我々は新たな封建制を醸成しているのだろうか?
2020年4月16日
Paul Craig Roberts
質問の答えは「YES」だ。「救済融資」や債務返済滞納に対する手数料や課徴金で更に債務が増える緊急救済されない債務者の財産を、緊急救済された大口債権者連中が得て終わるだろう。1パーセントに対して、債務償却、それ以外全員に対して、更なる債務。
経済に関心を向けて頂きたい。アメリカには、164,000,000の労働者がいる。企業操業停止による失業予想は30%だ。それは49,000,000人の暴徒予備軍を意味するだろう。これらの人々の多くが既に給料ぎりぎりの暮らしをしており、400ドルの現金もなく、負債のおかげで自由裁量所得は残らない。雇用されている間さえ、ほとんど負債を返済できなかったのだから、失業して、中小企業が閉鎖していて、経費は発生し続けるが収入がない時に、どうやって返済できるだろう? ローンで彼らの債務は更にます。失業者への現金給付は食糧と家賃はカバーできるかもしれないが、債務には役立つまい。
ショッピング・センターのファーストフードのフランチャイズや店舗は、三カ月賃貸料を払っていないと言っている。センター所有者は債権者に支払えないだろう。問題を起こした当事者連中以外、救済措置は、誰にとっても、うまく機能しない。救済された連中は、破産した企業を買い上げたり、差し押さえたりする金を持っているだろう。より多くの不動産が、より少数の手に集中するだろう。
ニューヨークの銀行とウォール街での仕事で「差し押さえの王様」とあだ名がついたトランプの財務長官が仕組んだ救済措置は債権者全員と債務者を一層債務付けにする。
益々多くの負債が、より少数の手に集中し、皆が益々負債をかかえるにつれ、経済を駆動する消費者購買力は益々減少する。消費者購買力とともに収益性が下落するので、差し押さえた資産の価値も減少する。
グローバル企業が中産階級の雇用を海外移転して以来、アメリカ経済の破壊は進行中だ。金融部門が、消費者収入の大部分を、負債返済に変えた時以来、破壊は進行中だ。企業が、利益を、生産能力拡大の代わりに、自社株を買い戻しに投資した時以来、破壊は進行中だ。量的緩和が株や債券価格を現実的な価値を越えて膨張させた時以来、破壊は進行中だ。集中を禁止する規則がわきに置かれた、グラス・スティーガル法が無効にされたため、破壊は続いている。果てしない戦争がインフラ投資と社会的セーフティネット拡大を押し出したときから、破壊は続いている。
これは策謀ゆえなのか、愚かさゆえなのか? 答えは何であれ経済は破壊されている。
経済問題は、民間部門債務が、個人も企業も返済するには余りに大きいことだ。この問題は閉鎖前から存在していた。閉鎖は持続不可能なレベルの債務を返済するのに収入が更に少なくなることを意味する。これは更なる負債で解決する問題ではない。
銀行が、経済の生産的可能性を拡大するためでなく、既存の金融資産の購入資金を調達するために貸していることが問題なのだ。
企業が、利益を事業に投資するのではなく、自社株を買い戻すため、金を借りることが問題なのだ。経営者は、企業の資本を減らして、会社に借金を負わせ、そうすることに対して「業績連動型賞与」で報酬を与えられるのだ。
短期的思考のグローバル企業が、アメリカの高生産性、高付加価値雇用をアジアに移転し、アメリカの勤労所得を減らし、州や地方の課税基盤を損ない、消費者の失われた収入増加の代わりに、連邦準備銀行に消費者負債増加で代用させているのが問題なのだ。
修正する責任を負っている人々は、自身のため、近視眼的な方法で修正しているだけだ。状況を改める方法が一つだけある。返済できるレベルまで民間部門の債務を減額することだ。債権者連中は、いずれにせよ救済されているのだから、彼らの貸倒損失は問題にならない。
銀行や企業の救済は、他の重要な方法で経済を是正する好機だ。事実上、救済措置は国有化と同じだ。政府は購入する対象の経営を引き受けるべきだ。そこで政府は「大きすぎて潰せない銀行」を分割し、議会で新たなグラス-スティーガル法を成立させることなしで、金融業界のロビー活動に反対して戦うことなしで、投資業務を普通銀行業務から分離できる。かつて、銀行は分割し、売り渡すことができた。これで、金融体制の重大な脆弱さを除去し、金融競争を復活させられるだろう。企業を政府の手中におけば、雇用を海外から国内に戻すことができるはずだ。中産階級を回復させられるはずだ。
これらの措置は、債務帳消しと相まって、消費者購買力を復活させるだろう。第二次世界大戦後に起きたように、うっ積した需要が高成長で経済を推進するだろう。
これが本当の問題に対する本当の解決だ。だが一パーセントが対策担当なので、決して本物の解決は実現しない。より多くの金が、持続不可能な債務や、人為的に高騰させた株式市場で死に瀕している経済に対してではなく、資産やコマーシャル・ペーパーの価格を押し上げるために使われてしまうのだ。
エリートは我々を余りに失望させた。王位から、彼らを退位させる頃合いだ。
Paul Craig Robertsは元経済政策担当財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリップス・ハワード・ニューズ・サービスとクリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the West、HOW AMERICA WAS LOST、The Neoconservative Threat to World Orderが購入可能。
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記事原文のurl:https://www.paulcraigroberts.org/2020/04/16/are-we-brewing-a-new-feudalism/
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