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2020年2月23日 (日)

エルドアンの危険な虚勢

Finian Cunningham
2020年2月18日
スプートニク

 トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領は、まるで不正行為の現場を捕らえられた泥棒のようだ。恥ずかしさでこそこそと逃げる代わりに、自分が被害者であるかのように激昂している。

 これが、ロシアとの2018年合意下、トルコは緊張の段階的縮小地帯を守るよう義務づけられたシリア北西領域の状態だ。アンカラは義務を守り損ねている。イドリブとアレッポ郊外から活動するテロ集団による、アレッポ市や他の政府支配地域のシリア一般国民に対する攻撃が衰えることなく続いている。

 段階的縮小合意に対する、これらの致命的違反は、トルコ軍がシリア領に12の監視所を持つことを許されている事実にもかかわらず実行された。外国軍隊が領土内に駐留することを認める合意は、シリア政府による大きな譲歩だった。譲歩は何度も悪用された。

 テロ集団が攻撃作戦を実行するのをトルコが止めなかったのだから、全て白紙に戻ったのだ。昨年末から、シリア・アラブ軍は、北西シリアで、連中最後の要塞から活動している反抗分子を最終的に鎮圧しようとしている。

 シリアを支援しているロシアは、領土から、あらゆるテロ集団を絶滅させるシリアの主権を支持すると言っている。主要な反体制派閥は(タハリール・アル=シャームとしても知られている)アル=ヌスラ戦線で*、国際的にテロ組織として禁止されている。それゆえ、シリアは国連決議と国際法下で、その目的を追求するあらゆる権利を有している。

 今週早々、軍・外交筋が、シリアに送られているトルコの軍装備品が、国境を越えた直後、しばしばアル=ヌスラ戦線の手中に落ちていることが知られているように、アンカラが、実際、シリアでテロ集団に兵器を補給していることを明らかになった

 シリア政府や他の観察者は、長い間同じことを言ってきた。すなわち、トルコは、この紛争で何らかの調停者ではなく、無害に聞こえる「反政府派」と呼ぶ反政府過激派戦士に秘密資金を提供している、むしろ敵対者だ。

 乗員も死亡した最近のシリア軍ヘリコプター二機の撃墜は、トルコがテロ集団にアメリカ製地対空MANPADミサイルを供給したおかげで可能になったと考えられている。

 シリア軍と同盟国ロシアが、北西シリアで持ちこたえている残りのテロ集団を包囲するにつれ、シリアでの9年の戦争は終盤に近づいている。今週、シリア政府軍がアレッポ郊外の広い範囲を解放したので、テロ集団による民間居住地域への砲撃はやむだろう。

 とは言え、終盤は国際紛争へと拡大する可能性の不安な状況にもなっている。

 最近、トルコのエルドアンは、シリアとロシアを実力行使で威嚇している。シリアがテロ集団に対する攻勢から引かない限り、トルコ軍がシリアとロシア航空機を攻撃すると彼は言っている。今月早々のシリア軍砲火による十数人のトルコ兵士の死が、アンカラを更に激怒させた。トルコは報復としてシリア陣地に対して反撃したと主張している。トルコは目に余るほどテロ集団の事実上の砲兵師団役を演じている。

 今週、トルコ当局者が、停戦しようとしてモスクワにいる。エルドアンは、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領にしばしば電話をしている。

 だが、エルドアンのどう猛な調子と特使はお門違いだ。もしシリア軍が撤退しなければ、アンカラはいっそう攻撃的行動をすると脅しているのだ。

 エルドアンがふけっているように思われるのは、危険な虚勢だ。アンカラは、ワシントンから受けた支持を見せびらかしている。今週トルコ・マスコミの大見出しは「トランプ、イドリブで大惨事を避けたことに対し、エルドアンに感謝」だ。つまり、もちろん、シリアで起きていることの、途方もないわい曲だ。それでも、これは、ワシントンが、しっかりアンカラ側についていることを示している。

 アメリカ大統領は、エルドアンに、ロシアが「シリア政権」に対する軍事支援を終わらせるのを見たいとも語った。

 クレムリンはワシントンの介入を拒絶し、領土で、テロと戦うシリアの不可侵な権利の支持は揺るがないと述べた。

 NATO軍事同盟の加盟国として、トルコは、集団防衛条項に訴えて、アメリカや他の同盟諸国に、シリアに支援に来るよう要請する可能性がある。もしそうなれば、シリアの戦争は巨大な危険がある国際次元のものになる。エルドアンは、シリアとロシアの前で、このエスカレーションの脅威をちらつかせているように思える。

 この時点で、シリア紛争の根源が、外国による干渉の問題であることを想起すべきだ。アメリカとトルコを含めNATO加盟諸国は、テロ集団への彼らの秘密支援で(テロに対して戦うという、ばかばかしい公式主張にもかかわらず)戦争に油を注いできた。

 シリアに不法駐留しているこれら海外勢力が、国際法に従って、シリア領域から軍隊撤退を始めた時に、戦争は最終的に終わるだろう。それら軍隊には、兵隊、軍用飛行機、軍事基地や、CIAとトルコの同様機関の正体不明の工作員を含む。

 トルコもNATO共犯者連中も、卑劣なゲームが上りなのを悟っているのは確実だ。シリアを破壊する彼らの極悪な陰謀は失敗したのだ。彼らが恐れているのは、自分たちが怪物フランケンシュタインのように育てたテロ・ネットワークが最終的にトルコに移動し、ガンのように他のNATO加盟諸国に大挙して移住することだ。地獄からの想定外の反撃。

 シリアは領土内のこれら犯罪者を何とか大目に見るべきだと、エルドアンは横柄さゆえに、考えているように思われる。トルコとNATOがシリア国民に押しつけた災難から、英雄的なシリア軍がシリアを解放する仕事を終えるのを阻止するために、彼はエスカレーションの無謀な脅威を使っているのだ。

 シリアとロシアは、エルドアンに「やれるものならやってみろ」と開き直るべきだ。

 Finian Cunninghamは、国際問題について多く書いており、記事は複数言語で刊行されている。彼は農芸化学修士で、ジャーナリズムに進むまで、イギリス、ケンブリッジの英国王立化学協会の科学編集者として勤務した。彼は音楽家で作詞作曲家でもある。20年以上、ミラーやアイリッシュ・タイムズやインデペンデント等の大手マスコミ企業で、編集者、著者として働いた。

記事原文のurl:https://sputniknews.com/columnists/202002181078341922-erdogans-treacherous-bluff/

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 『人間使い捨て国家』を読み終えた。いやはや。国が総力をあげて、使い捨て政策を推進している実態がよく分かる。今『奴隷船の世界史』を読んでいる。奴隷も酷いが、奴隷船の水夫も酷いあつかい。他に行き場がなくなって、とんでもなく危険な低賃金労働を選んだのだという。奴隷や水夫は、当然反乱を起こすことがあったが、ほとんど鎮圧されていた。ということで、不沈空母というのは、不沈奴隷空母が正確だと思えてきた。

 IWJの岩上安身氏が『人間使い捨て国家』著者にインタビューしておられる。

規制緩和で派遣労働者が激増!賃金抑制が日本経済の停滞を招いた!岩上安身によるインタビュー 第981回 ゲスト『人間使い捨て国家』著者 明石順平弁護士 後編 2020.2.5

 『人間使い捨て国家』企業による搾取を大目で見る司法の姿勢も批判しておられる。

 日刊ゲンダイDIGITAL

権力と一体化してきた司法 今さら黒川人事批判に違和感

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