遥かに大きい。イタリアやスペイン、フランスやイギリスの死者率も、中国が報告しているものよりも遥かに多い。
この莫大な差異が、隠蔽、あるいは、少なくとも完全には報告していない証拠だと、欧米政治家に、中国を非難するよう仕向けたのだ。なぜなら、途方もなく食い違う数字を検討すれば、西側諸国が、公衆衛生の危機への対処で、とんでもない失敗をしたように見えるからだ。急増する死者数は、公共医療サービスの途方もない不手際と、怠慢を示す(その通りだ)。その場合、欧米指導者の途方もない無能力を隠すため、身代わりを見いだすことが、政治的に好都合で、実際必須なのだ。皮肉にも、隠蔽しているのは中国ではない。欧米と彼らの犯罪的に無能な政府と、連中の奴隷のような、資本主義優先事項の厳守だ。国民より、私益。
Covid-19危機への対処の上で、その愚かさが最も極端に暴露されているのは、アメリカとトランプ大統領だ。アメリカ社会を破壊している流行は、はるか以前、一月末に、中国とWHO両方が、はっきり公衆衛生の危機を警告した後、何週間も示された、トランプの無神経な油断のせいなのだ。
アメリカの危機は、財政破たんの瀬戸際にあるアメリカ労働者の危険なほど不安定な状態と、人間のニーズより企業収益を優先する、資金不足の薄汚い医療制度のせいだ。
イギリスや多くの他の欧米諸国も同様だ。Covid-19流行が、国民の健康を守る上での彼らのあらゆる慢性の欠点を暴露したのが事実なのだ。それが、欧米の犯人連中が、適切な準備をできないよう彼らをだましたと称して、中国を非難するのが喫緊な理由だ。
中国のCovid-19数値は当てにならないという欧米の推論は、韓国のデータで否定される。韓国は、伝染病に対して、最初に警戒態勢に入った中国以外の国の一つだった。影響を比較的小さくできたのは、韓国政府による、早い迅速な行動だった。106,000件の感染症例のうち、約230人の韓国人が亡くなった。これを、感染件数が今週時点で、ほぼ類似だが、死亡者数、14,000人以上と、二桁大きいイギリスと比較願いたい。
Covid-19流行を封じ込める上での韓国の有効性は、大規模検査、追跡、隔離という政府の正しい行動で成功可能なことを示している。中国の実績は、見たところ韓国ほど良くはないが、それでも成功の規模は良く似ている。欧米政府やマスコミは、隠蔽のかどで韓国を非難していない。もし韓国が、その方法で成功できるなら、中国も、検査、追跡と一時封鎖という事前介入によって成功したことは完全にありうる。中国が数字についてウソをついていると主張するのは、Covid-19に対する韓国の成功を意図的に無視することだ。
彼らの政府が、国民を不必要に死なせているという、恥ずかしい、ひどい真実を、国民が熟考するのを許せないがゆえに、トランプや他の欧米指導者は、Covid-19で、中国に罪をなすりつけているのだ。
記事が表明する見解や意見は、必ずしもSputnikのものを反映しない。
記事原文のurl:https://sputniknews.com/columnists/202004171078998335-why-trump-scapegoats-china/
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この記事の後、アメリカの中国攻撃は激化している。自作自演のテロ事件を起こしておいて、アフガニスタンを侵略、支配し、麻薬を支配し、大量破壊兵器があるといって、イラクを破壊しておいて、平然と他国を批判する国の主張、にわかには信頼する気にはなれない。「自分の罪状を白状してから言え。」
封鎖されている別の国の知人からも、様子伺いのメールが来た。封鎖をしていても、状況はますます悪化しているという。
現地在住の女性がモスクワの近況を書いたブログを見つけた。最新情報の更新を拝読したいもの。
森羅万象や緑のコロナを支持している人々、小生は、幼馴染みの数人しか思いつかないが、支持の理由は、内田氏のお説の通りなのだろうか。
文春オンライン
専門家が、忖度せずに、外国からみれば、という例が、AERAdot.の記事だろう。彼の発言をWHOこそあやしいと、脳味噌が豆腐の諸氏が文句を言っている。彼の論理を理論的に破った趣旨は見たことがない。韓国の例と、日本の場合をくらべれば、子どもでもわかるだろうに。
日刊ゲンダイDigital
植草一秀の知られざる真実
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