イラン「不穏状態」を巡る地政学
2019年12月16日
Salman Rafi Sheikh
New Eastern Outlook
欧米当局者や政治評論家的や、中東の彼らの同盟諸国、特にサウジアラビアやイスラエルは、イラン政権が崩壊し、親欧米「民主政治」出現を許し、地域におけるサウジアラビア覇権の要にし、地域から、イスラエルの最強ライバルを排除したいという連中の願望表現を一度もためらったことがない。イランでの最近の抗議は、たとえ抗議行動に「現地の根」があり、欧米やサウジアラビアが主張したように、トランプ政権のこれまでで「最も厳しい」制裁により、イラン経済問題が増大していることの反映だったにせよ、「政権転覆」ギャングに、まさにその機会を与えたのだ。イラン当局者が「不安」が欧米、特にアメリカとイスラエルに仕組まれていたと主張したが、イラン政権は、またもや、その回復力と、容易には切断され得ない深い社会の根を示したのだ。
だがアメリカは、抗議行動を「変化の前触れ」で、彼らの制裁政策の成功として見た。アメリカはそれに従って動いた。明らかに、アメリカの動きは、抗議行動が全国的に広まると予想していたのが明白で、最も適切な時期に、アメリカが「攻撃する」決意も見えた。もちろん、この計画は実現できなかったが、事態の進展は、またしても、イランでの「政権転覆」に対するアメリカとイスラエルの執心を示している。
ブルッキングス研究所報告書が、これら抗議行動の「重要性」を述べている。「テヘランは今日叙事詩的な、相互に結びついた一連の危機に面している。満たされない期待の問題が、弱体化している政権の正当性の問題を導き」「最終的に、40年前にイランで起きたように、最もしっかり強化された体制さえ粉々になるだろう」.
もう何度も間違っていることが証明されているにもかかわらず、これが依然アメリカとイスラエル政策を導き続ける典型的想定なのだ。これは今回の状況でも真実だった。
そういうわけで、問題が起き、不穏状態がその頂点にあった、まさにその時、アメリカは、その海軍力と、世界で最も重要な発火点の一つ、ホルムズ海峡で作戦行動する能力を見せびらかすと決めていた。アメリカ空母打撃群が、戦略上重要なホルムズ海峡を通って巡航した。この空母は2019年11月20日に通過した。予想通り、それはイスラエルが公式に二つの「大規模攻撃」と呼んだものを実行し、シリアでイラン軍隊を攻撃したのと同じ日だった。
何百ものこのような「大規模」攻撃にもかかわらず、シリアでのアメリカとイスラエルの狙いにイランが対抗し続けている事実が、の反発力と抵抗、アメリカとイスラエルが、イランを挑発しようとした最新の攻撃が、当時進行中のイランの不穏状態と、米海軍空母打撃群の無害と程遠い通航と一致した事実が、イランに、イラン内を攻撃するのを可能にするミスをさせ、彼らの計算上、抗議行動参加者が政権を打倒するの支援すべく、戦争をしかけようとしていたことを雄弁に物語っている。
同様、ほぼ同時期に、イラン政権に対する極端な嫌悪を一度も隠したことがないアメリカ大統領はイスラエル攻撃とアメリカ空母海峡通過の一日前に書いた書面で、サウジアラビアにアメリカ軍兵士を追加派兵する決定について米国議会にしっかり「知らせて」いた。
2019年11月19日の書簡は、追加派兵は、イランによる敵対的行動とその代理部隊に対し「地域におけるアメリカの権益を守ることを目指すと述べている。イランは2019年9月14日のサウジアラビア王国の石油・天然ガス施設攻撃を含め、地域の安全保障を脅かし続けている。我々のパートナーを保護し、それ以上のイランの挑発行動を阻止し、地域の防衛能力を強化するため、追加のアメリカ軍を中東に派遣するよう命じた。」
書簡はこう続く。「これら追加軍隊で、サウジアラビア王国内の米軍要員合計人数は約3,000人だ。彼らの駐留が上記任務を満たすのに必要とされる限り、これら人員は配備され続けるだろう。」
長期的任務は、イランに対する抑止力かもしれないが、この派兵が行われた当座の文脈は、確実に、アメリカが知っている通り、アメリカ空母の海峡通過とイスラエル攻撃という出来事だ。イランは、予想通り、反撃せず、他のいかなる方法によっても報復せず、またアメリカ-イスラエルの妨害の試みを直接失敗させたり、米海軍空母を攻撃したりせず、シリアのように、現地の活動家が、政権打倒のための武器として利用できる特定外部勢力を見いだせるような状況を阻止した。
だが、これはイランの慎重さのみならず、アメリカ-イスラエル政治専門家連中によるイラン政治と社会の完全な読み違えのおかげで実現しなかったのだ。抗議行動は本物だったかもしれないが、「これまでで最も厳しい」アメリカ制裁のために、社会全般で大規模反体制運動が「噴出して」いるという想定は、サウジアラビアと異なり、イランは石油だけで動く経済ではない事実を考慮していなかったのだ。そのため、石油制裁の影響は、厳しいものかもしれないにせよ、決してイラン経済の家計基盤を損なうとは予想できなかった。IMFと世界銀行の報告書さえ、2019-2020年に「急激に縮んだ」後、石油が5分の1を越えないイランGDPは増大するだろうと示唆している。
だから現在、イラン経済は、最上の状態にはないかもしれないが、国内基盤は損なわずにおり、海外投資を受け続けている。テヘランには、まだ示すべき健全な経済指標はないかもしれないが、まだ回復力があり、ショックを受け流し、画策や、他の原因で引き起こされる集団抗議行動を通して外部勢力が侵入するのを阻止する経済があるのだ。
Salman Rafi Sheikhは国際関係とパキスタンの外交、国内問題専門家。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。
記事原文のurl:https://journal-neo.org/2019/12/16/the-geo-politics-around-unrest-in-iran/
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LITERA記事はまとも。
「準強姦罪での逮捕状が出されたにもかかわらず、直前で捜査が警察幹部の命令によりストップしたこと」が広く知られてしまえば、女性に限らず有権者の大半が、政権のでたらめさに怒りだす可能性が高い。それを支配層も、大本営広報部も十分理解しているがゆえの報道管制だと勘繰って自然だろう。
保阪正康著『大本営発表という虚構』ちくま文庫発売。解説は望月衣塑子記者。
大本営の報道管制は、下記記事で植草一秀氏のいわれるような事態を防ぐためのもの。
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