とぼとぼ歩きのNATO恐竜
Finian Cunningham
2019年12月4日
スプートニク
今週のNATOサミットでの分裂と怨嗟は、ぎくしゃくした「団結」の呼びかけによっても隠せなかった。アメリカ率いる軍事同盟は絶滅時期をとっくに過ぎた恐竜だ。
イギリスが主催した二日間のサミット終了時、イギリスのボリス・ジョンソン首相は一体感をかもしだすべく最善を尽くした。催しはNATO創立70周年の記念祝典のはずだった。
NATO会議は「ハッピ・バースデイ」パーテイどころか、口ぎたない言い争いとあざけりの恥ずかしい茶番に落ち込んだ。ビデオ映像は、彼のとりとめない記者会見を巡り、アメリカのドナルド・トランプ大統領を、フランスやイギリスやカナダの指導者がからかっているのを見せたように思えた。トランプはそれから「表裏がある」と言って、カナダのジャスティン・トルドーを非難して反撃した。
フランスとアメリカが同盟者と見なしているクルド人戦士に対する、アンカラの北シリア軍事侵攻を巡り、フランスとトルコの間でも口論があった。トルコはロシアからS-400防空システムを購入したことでもたしなめられた。
だが最大の衝突は、NATOが「脳死状態」だという最近のマスコミ発言をアメリカ大統領に非難されたフランスのエマヌエル・マクロンとトランプとの間のものだ。トランプはそれらの発言は「実に不快で」「失礼だ」と言った。マクロンは、共同記者会見で、以前の批判的な発言を維持しただけだと、いらだたしげに言った。
過去数回NATOを「時代遅れだ」と本人自身軽蔑したことがあるトランプが礼儀を説教するのは何とも不快なことだ。
ノルウェー人のイェンス・ストルテンベルク事務局長は、波立った関係を取り繕おうとして、こう主張した。「我々が世界を変えたのだから、NATOは史上最も成功した同盟だ。」 彼は更に29国の軍事同盟を「敏しょうで、活動的で、順応している」と表現した。
これは彼がNATO軍の総支出が大幅に増加予定であることを指摘した後のことだった。現在の一兆ドルに加え、更に4000億ドル、2024年までにNATOに支払われるとストルテンベルクは述べた。
NATOの総予算は、既にロシアの20倍で、中国の5倍だ。
問題は「機敏さ」や「順応」ではない。NATOが常にしてきたことが問題なのだ。意図的に安全保障を不安定にして、対処する「必要がある」「難題」を引き起こす形での世界規模で積極的な軍隊拡大だ。
今年のサミットで、NATO指導者は集団的安全保障の課題として「初めて」中国を論じた。彼らは軍事技術のため「宇宙を使用可能な領域」にすることを論議した。
そして、もちろんストルテンベルグは「ポーランドとバルト地域を守る」ためのロシア国境での大隊強化について語り、ロシアは由緒ある「子取り鬼」役を演じさせられた。
ロンドン近郊での二日間のサミットでは、「テロとの戦い」に関する名ばかりのわずかな発言も、任務の組み合わせの中に投げ込まれた。
だが「対テロ」という陳腐な決まり文句は、拡張主義と、国際緊張や紛争や敵、あるいはより上品に「対抗者」の創造という、NATOの基本目的を隠すことはできない。
NATOは、1949年に設立された時から1991年まで、12の加盟国で構成されていた。組織はソ連邦による攻撃からヨーロッパを「防衛する」ことになっていた。それは冷戦の数十年に戻ってさえ、常に実におおげさな主張だった。ソ連とワルシャワ条約が解散して以来、NATOは、大半がロシア国境に近い17の新加盟国を得て、規模は二倍以上になった。ジョージアとウクライナを将来参加させる交渉で参加国募集は続いている。それなのに、NATOは、ロシアがヨーロッパを脅かしているという馬鹿らしい主張をして、増大する安全保障上の脅威に関するロシアの正当な懸念に反論している。
1990年代後期、旧ユーゴスラビアとバルカンを攻撃し、アフガニスタン、イラク、リビアとシリアで政権転覆戦争をしたのはロシアではなかった。2014年、ウクライナでクーデターを監督したのはロシアではなかった。ソ連の没落以来これまで30年にわたり、あらゆる混乱で、NATOは容赦なく、外国での戦争を増やし、地球全体を不安定にした。
新しく付託された権限として、その活動に中国と宇宙の軍事化を加えて、世界規模の安全保障を担保するという公式主張と対照的に、NATOは本当は「不安定化の狙い」を拡大しようと努めているのだ。
NATOは、北米とヨーロッパ、主にアメリカで、大企業資本主義経済を推進する軍産複合体のためのフロント組織なのが真実だ。まもなく更に拡大するはずの年間一兆ドルのNATO歳出がなければ、アメリカと同盟国の軍事化した経済は、年々、大規模公共助成金の欠如で四苦八苦するはずだ。
NATOが解散し、アメリカと同盟国の戦争経済が終われば、より理性的な経済が、欧米の金権政治では許容されない、より大きな社会的平等と民主政治をもたらすだろう。
当面、NATO恐竜はとぼとぼと歩いている。だが貧困の惨事と、それがもたらす持続不可能な国際緊張は、このけだものが、間もなく、長く延び延びになっていた絶滅を目指して進むことを示唆している。そうなるか、それともNATOのふらちな大暴れで、地球が絶滅させられるかだ。
記事で表現される見解や意見は、必ずしもSputnikのものを反映しない。
記事原文のurl:https://sputniknews.com/columnists/201912041077485379-nato-dinosaur-plods-on/
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自分たちこそ“反社”であると自覚しているがゆえの愚劣な決定。
安倍政権が「反社会的勢力の定義は困難」閣議決定のトンデモ! 「桜を見る会」ごまかすため2007年の政府指針を覆し“反社”野放しへ
岩波書店の月刊誌『世界』1月号
醜悪で滑稽な覇権志向─多国間主義を忌避する日本
を読んで思う。傀儡売国奴には、宗主国ジャパン・ハンドラーしか見えない。恐竜安保条約と地位協定が大切。
とは言え、『世界』1月号の別の記事、「選ばれる町」にイージス・アショアはいらない で、まっとうなご意見を主張される阿武町長に驚く。こういう方にこそ外国特派員協会で講演頂きたいもの。
今日は下記のインタビューを拝聴予定。
日刊IWJガイド 「本日午後8時より『岩上安身による京都市長選立候補予定者・福山和人弁護士インタビュー(前編)』を全編フルオープンで録画配信!」 2019.12.11日号~No.2645号~
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コメント
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今朝ニュースで、安倍政権が「反社会的勢力」の定義はできないという閣議決定をしたと聞いたとき、
私も「これで安倍政権も反社勢力の一つと確定」と思ったのでした。
>自分たちこそ“反社”であると自覚しているがゆえの愚劣な決定。
とこちらでも書いておられるのを見て、
そう感じた人は、きっと大勢あるのだろうと確信しました。
投稿: 和久希世 | 2019年12月11日 (水) 13時47分