プーチンはイラン状況の主導権をイスラエルの手から奪うべきだ
2020年1月6日
Paul Craig Roberts
今アメリカとイラン間に戦争が起きるかどうかはイスラエル次第だ。イスラエルは、ヒズボラを隔離し、補給を途絶するため、イランとシリアを混乱に陥れる手段として、この戦争を大いに欲している。そこでイスラエルは南レバノン占領に成功できるのだ。
混乱はアメリカ一極覇権主義に対する制約としてのロシアを排除する目的で、ロシア連邦内のイスラム教地域に十分な内部の混乱を輸出できるので、アメリカ・ネオコンはイランの混乱を必要としている。
イスラエルとネオコンは彼らが必要とするトランプという駒を持っている。トランプの法外で無謀なガーセム・ソレイマーニー殺人は、アメリカに対する重大なイランの脅威を引き起こし、トランプはそれに恫喝で答えた。トランプが彼の過ちを理解し、状態を静めようとしている多少の兆しはあるが、静められた状態をイスラエルとネオコンは欲していない。
アメリカ国民の世論調査が、反イラン宣伝が成功していることを示している。良い立場にいるイスラエルやネオコンは、アメリカの何らかの機構、軍事基地、要員や艦船に対する偽旗攻撃を行い、それをイランのせいにするだけで良いのだ。アメリカ・マスコミはイランの血を要求するだろうし、トランプ支持者の大部分もそうするだろう。トランプは、既に反撃すると誓約したのだから、実行しなければなるまい。
全ての戦争には、未知の思いがけない結果がある。プーチンの慎重さの結果、イランは集中爆撃を防ぐ十分な防衛システムが欠けている。ワシントンは自身の兵士でなく、ジハード戦士を送り込むだろうし、ジハード戦士起用はロシア内に混乱をもたらすだろう。
もしイランがアメリカとの紛争で優勢に見えれば、トランプはイランに核攻撃を加えて、彼の苦境を切り抜けるだろう。実際、一部の右翼アメリカ人は、既にイランに核攻撃をするよう要求している。
結果をあれこれ詮索するよりも、私は「なぜそんな危険をおかすのか?」問いたい。
ロシアとイランと中国と参加しそうな他のいずれかの国との防衛連合は、イスラエルの手を縛り、戦争の発生を防ぐだろう。トランプ、ネタニエフのいずれもロシア、中国とイランとの戦争はしない。
アメリカとイスラエルの侵略が衰えることなく続いている理由は、彼らに対する防衛同盟ができなかったためだ。
イランに対する攻撃は、ロシアに対する攻撃なのだから、防衛同盟を構築するのは、攻撃を防ぐ方法、多分唯一の方法だ。同盟は、既に存在する暗黙の、事実上の同盟の、定式化だ。それはイランとロシアに対し、実際に脅威を減らす、危険な状況を安定させる最も確実な方法だ。
Paul Craig Robertsは元経済政策担当財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリップス・ハワード・ニューズ・サービスとクリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the West、HOW AMERICA WAS LOST、The Neoconservative Threat to World Orderが購入可能。
ご寄付はここで。https://www.paulcraigroberts.org/pages/donate/
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今下記インタビューが終わった。実にごもっとも。大本営広報部や、ゆ党とは違う正論。
【IWJ_Youtube Live】12:30~
「1月20日通常国会召集! 国民は正月の餅を食べても『桜を見る会』問題を忘れていない! 岩上安身による 日本共産党・田村智子参議院議員インタビュー」
YouTube視聴URL: https://www.youtube.com/user/IWJMovie/videos?shelf_id=4&view=2&sort=dd&live_view=501
ツイキャス視聴URL: http://twitcasting.tv/iwakamiyasumi
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