グローバリズムの結果は世界の不安定化
2020年2月5日
Paul Craig Roberts
現時点では、そうは思われないが、もしコロナウイルスが深刻だと分かれば、多くの経済が悪い影響を受けかねない。中国は他の国々のメーカーに供給する多くの部分の供給源で、中国はアップルのような多くのアメリカ企業の完成品供給源だ。もし出荷ができなければ、中国外での販売と生産が影響を受ける。収入がなければ、従業員に給料は支払えない。2008年金融危機と異なり、これは失業危機と巨大メーカーや販売会社の破産だ。
これが、グローバリズムが、我々を傷つきやすくする危険だ。アメリカ企業が、アメリカと世界で販売する製品を、アメリカで生産していれば、中国での大流行は、彼らの中国販売に影響するだけで、企業収入を脅かさなかったはずだ。
「グローバリズム」を作り出した思慮に欠ける連中は、相互依存が危険で、大規模な思いがけない結果になりかねないことを見落としたのだ。流行の有無にかかわらず、多くの理由で供給が切断されかねない。例えば、ストライキ、政治不安、自然の大惨事、制裁や、戦争のような他の紛争。世界体制に対する、これらの脅威は、より安い労賃や、その結果生じる株主のキャピタル・ゲインや企業経営者のボーナスによって正当化されないのは明らかだ。グローバリズムで恩恵を受けるのは、わずか一パーセントだけだ。
グローバリズムは、短期的強欲が動機の連中に作り出された。グローバリズムの約束は一つも実現しなかった。グローバリズムは大規模な過ちだ。それでも、ほとんどどこでも政治指導者と経済学者はグローバリズムを擁護する。人間の知性など、その程度だ。
この時点で、コロナウイルスと、世界的大流行の予想でのヒステリーを理解するのは困難だ。人口13億人の中国で、約24,000人が感染し、500が亡くなった。これは取るに足りない病気だ。世界中の何百万人もの人々に感染し、600,000人が亡くなる普通の季節的なインフルエンザと比較すれば、コロナウイルスはこれまでのところ、取るに足りない。中国外の感染は非常に少なく、中国人に限定されているように思われる。人々の人種を特定するのを渋っているので、正確に知るのは困難だ。
それでも中国では広大な地域が隔離されている、中国往来旅行は制限されている。季節的なインフルエンザに対しては、こうした対策はとられていない。これまでのところ、今年のインフルエンザ・シーズンで、アメリカだけで、1900万人が感染し、180,000人が入院し、10,000人が亡くなった。最新の報道では、アメリカで16人(おそらく全員が中国人)がコロナウイルスに感染したが、一人も亡くなっていないということだ。https://www.cnbc.com/2020/02/03/the-flu-has-already-killed-10000-across-us-as-world-frets-over-coronavirus.html
おそらく、コロナウイルスは、ほんの小手調べで、遥かに悪いことが起きるはずだ。もしそうなれば、世界の国内総生産(GDP)は打撃を被るだろう。検疫隔離で仕事ができなくなる。完成品や部品が製造供給できなくなる。売るべき商品なしで、販売はできない。収入なしで、企業は従業員や他の費用を支払うことができない。世界中で、収入が下落する。企業が倒産する。後は野となれだ。
もし命を脅かすコロナウイルスか、何か他のものの世界的大流行が勃発し、世界恐慌になれば、グローバリズムが原因だったということを、我々は非常にはっきり理解するはずだ。政府が、自国住民を、外国での破壊的な事象の被害を受けやすくするような、思慮に欠けたり、腐敗したりしている国は、医学的、経済的、社会的、政治的に不安定だ。
グローバリズムの結果は世界不安定だ。
Paul Craig Robertsは元経済政策担当財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリップス・ハワード・ニューズ・サービスとクリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the West、HOW AMERICA WAS LOST、The Neoconservative Threat to World Orderが購入可能。
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記事原文のurl:https://www.paulcraigroberts.org/2020/02/05/the-consequence-of-globalism-is-world-instability/
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週刊金曜日 2/7 1267号には、「新型肺炎のパンデミックに対抗する手段はあるか」という天笠啓佑氏の記事がある。記事の中の太字小見出しは、グローバル化が広げる感染症。
岩波書店の月刊誌『世界』3月号 特集1 災害列島改造論
石橋克彦神戸大学名誉教授の記事を拝読。
超広域大震災にどう備えるか 大地動乱・人口減少時代の成長信仰が衰亡を招く
神保太郎氏の「メディア批評 第147回」も拝読。
(1)アベ様の耳はロバの耳、その口はシュレッダー
(2)カジノ資本の狙い 書かないメディア
(1)では、官房長官答弁、「居酒屋でなら胸ぐらをつかまれる場面だ」」失言チャンピォン氏の「一国家・一民族主義」も取り上げられている。
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