釈放されたルーラ、激怒するボルソナーロ
Danica Jorden
2019年11月11日
openDemocracy
憲法裁判所裁定により、ルーラが暫定的に釈放された。かなりのブラジル国民が喜びと希望でニュースを歓迎した。だがボルソナーロは激怒で反応し、彼を「有罪の人間のかす」と呼んだ。
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2019年11月8日金曜、元ブラジル大統領ルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルヴァがクリティバの刑務所から出所し、多くが一年以上半前に彼が拘置所に収監されて以来、キャンプをしていた支援者の群集に歓迎された。翌日、苦難と過去の咽喉癌手術によるかすれ声で、ブラジル、サンパウロの自動車産業の首都で、労働運動の中心、サンベルナルド・ド・カンポに集まった何千人も前に、ルーラは45分演説した。事務所が演説の背景幕を提供した金属労働者組合の深紅のTシャツを多くの人々が着ていたため、赤の海状態だった。
ブラジル最高裁判所は、最終的に、ブラジル憲法に反して、彼の上訴が受理される前に、ルーラが不当に投獄されたことを認めるよう強いられた。彼が大統領に復帰すべく立候補を発表したのとちょうど同じ時に、元大統領は海岸に面したマンションを賄賂として受け取ったかどで告訴された。超保守派ヤイル・ボルソナーロが大統領になり、彼は早々有罪とされ、汚職のかどで12年の刑を宣告された。
だがマンションは建設さえされておらず、ルーラは海岸から離れた、その背後のビルのより簡素なマンションを買っていた。 にもかかわらず、セルヒオ・モロ裁判官は、ルーラを有罪と裁決した。その後モロは、ボルソナーロ大統領に法務大臣に任命された。2019年6月、グレン・グリーンワールドと、インターセプト・ブラジルのデイビッド・ミランダはデルタン・ダラニョール主任検事とモロの間の「不適切で道義に反する策謀」を示す「秘密書類の膨大な山」を公表した。
元ブラジル大統領ルーラの有罪判決は彼の2018年大統領選出馬を防ぐのが狙い
ルーラは戦い続ける上で元気いっぱいだと語った。金曜夜、彼はソーシャル・メディアで言った。
「この国で起きている狂気からブラジルを解放するのを私は自由に手伝える。」
土曜、支援者に彼を慕わせる共感を示して、刑務所で「友達を作り」、復帰のために自身「精神的に準備する」のに役立ったと彼は言った。
仕事の事故で指を失った手で2つの不具合なマイクを切り替えて、彼はブラジルの貧しい北東のつつましい出自と、組合と労働者の団結が与えてくれた機会を説明した。
「私はグラニウス市で生まれました。私は7歳の時そこを出てサンパウロに来ました。私は文盲に生まれ、亡くなった母親と父親に育てられました。1979年以来、私はいつも、私の政治的進化は、この国の働く男性と女性の政治的進化の産物だったと言っています。全て文盲のまま亡くなった母親と組合のおかげです」と言って、政治学と経済学の講座を受けた金属労働者組合本部を指し示した。
憎悪や復讐の必要性から解放され「580日間の独房監禁で、精神的に自分を準備しました」。「私と同じように明らかな良心でモロが眠れるのを疑います。ボルソナーロが私と同じように明らかな良心で眠れるのを疑います。私は仕事を破壊し、ブラジル国民の企業を破壊したグエデスという名の、夢を潰した責任がある大臣が、私と同じように明らかな良心で眠れるのを疑います。私は帰ってきたと彼らに言いたいと願っています!」
シカゴ大学で教育を受けたパウロ・グエデス経済大臣は、投資と国の年金基金における何億ドルもの損失に関し、2018年から詐欺のかどで調査中だ。
ルーラはリオ議員マリエル・フランコ暗殺の適切な捜査を呼びかけ、こう発言した。
「リオデジャネイロで、ボルソナーロは、軍人ではなくブラジル国民のために統治すべく選出されたことを理解する必要があります。我々はこれら軍人が我が国を破壊するのを許してはなりません。」
現大統領ボルソナーロは「この一時的に釈放されたが依然有罪のくずには弾薬を与えない」よう支持者に注意し、ルーラがまだ無罪と認められていないことを想起させた。
記事原文のurl:https://www.opendemocracy.net/en/democraciaabierta/lula-free-bolsonaro-rage/
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ブログ「私の闇の奥」記事「ルーラ・ダ・シルヴァ、お帰りなさい」を拝読して、この釈放の話題に気がついた。
敵はさるもの、ひっかくもの。大本営広報部が「サクラを見る会」に注意を集中させている中、「日米貿易協定」締結やら「カルト大学」設置承認が進んでいる。
日刊IWJガイド「『桜を見る会』疑惑の裏、日米貿易協定が衆院通過へ! 米国益となる世紀の不平等条約を安倍政権は最優先!!」2019.11.15日号~No.2619号~
植草一秀の『知られざる真実』の最新記事も、日米FTAについて、同様の趣旨のことを書いておられる。
岩波書店の月刊誌『世界』2019年12月号は、特集が二つ。「特集1:気候クライシス」「特集2:難民を追いつめる日本」。このうち〈難民「仮放免」者座談会〉を読んで驚いたところだったが、更に酷いニュースもある。
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