« 猫としてのロシア | トップページ | イラン、ソレイマーニー将軍の死後暗殺 »

2020年1月 8日 (水)

プーチン決断の時期は迫っている

2020年1月4日
Paul Craig Roberts

 ウラジーミル・プーチンは世界の舞台上で最も立派な指導者だ。エリツィン時代の、ワシントンとイスラエルによって堕落させられたロシアで彼は生き残り、そこから現れて、世界的強国としてロシアを再建した。彼は南オセチアに、ウクライナに対する、アメリカ/イスラエル侵略に成功裏に対処し、クリミアの要請で、本来ロシアの州を母なるロシアに再併合した。ワシントンとその帝国からの果てしない侮辱と挑発に、彼は同種の方法で反撃せずに耐えた。彼は強い立場にある、融和的な和平調停者なのだ。

 彼は傲慢とウソに基づいたアメリカ帝国が、経済的、社会的、政治的、軍事的に失敗しているのを知っている。戦争が決してロシアの利益にならないことを理解している。

 偉大なイラン人指導者、世界史上、本当に稀有な指導者の一人、ガーセム・ソレイマーニーのワシントンによる暗殺はトランプの指導力を陰らせ、プーチンに脚光を当てた。プーチンとロシアが世界の指導体制を引き受けるための舞台が整ったのだ。

 ワシントンによるソレイマーニー殺害は、セルビア人によるオーストリア大公暗殺が第一次世界大戦を引き起こしたのと同様に、第三次世界大戦を引き起こしかねない犯罪行為だ。プーチンと中国の支援を得たロシアしか、ワシントンが始動させたこの戦争を止めることができない。

 プーチンはワシントン/イスラエルによるシリア不安定化が、ロシアを狙っているのを理解した。警告なしでロシアは介入し、ワシントンから資金供与され武装した代理勢力を打倒し、シリアに安定を取り戻した。

 打倒されたワシントンとイスラエルは、シリアを迂回して、ロシアに対する攻撃を直接イランに向けると決めたのだ。イラン不安定化はワシントン、イスラエル両国に役立つ。イスラエルにとって、イラン崩壊は、二度イスラエル軍を破り、イスラエルの南レバノン占領を阻止したレバノン民兵ヒズボラに対する支援を停止する。ワシントンにとって、イラン崩壊は、CIAが支援するジハード戦士がロシア連邦内に不安定をもたらすのを可能にする。

 プーチンがアメリカとイスラエルの意志に従わない限り、彼はイランに対するワシントン/イスラエル攻撃を阻止する以外に、何の選択肢もない。

 プーチンが、そうするための最も容易で、最も美しい方法は、イランはロシア保護下にあると発表することだ。この保護は、おそらくインドやトルコも加盟国として、ロシアと中国とイラン間の相互防衛条約として正式のものにされるべきだ。無能な歴史家が、同盟は戦争の原因だとプーチンを説得したので、これはプーチンにとって実行困難だ。だがこのような同盟は戦争を妨げるだろう。正気でない犯罪人ネタニヤフや狂気のアメリカ・ネオコンさえ、完全に酔ったり、だまされたりしているときでさえ、イランやロシアや中国や、もしインドやトルコまで連合に加われば宣戦布告はするまい。戦争に参加するほど愚かなアメリカやイスラエルや、ヨーロッパのどの国にとっても死を意味するだろう。

 もしプーチンが結果的に、ロシアの利益ではなく、ワシントンの利益に仕える無能な歴史家の影響から自身を解放することができない場合、彼には他の選択肢がある。彼は、イランに、イラン人を訓練するロシア人担当者チームと最良のロシア防空システムを提供し、彼らの駐留で、ロシア軍に対する攻撃はロシアに対する攻撃だとワシントンとイスラエルに警告を与え、イランを落ち着かせることができる。

 これをした後、プーチンは調停を申し出るのでなく、主張することができる。それだけの力と影響力と調停する客観性を持った他者はいないから、これはプーチンの役割だ。

 プーチンの仕事は、イランを助けるというより、トランプを破滅させるはずの負ける戦争からトランプを救出することだ。プーチンは彼の言い値を設定できる。例えば、プーチンの言い値はINF/START条約、弾道弾迎撃ミサイル制限条約復活、ロシア国境からのNATO撤退があり得る。事実上、プーチンは何であれ欲するものを要求できる立場にある。

 イランのミサイルはイランの近くのどこでも、どんなアメリカ艦船でも沈没できる。中国のミサイルは中国近くのどこでも、どんなアメリカ艦隊でも沈没できる。ロシアのミサイルは世界のどこででも、アメリカ艦隊を沈没できる。皆、シーア派もスンニ派も、ISIS のようなワシントンの昔の代理人もアメリカ人が大嫌いな今、ワシントンが、中東に権力を投射する能力はゼロだ。国務省は、アメリカ人に中東から退去するよう命じなければならなかった。中東で、アメリカ人が安全ではない時、ワシントンが、どうして、そこで権力と見なされるだろう?

 もちろんワシントンは横柄で愚かなので、プーチンと中国とイランは、これを考慮に入れねばならない。愚かな政府は、自身のみならず他の国々にも荒廃をもたらせるのだ。

 だからプーチンには危険がある。だがプーチンが責任をとり損ねる危険もある。もしイスラエルが、アメリカ軍艦を沈没させて、イランのせいにする何らかの偽旗事象で挑発して、ワシントンとイスラエルがイランを攻撃すれば、結局、ロシアは戦争させられるのだ。主導権は、プーチンの手中にある方が良い。ロシアが仕切った方が、世界と地球の上の生命のために良い。

 Paul Craig Robertsは元経済政策担当財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリップス・ハワード・ニューズ・サービスとクリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the West、HOW AMERICA WAS LOST、The Neoconservative Threat to World Orderが購入可能。

 ご寄付はここで。https://www.paulcraigroberts.org/pages/donate/

記事原文のurl:https://www.paulcraigroberts.org/2020/01/04/putins-hour-is-at-hand/

----------

 映画『地獄の黙示録』をテレビで見た。「ワルキューレの騎行」を流しながらのヘリコプター攻撃で有名だ。宗主国狂気の侵略の典型。

 文中で、筆者が「もしイスラエルが、アメリカ軍艦を沈没させて、イランのせいにする何らかの偽旗事象で挑発して」と書いておられるが、彼は以前、その実例を詳しく書いておられる。さすがに野党も、戦艦派遣中止を言い出した。傀儡政権は、断固派遣し、このシナリオの可能性を推進するだろう。それが売国奴の仕事。

 寺島メソッド翻訳NEWSの下記翻訳が非常に詳しい。

「リバティ号事件(1967年)」再考

 下記翻訳記事も、是非お読み願いたい。

アメリカは、その歴史のうち93% - 1776年以来の、239年中、222年間が戦争

« 猫としてのロシア | トップページ | イラン、ソレイマーニー将軍の死後暗殺 »

イラン」カテゴリの記事

イラク」カテゴリの記事

アメリカ軍・軍事産業」カテゴリの記事

ロシア」カテゴリの記事

ポール・クレイグ・ロバーツ」カテゴリの記事

イスラエル・パレスチナ」カテゴリの記事

お勧め

  • IWJ
    岩上安身責任編集 – IWJ Independent Web Journal

カテゴリー

ブックマーク

最近のトラックバック

無料ブログはココログ