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2019年11月24日 (日)

アメリカは、シリアでの戦争の源であって、解決策ではない

2019年11月12日
Tony Cartalucci
New Eastern Outlook

 想定されるシリアからのアメリカ「撤退」後、欧米メディアは、アメリカ部隊が今ユーフラテス川の東にあるシリア油田を占領する準備をしていると報じた。

 どの記事も、そもそも、シリアにおけるアメリカ軍駐留がどれほど非合法か、擁護できないかについて、いかなる言及も、まして「なぜ」アメリカ部隊がシリアの天然資源を「奪う」準備しているかの言及を避ける慎重に選ばれた「専門家」によるものだ。

 ガーディアンの「アメリカは、トランプの軍事撤退を反転させ、シリア油田に戦車を送る計画 - 報告」記事は、シリアにおける欧米の行動を調査したり、問題にしたりすることへの適切な配慮を自発的に放棄している好例だ。

 人はアメリカがシリアに駐留し続ける言い訳として主張するだろうものを当然と思わされるのだ。アルカイダや、いわゆる「イスラム国」(ISIS)や彼らの関連団体のようなテロ組織が、この地域に戻るため「資金」源を利用するのを否定する言説に基づいて。

 最も明白で持続可能な解決は、シリア油田の管理をシリア自身に移すことだ。シリアはあらゆる地域で、テロ組織に打ち勝ち、ダマスカスは今秩序を回復し、油田と関連産業の復活で、国を再建し、そもそも、それを破壊した分子から守る、より良い位置につけるはずなのだ。

 だが、そもそも2011年に、アメリカが意図的に彼らを作り出し、彼らをシリアの戦争を引き起こし、更にそれに拍車をかけるため意図的に使った事実を無視して、これはアメリカが、地域でテロ組織の復活を防ぐことに興味があることを想定している。

 アメリカはシリア戦争の根源だ

 早くも2007年、本物のジャーナリストが、イランと同盟国シリアを傷つけようとして、アルカイダのようなテロ組織とつながる反対派を強化するアメリカ計画を警告していた。

 ピューリッツァー賞を受賞したジャーナリスト、シーモア・ハーシュは、2007年のニューヨーカー記事、リダイレクション: 政権の新政策は、対テロ戦争で、我々の敵に役立っているのだろうか?」が、シリアとより広い地域両方を待ち受けていたこことの、不吉ながら、極めて明確な警告になっていた。

 ハーシュはこう警告していた。

アメリカは、イランとその同盟国シリアを狙った秘密作戦にも参加していた。これらの活動の副産物は、イスラムの好戦的構想を奉じ、アメリカと対立し、アルカイダに同情的なスンニ派過激派集団の強化だった。

 記事は、名指しでムスリム同胞団に言及し、既にブッシュ政権が、シリア内の集団につぎ込み初めていた具体的なアメリカ支援について記述していた。

 同胞団は、アルカイダとの直接つながっていて、2011年の「アラブの春」とされるものの震央にいた過激派のフロント組織だ。2011年以降、 それからオバマ政権下で、 アメリカによる支援が、財政的、軍事的支援のかたちで続いた。

 ニューヨーク・タイムズの「CIAからの支援でシリア反政府派への武器空輸拡大」のような記事が、破壊的な戦争に拍車をかけるため、アメリカから何十億ドルもの価値に相当する武器がシリアに流入していたのを認めている。

 シリア紛争は、政府と「穏健反政府派」の間で戦われているという欧米メディアの主張にもかかわらず、戦争初年度に、アメリカ国務省自身が、アルカイダが戦場で、既に支配的地位を確立していることを認めていた。

 アルカイダ関連団体、ヌスラ戦線を外国テロ組織と指定する国務省自身のウェブサイト公式声明で、こう認めていた。

2011年11月以来、ヌスラ戦線はダマスカス、アレッポ、ハマ、ダラ、ホムス、イドリブやデリゾルを含む主要都市で、40以上の自爆攻撃から小火器や即席爆発装置作戦にまで及ぶ約600回の攻撃を主張している。これら攻撃で多数の無辜のシリア人が殺害された。

 アメリカとその同盟国が「穏健反政府派」に何十億ドルにも値する兵器や機器を提供していたのなら、一体誰が、戦場を独占することができるようにした更により多くの兵器と装置をヌスラ戦線がに提供したのだろう?

 アメリカは、外国でのほぼ全ての他の侵略戦争でしていたのと同様、武器を与えた連中の本性について嘘をついていた。そもそも最初から、シーモア・ハーシュのようなジャーナリストが警告した通り、シリアに対する政権転覆代理戦争を行うため、意図的に、過激派を援助し武装させた。

 消防士ではなく、放火犯

 シリアに関し、アメリカは対立を終わらせるための本物の努力は何もしていない。対立の間じゅうアメリカは、最初は東シリア侵略と占領を正当化するため「ISISと戦う」ことから、徐々に「偶然にも」既にシリア領内で活動していた部隊で、シリア政府そのものに対する直接米軍介入を正当化する方向へと、終始その戦争宣伝を調節し続けてきた。

 2015年以降、ロシア介入後、直接のアメリカ軍事介入は引っ込められ、シリアの「クルディスタン」に関する持続不能な言説が萎え、アメリカによる占領は東シリアに限定されている。

 今日、我々はアメリカが、依然、シリア領土の非合法で擁護できない占領を正当化しようと試みているのを見ている。シリアと同盟国は、撤退し、平和と安定をシリアの国とその国民に戻して、紛争が最終的に終わることを可能にする多数のメンツを保てる機会をワシントンに提供しようと試みた。

 早くも2007年、シーモア・ハーシュのような非常に真面目なジャーナリストが、アメリカが意図的に画策したのを明らかにしたシリアの危機に対して、アメリカは「解決」の一部であるような姿勢を取り続けている。

 悔悟しない放火犯が自分が点けた火事を消そうとしないのと全く同様、アメリカは自身で始めた紛争を解決する努力をするはずがなく、アメリカは、この時点で、紛争を終わらせる、いかなる真摯な願望も示していない。

 シリア油田に居すわるのは、国に燃料を供給し、再建に資金供給するのに必要な自身の資源のシリアによる利用を妨げ、シリア戦争を一層長く引き延ばすために使われるもう一つの意図的戦術だ。

 アメリカは消防士どころか、消防士の仕事を邪魔する悔悟しない放火犯だ。欧米メディアが、アメリカが「なぜ」シリアに、しかも、シリア油田にいるのかという基本問題にさえ対処できないほど、アメリカ外交政策は、あからさまに悪性になった。

 シリア戦争中、終始事実だったのと全く同様、現在のアメリカ政策が維持できない状態を、現地で根気よく作りつつあるシリアと同盟諸国が、ワシントンを更に後退するよう強いて、アメリカの企みは挫折させられるだろう。

 一方、この戦争の起源の真実をさらし、それに責任ある人々が「和平調停者」や「保護者」のふりをして、更に引き延ばししようとするのを阻止する継続的な取り組みが不可欠だ。もしアメリカが「和平調停者」や「保護者」になりすましたければ、シリアと同盟国は、彼らがそうするのを許すかもしれないが、結局シリアからの彼らの完全、無条件撤退の中で、面目を立ててやるに過ぎない。

 Tony Cartalucciはバンコクを本拠とする地政学研究者、著者。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。

記事原文のurl:https://journal-neo.org/2019/11/12/us-is-the-source-of-not-solution-to-syrian-war/

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 フランシスコ教皇長崎訪問を機会に、下記記事をお読みいただければ幸い。広島には原爆ドームが残ったが、長崎の浦上天主堂は撤去再建されてしまった不思議を解いた本『ナガサキ消えたもう一つの「原爆ドーム」』。翻訳記事「広島の神話 責任を負わない戦争犯罪とアメリカ軍の歴史の嘘」の末尾で触れた。

 普通に考えれば、大本営広報部の幇間のたわごとではなく、日刊ゲンダイDIGITAL 11/23記事が真実だろう。

平気で嘘をつく安倍首相 驕りではなくイカれているのだ

 そして、植草一秀の『知られざる真実』11月23日記事

桜を盾に売国日米FTAを断固阻止するべきだ

 想像していた通り、属国二国、宗主国の強烈な圧力には逆らえない。大本営広報部は、韓国だけが、屈伏したかのようなエセ呆導。おめでたい連中ではなく、共犯者たち

 孫崎享氏の今日のメルマガ題名

「GSOMIA米国務省・国防省・議会の三重圧力で急旋回…青瓦台、失効6時間前に発表」 22日米国上院GSOMI継続要請の超党派決議案。ポンペオ国務長官は、韓国外交部長官と の電話会談。統合参謀本部議長も訪韓。韓国メディアも対米配慮で破棄反対論展開。

 敵を間違えてはいけない。今こそ、両国市民の、両国マスコミの交流が必要だろう。

日刊IWJガイド「GSOMIA継続発表の韓国で、日韓メディア労組が交流、25日ソウルでシンポジウム開催!! IWJは本日24日、明日25日『日本マスコミ文化情報労組会議(MIC)』訪韓に同行取材・中継配信!」 2019.11.24日号~No.2628号~

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