中国をくるしめるワシントンの洗練された技は、戦争を燃え上がらせかねない
2019日12月19日
Andre Vltchek
New Eastern Outlook
中国を訪れる際、定期的に仕事をする際、突然、もの事が実に身近に感じられる。
ボリス・エリツィン支配末期の頃、ロシアで感じたように、中国でも感じるのだ。
当時多くの人々は、何であれヨーロッパや北アメリカのものを諸手を挙げて歓迎したものだった。ソ連共産党が言っていたこと全てが突然間違いだと見なされた。何であれ、欧米が東ヨーロッパの人々を爆撃するものは、全て純金と受け止められた。欧米の言説を疑問に思う人々は単なる無知と見なされた。
その後どうなったかを我々は知っている。数カ月、何年間も賃金が支払われなかったので、労働者や鉱夫は鉄道を封鎖しなければならなかった。老婆は拷問にかけられ、文字通りアイロンをかけられて、預金口座のパスワードを白状させられた。人々は閉ざされたドアの中で亡くなり、多くは氷点下で凍死した。平均寿命は、サハラ以南のアフリカ並みに落ちた。あらゆるものが民有化された。
それがまさに欧米が望んだことだった。ひざまずき恐ろしい略奪に開放されたロシア。
どうして私が知っているのだろう? 私は映画を研究し、高度な同時通訳、逐次通訳として自活しながらニューヨークにいた。「交渉」の際、あのあらゆる腐敗の際「私はそこにいたのだ」。
ある時点で、私はすんでのところで頭を撃ち抜きそうになり、全てを捨て「汚い戦争」を報道するためペルーに向かった。
ロシアにとって幸運なことに、欧米からのもの全てに対する、この狂気と無条件の執心は非常に長くは続かなかった。ロシアは省察し、理解し、立ち上がったのだ。世界の何事もそうではないように、完ぺきではないが、ロシアは再び偉大になった。
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今、中国は、プーチン大統領が権力の座についた頃にロシアがそうだった「状態」にある。巨大な奥深い国中いたる所で、それは国家の目覚めに他ならない。
何年も、数十年も、何億人もの中国人が欧米プロパガンダに大いに影響され、欧米のNGO、行政機関、学界、芸術組織やマスメディアに直接潜入さえされた。
これまでの20年間、中国は、ロシアが、いわゆるペレストロイカとエリツィンの愚行の時代に味わったような極端な苦しみを体験しなかった。だが、習主席が権力の座につく前に、不均等が増大し、中国人は、より少しではなく、より多くの共産主義を要求し始めていた。古代中国の「天命」の概念が作動し、国民はまさに求めていたものを受け取った。中国の成長は少し速度を落とし、2020年までの貧困撲滅、生態文明、中国の特徴を持った社会主義社会などの高尚な目標や、公共輸送機関、都市計画、地方計画、文化や教育や医療などの分野での大規模整備で置き換えられた。
だが欧米のプロパガンダや情報/イデオロギー戦争がしかけた損害は既に与えられた。ロンドンとワシントンは彼らの主な狙いを達成した。中国人は自身の目や耳や他の感覚を信じるのをやめた。生活が良くなればなるほど、彼らは益々政治体制、特に中国共産党のおかげだと思わないようになった。全員ではないが、一部の人々がそうだった。
世界中で、欧米帝国主義とプロパガンダがどのように機能しているかを説明して、様々な中国の大学で講演したり、中国人と対話したりする際、しばしば単純で、うぶな返答に遭遇した。「いいえ、そんなことが起きるはずはありません。西洋人は善良で、優しく、親切な人々だ。彼らは決して誰も傷つけないはずだ。」
私が対話した中国人の一部は、全ての大陸で、何世紀にもわたり、何億人もの命を奪った欧米植民地政策や新植民地主義や帝国主義の恐怖を否定したほどだ。
中国共産党も、このような出来事について語っているが、欧米が、中国人、特に若者に、共産党を信じるのは余りに「流行遅れで」「ださい」と言ったので、国民は、明白で証明可能な、真実の主張を拒絶したのだ。
パラドックス、私が世界中で目にしているパラドックスだ。欧米のウソとプロパガンダは、実に巧妙で、美しく装われ、財政支援されている。
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今中国はゆっくり目を覚ましている。国民は見ている。彼らの周囲の世界は悪夢だ。
「彼らは我々に嘘をついていた」と私は国じゅうで聞かされる。「彼ら」で、人々は共産党を意味しておらず、欧米を意味している。
「彼らは決して我々の友人ではなかった」人々は更に嘆く。「彼らは決して善意ではなかった。」
イデオロギー浸透、プロパガンダや「ソフト・パワー」では、極めて成功した中国体制をひっくり返したり、脱線させたりするのは不可能なことが明白になった時、欧米は「硬派」あるいは、少なくとも「半硬派」(今のところ)になった。
米海軍艦隊が、公然と地球上の最も人口ちゅう密な国を挑発し、中国沿岸や島の近くを航行し始めた。欧米の同盟諸国、中国の近隣諸国が北京をいらだたせ始めた。台湾はワシントンから巨大な外交的、軍事的支援を得ており、ウイグル人が、やがて中国に戻り、自国で一帯一路構想(BRI)を混乱させるべく、世界中いたる所いくつかのイスラム・テロリストに支配された紛争地帯に注入された。香港の忍者のような若者は、巨大な洗脳改造、イデオロギー研修、支援、金やファシスト・ウクライナ人集団のような「友人」を得ている。
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だから最近、中国国民は目を開き、彼らの平和な国が、実際に戦争中なのを悟るよう強いられたのだ! あの感じのいい「民主主義と自由を愛する欧米人」によって、常に彼らに真実を語っていたと思っていた、まさにその人々によって、攻撃されているのだ。
しかも、それはただの通常戦争ではないのだ。銃弾の破片が飛んではいない。まだ。だが、中国人幹部が逮捕されており、貿易戦争が過熱しており、他方、地球上、最も攻撃的な国の途方もなく巨大な軍事力が中国領土にますます近づいている。中傷的な反中国キャンペーンは益々攻撃的になっている。
そして一部の人々は、とうとう「一体なぜか?」と尋ねている。
唯一の答えは実際単純だ。「中国共産党指導下の中華人民共和国が欧米がこれまで作り出したしたものより遥かに良い、遥かに人道的で、社会的(経済的)システムを生み出したためだ!」。
そして、欧米では誰もこの成功を祝っていないのだ。実際、中国が良くなればなるほど、益々、脅迫され、攻撃され、ひどく苦しめられるだろう。
このような目覚めは非常に残酷だ。だがそれは重要だ。必要だ。
もし中国が崩壊すれば、全世界が負けるだろう。
それこそが、まさにワシントンやロンドンや他の欧米の首都が望んでいるものだ。彼らの論理は非常に単純だ。幼稚だとさえ言えよう。もし北京とモスクワが敗れれば、彼らは利益を得られるのだ。
もし中国とロシアが同じ「論理」に従えば、彼らは欧米経済を数週間で潰すことができるだろう。だが彼らは世界の未来を気にかけている。彼らにとって、勝つか、負けるかの問題ではないのだ。
欧米は敵の賢明さにつけこんでいる。欧米は先見の明を弱さと見なす。欧米はひたすら押しに押している。
中国とロシアは辛抱強い。彼らは外交で、交渉している。
だが、一体どれだけ長く? 香港で、ウクライナ-ロシア国境で、人々は既に死につつある。何カ月も何年も続いている。
一つのまずい動き、一つのとんでもない間違いで、中国は果てしないアメリカ攻撃に報復するかもしれない。中国はそうすることを望んでいないが、中国にはそうする全面的な権利がある。
Andre Vltchekは哲学者、小説家、映画製作者で調査ジャーナリスト。彼はVltchek’s World in Word and Imagesの創作者で、China and Ecological Civilizationを含め、多くの本を書いている作家。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。
記事原文のurl:https://journal-neo.org/2019/12/19/washington-s-refined-art-of-torturing-china-may-ignite-a-war/
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孫崎享氏の著書を思い出す。『日本国の正体』の「日本の民主主義はニセモノ」と言える理由 にハーバート・ノーマンの著書からの引用がある。降伏後のドイツと日本の比較。319ページ。
一:反動勢力に対抗する有力な民衆運動の不在
二:頑迷な反動勢力による敗戦の犠牲羊(スケープゴート)の探求。ドイツでは、それがユダヤ人、マルクス主義者であった。日本では、朝鮮人、共産党である可能性がある。
以下略
NHK 政治マガジン 共産党に「アレルギー」? その正体とは
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コメント
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欧米プロバガンダがほぼ完全に成功しているこの国で、ほとんどの人が、「いいえ、そんなことが起きるはずはありません。西洋人は善良で、優しく、親切な人々だ。彼らは決して誰も傷つけないはずだ。」と思っているこの国で、問題点を整理する論考を翻訳してくださり、ありがとうございます。
お蔭様で、私も何とか、「頭を撃ち抜」かなくて済んでいます。
今年も1年ありがとうございました。
サイト運営者様も、心身の健康にご留意ください。
来年もよろしくお願いいたします。
投稿: ゴマ | 2019年12月30日 (月) 12時26分