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2020年2月22日 (土)

修正第一条より検閲が優先するのだろうか?

2020年2月18日
Paul Craig Roberts

 私はアメリカでの検閲が限られた現象だった頃のことを覚えている。検閲は戦時に適用された。「うっかり秘密をしゃべると、船が沈む」。検閲はポルノに適用された。検閲は公共放送局や映画で、下品な言葉に対して適用された。検閲は映画で暴力に適用された。やりすぎもあったろうが、ありふれているというほどではなかった。

 現在、検閲は遍在する。それはいたるところにある。アメリカ合州国では、検閲は上からも下からも課されている。検閲は、例えば、イスラエル批判とイスラエル・ボイコットへの参加を禁止するテレビや印刷媒体、グーグル、フェースブック、ツイッターや、28の州の法律によって、イスラエル批判を許す教育機関への連邦資金の提供を阻止するトランプ大統領の政令によって、上から課されている。検閲は、例えば、感情を害されると主張する保護された民族や性や性的志向の人々によって、下から行われている。

 今日アメリカ合州国の特徴となった、遍在する検閲は、コメディアンを締め出している。検閲は、非白人、性同一性障害者の同性愛者、フェミニストとイスラエルへの批判を締め出している。懐疑論者に「陰謀論者」というレッテルを貼って、公式説明が守られている。アメリカ憲法が、表現の自由と出版の自由を保証しているのだから、アメリカ合州国で検閲が遍在しているのは、驚くべき進展だ。

 我々に言論の自由の権利を思い出させてくれたのは、ジャーナリストのアビー・マーティンのおかげだ。アビーは、言論の自由の憲法による保護に違反した28の州の一つジョージア州を告訴している。

 アビーはジョージア・サザン大学での会議で基調演説する予定だった。ジョージアの大学で公的に講演するには、イスラエルを批判しないという忠誠の誓いに署名しなければならないことがわかった。彼女が署名を拒絶したため、会議は中止される結果になった。

 パレスチナに対するイスラエルの立場を支持しない発言に対して、ジョージア州は、こうして言論の自由をはばんでいる。以下を参照。https://www.lewrockwell.com/2020/02/no_author/journalist-abby-martin-sues-state-of-georgia-over-law-requiring-pledge-of-allegiance-to-israel/ こちらも。https://www.timesofisrael.com/filmmaker-who-wouldnt-sign-georgias-oath-not-to-boycott-israel-sues-us-state/

 一瞬これについてお考え願いたい。アメリカ合州国を構成する50州の半分以上が、アメリカ憲法に明らかに違反する法律を成立させているのだ。しかも、これら28州は、外国のために検閲を課しているのだ。28の州政府が、アメリカ憲法修正第一条より、イスラエルの権益を上位に置いているため、アメリカ人は猿ぐつわをかまされているのだ。政府自身が言論の自由に反対なら、民主主義や説明責任がある政府は一体どうなるだろう?

 28の州は、なぜアメリカ憲法に反する法律を制定するのだろう? 一つの説明は、州政府が、政治運動提供の約束によって、あるいは資金調達対抗馬の脅迫によって、イスラエル圧力団体によって秘密裏の金で買われているということだ。我々はほかにどのように28の州政府が外国のために検閲を課すことを説明するか?

 アビー・マーティンはそれを支持しない一人だ。彼女は、もしアメリカ最高裁判所が、まだ修正第1条の守護者なら、28の州法とトランプの政令を否定する結果になるはずの訴訟を起こしたのだ。イスラエルをボイコットから守るのは、人種差別をする企業をボイコットするマーティン・ルーサー・キングの運動を阻止するために1950年代に成立した州法に似ている。これらの法律は、最高裁判所によって否決された。

 アビー・マーティン訴訟の結果で、アメリカ憲法がまだ生きている文書かどうかわかるだろう。

 Paul Craig Robertsは元経済政策担当財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリップス・ハワード・ニューズ・サービスとクリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the West、HOW AMERICA WAS LOST、The Neoconservative Threat to World Orderが購入可能。

 ご寄付はここで。https://www.paulcraigroberts.org/pages/donate/

記事原文のurl:https://www.paulcraigroberts.org/2020/02/18/will-censorship-prevail-over-the-first-amendment/

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 日本の官庁は、宗主国に日本支部だというのが小生の考えだが、それ証明するような記事があった。経産省の「未来の教室」という実証事業の事務局は、米国で公立学校の大規模な閉校と公設民営学校の拡大による公教育民営化を推進してきたボストン・コンサルティング・グループという企業だという。

 中日新聞 2月日の記事

あの人に迫る 鈴木大裕 教育研究者、高知県土佐町議
市場原理導入は公教育崩壊招く

 該当部分をコピーさせていただこう。(ところで、カット、コピー、ペーストという概念を発明したラリー・テスラーが亡くなった。XeroxのPARK研究所で、開発していたワード・プロセッサー、Gypsyに、ラリー・テスラーらが最初に実装したもの。)

-日本でも公教育民営化は進むのか。

 一三年に当時の下村博文文部科学相は、定例会見で米国のチャータースクールをイメージして公設民営学校の普及を進めたい考えを示しており、大阪では既に始まっている。ここ数年教育への関与を急速に強めている経済産業省の動きにも注視が必要だ。経産省は一八年に「未来の教室」という実証事業を立ち上げ、教育とテクノロジーを組み合わせる「EdTech(エドテック)」を導入、学校外のオルタナティブ(代替)教育サービスや学校の働き方改革などを進めてきた。

 私は、学校業務の民間委託を加速する経産省主導の「学校における働き方改革」で、公教育民営化の波が一気に押し寄せる危険性がある、と講演の度に警告してきた。だが、「未来の教室」事業の事務局が、米国で公立学校の大規模な閉校と公設民営学校の拡大による公教育民営化を推進してきたボストン・コンサルティング・グループという企業だと知った今、その懸念は増すばかりだ。教育への介入を強めれば、子どもの教育はしだいに経済界の要求に服従するようになるのではないだろうか。

 政府は総額約四千億円をかけて、小中学校で子ども一人に一台パソコンを配布する方針も示している。だが、教員不足が全国で深刻化する中で、パソコンにお金をかけている場合なのか。テストやテクノロジーに莫大(ばくだい)な金をかける前に、まずは私たちの子どものために基本的な教育環境を整える責任がある。いったい誰による誰のための教育「改革」なのか?

 

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