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2020年2月28日 (金)

アメリカの「中東のベトナム」

2020年2月24日
ウラジーミル・プラートフ
New Eastern Outlook

 アメリカは45年前、ベトナム戦争で敗北した。北に対する空襲を実行し、南部にアメリカ兵を派兵し、ワシントンは北ベトナム経済を弱体化しようと望んだ。戦争では人類史上最も激しい爆弾投下攻撃が行われた。1964年から1973年まで、米空軍はインドシナに約770万トンの爆発物や他の弾薬を投下した。当時、米軍から見捨てられた多くの兵士や将校や多数の退役軍人が、いわゆるベトナム症候群を含めて、精神疾患を起こした。彼らの心理的問題に対処することができない元士官が自殺さえすることがあった。その後まもなく、多くがこの戦争のむなしさを理解した。1973年に戦争を終わらせ、ベトナムの平和を復活させることで、パリ協定に署名し、1965年以来、58,000人の兵士を失ったアメリカは、事実上、ベトナム民主共和国に対する敗北を認め、参戦を終わらせ、領土から撤退した。これはアメリカ合州国の歴史上、敗北した最初の戦争だった。

 不幸にも、米軍や政治支配体制は、ベトナムでのこの逸脱行為から教訓を学ばず、この超大国は、世界支配という目標を推進するため、アメリカと意見が違う各国政府を服従させる野心を断念しなかった。現在、アフガニスタンや、イラク、シリアや多くの他の国々でのワシントンの行動で(アメリカの道具として利用される)武力紛争が、飢え、貧困や危機をひき起こし、多くの国々とその人々の破壊をもたらすのみならず、至る所で反米感情に拍車をかけていることは容易に理解できる。ベトナム時代と同様、アフガニスタンやイラクやシリアや多くの他の国で、米軍と政治エリート集団によって行われている戦争のむなしさのため、アメリカ軍人の間で自殺が増加している。米空軍が発表した情報によれば、2019年だけでも、国家警備隊の現役軍人と、予備部隊の自殺率が33%増えた。

 現在、大中東諸国での、アメリカと、アメリカ率いる国際連立部隊による軍事介入を、戦争として描かず、連中の用語で「紛争」をより中立的なものとして描く英語パンフレットによる策略にもかかわらず、アメリカ国内での反戦感情の増大は低下していない。このような表現は、アメリカ軍事行動の規模や地理的な限界には基づいておらず、ワシントンや、特にアメリカ議会が、これらの国々に対し、公式に戦争を宣言していない事実に基づいている。アメリカ国民にとって、法的なものを含め、そうしていることのあらゆる影響には、対応する、いかなる国連決議もないことも含まれる。アメリカ人評論家は、余りにしばしば、これらの戦争は、緊張のエスカレーションから生じ、それから武力紛争に変わったのだと主張する。だがこれは、アメリカと、連合諸国を、かなりあいまいな位置に置くのだ。本質的に、違法な理由で戦闘に参加している全員は、結局、「ベトナムでのアメリカ外交政策と軍事介入を調査、評価した」ラッセル法廷で起きたように、世界共同体から、彼らの行動の責任を負うべきと見なされるかもしれない。

 中東での平和を確立するためにドナルド・トランプ大統領が提案した、いわゆる「世紀の取り引き」は、アメリカの政治指導者の政敵からだけでなく、NATOの中で同盟国からも非難を受けている。例えば、最近トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領は、中東計画を「占領プロジェクト」と呼んだ。彼は取り引きが平和を実現したり、解決したりせず、代わりに、それはイスラエルの占領を合法化することを目指していると述べた。

 政治的ライバルを物理的に「抹殺」し、彼らを暗殺する(例えば、イラクでのガーセム・ソレイマーニー少将に対するアメリカ作戦)ためワシントンがとった処置は、アメリカに対する反対を増したのみならず、アメリカ国民自身が、より重大な脅威に直面することになっている。ワシントンの野蛮な行動への報復として、イラン政治家たちが、中東から去るのを拒否すれば、アメリカ人に「もう一つのベトナム戦争」を計画する意志を表明した。最近、米軍基地や大使館や領事館へのミサイル攻撃を増やしている地域住民も同じ約束をしている。以前、アメリカ人評論家スコット・ベネットは、ワシントンにとって、イラクは益々、二つ目の「中東のベトナム」に変わりつつあると警告し、この国へのアメリカ侵略は、完全に「違憲で」、とりわけ国連憲章に違反していたと指摘した。彼は、この地域におけるアメリカ駐留は何ら好影響はなく、荒廃と死と破壊をもたらしただけだったと述べた。

 CNN報道によれば、イラクでのアメリカ作戦はワシントンにとって屈辱で終わりかねない。アメリカのドナルド・トランプ大統領は長引く戦争を終わらせるという彼の選挙公約にもかかわらず、イラク領土からアメリカ兵をまだ撤退させていない。今アメリカは、バグダッドで、既に影響力を強化にしているイランにとって大勝利となる、イラクから追い出される可能性に直面している。イラクからのアメリカ排除は、何十億ドルもの(公的資金)費用がかかり、何千人ものアメリカ兵士の死をもたらした、長引いた軍事介入に屈辱的な終わりをもたらしかねない。

 今のところ、イラクは、対ダーイシュ(ロシア連邦で活動を禁止されているテロ集団)のアメリカとの合同作戦を全て停止している。イラク暫定首相はアメリカ軍撤退がイラク国境内に暮らす人々を保護する唯一の手段だと述べた。

 アメリカ侵略に対するシリア国民の反応は、この国に危機の「ベトナム化」を引き起こしている。最近、シリアの村Harbat - Hamo(ハサカ県カーミシュリー町の東10キロ)で、地元のクルド人が数台の車で構成されるアメリカ軍用車隊の通過を拒否して反抗した。ロシア・パトロール部隊がとった行動だけが、シリア人の増大する怒りから米軍人を守るのを助けた。

 ワシントンにより、ほぼ20年の武力紛争に陥れられて、毎年何千人もの一般人が亡くなるアフガニスタンでも、アメリカにとって、うまくいっていない。

 最近、アメリカ内外の多くのマスコミや評論家が、この地域を、自分の構想と一致するよう変えるワシントンの野心を断念する頃合い時間だという認識に至っている。最近の中東のアメリカ施設に対する攻撃や、アメリカが報復措置を行う際に直面する難題が、中東問題へのアメリカ介入が狙っていた目標についての、ワシントンが何年もの間黙殺することに決めているあらゆる問題への疑問を引き起こしている。

 現在の環境で、もしアメリカが地域の当事者でいたいとを望むなら、アメリカには二つしか選択肢がないという意見さえ表明された。一つは、アメリカが、1973年以前のベトナムでと同じ道を辿り、勝つことが不可能な、もう一つの長引く戦争になることを十分過ぎるほど知りながら、この地域のイランに対する戦闘に入ることだ。

 それでも、ワシントンにはもう一つの(1973年後、ベトナムで行われたものに類似する)選択肢がある。すなわち、ドナルド・トランプが選挙運動中に約束したのと同様、前のアメリカ政権に扇動された中東での武力衝突を終わらせることだ。結局、アメリカは、ナパーム弾と爆弾でベトナムを破ることはできなかったが、アメリカは投資と軍事援助でベトナムに復帰したのだ! 二番目の選択肢は、アメリカが富と武力で、もはや圧倒的な優位性がないという現代の環境を考慮に入れた、より現実的な策に従うよう奨励している。アメリカはこの地域で、果てしのない武力紛争に頼るのではなく、外交や合意や提携によって、その権益を守ることを学ぶ必要がある。このような政治の変化は、アメリカにとっても、アメリカの「盾」に守られているという錯覚の下で存在していて、結果的に、彼ら自身の、不安定な政策を推進している他の国々にも役立つだろう。

 ウラジーミル・プラートフは中東エキスパート。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。

記事原文のurl:https://journal-neo.org/2020/02/24/usa-s-middle-eastern-vietnam/

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 上級国民を除く、庶民は棄民する。全ての責任と負担は庶民に丸投げ。

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 東京新聞の特報面の横の「本音のコラム」で、斎藤美奈子さんが、コロナウイルスの関係で小松左京『復活の日』に触れていた。刊行直後に読んだはずなのだが『日本アパッチ族』と『日本沈没』は読んだ記憶があるが覚えがないので、早速読んだ。小松左京という作家、偉い人だ。。

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