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2019年11月21日 (木)

エボ万歳! モラレスは打倒されたが、ボリビア社会主義は持続するだろう

2019年11月13日

「EVO YES」 - 落書きで汚されている(写真:Andre Vltchek 2019年)

Andre Vltchek
21st Century Wire

 彼らはそうすると誓い、彼らは実行した。ボリビアの封建領主やマスコミ大立者や他の背信的「エリート」連中は、政府を打倒し、希望を壊し、かつて南米で最貧国の一つだった国で極めて成功していた社会主義過程を中断させた。

 いつの日か彼らは、自身の国にのろわれるだろう。いつの日か彼らは、扇動のかどで裁判を受けるだろう。いつの日か彼らは、誰が彼らを訓練したのか、誰が彼らを雇ったのか、誰が彼らを意気地なしの獣に変えたのかを明らかにしなければならないだろう。いつの日か! 願わくば、すぐさま。

 だが今、国民に繰り返し選出されたボリビアの正当な大統領エボ・モラレスは最愛の国を去った。彼は、美しい手を差し出し、彼に政治亡命与えた友愛の国メキシコに遥かアンデスを越え飛んでいる。

 これが今だ。ラパスの目を見張る道路は煙で覆われ、兵士だらけで、血で汚れている。人々が行方不明になっている。彼らは拘留され、打ちすえられ、拷問にかけられている。手を背後で縛られ、壁に面して、ひざまずいている先住民の男性や女性の写真がソーシャル・メディア上で流布し始めている。

 子供用の遊園地や、かつて赤貧だった共同体を優雅なケーブルカーが結んでいる最近まで希望の場所だったエルアルトは、今や地元の息子や娘たちを失い始めている。戦いは過熱している。人々が、圧制者たちに旗を持って突進し、死んでいる。

 内戦、あるいは、より正確には、社会主義存続のための戦争、社会正義のための、先住民のための、帝国主義に対する戦争だ。人種差別主義に対する戦争。ボリビアのための戦い、植民地前の素晴らしい文化のため、暮らしのための戦争だ。パリやワシントンやマドリッドで見られるような暮らしではなく、アンデスあるいは南米の雨林深くで見られる暮らしだ。

 エボ・モラレスの遺産は明白で、理解するのは容易だ。

 政権を握っていたほぼ14年の間に、ボリビアのあらゆる社会的指標は急上昇した。何百万人もが貧困から救い出された。何百万人もが無料医療、無料教育、政府補助住宅や、インフラ、比較的高い最低賃金の恩恵を受けたが、スペイン人コンキスタドール、征服者の子孫や、ヨーロッパ人金採掘者たちの不正で無情な「エリート」に支配されてきた、この歴史的に封建制の国の過半数を占める先住民に返された誇りからも恩恵を受けた。

 無料医療を待つラパス市民(写真クレジット:Andre Vltchek 2019年)

 エボ・モラレスはアイマラ語とケチュア語を、スペイン語と同等の公式言語にした。彼は征服者の言語を使う人々と、これらの言語で会話する人々を同等にした。彼は素晴らしい土着文化を本来の位置に高め、それをボリビアの、地域全体のシンボルにした。

 (「一時的に」権力を奪取したが、それでも徹底的に違法な、ヨーロッパ風容貌のハニーネ・アニェスの周囲に再び現われた十字架をご覧願いたい)キリスト教の十字架へのキスがなくなっていた。その代わりに、エボは、ユネスコによれば「南アンデスと、更に広範囲を支配し、西暦500と900年の間にその絶頂に達していた強力な古代帝国の首都」ティワナクに、最少年一回は旅したものだった。そこは彼が精神的平和を求めた場所だ。そこは彼のアイデンティティの出所だ。

 欧米植民地主義者や帝国主義者文化、残忍な資本主義崇への畏敬はなくなっていた。

 これは、いにしえの深く根ざす新世界だった。ここに南米は再編成していたのだ。ここでも、コレアのエクアドルでも、コレアと彼の信念は裏切り者モレノに粛清され、追い出された。

 さらにまだある。クーデター前、ボリビアは経済破綻で苦しんではいなかった。経済は極めて順調に行っていた。経済は拡大し、安定し、信頼でき、自信に満ちていた。

 巨大ボリビア企業の所有者さえ、もし彼らが、いささかでもボリビアとその国民を思いやっているのであれば、大喜びする無数の理由があったのだ。


 モラレス下で成功したインフラ計画には、ラパスをエルアルトと結びつけるケーブルカー・ネットワークもある(写真:Andre Vltchek 2019年)

 だがボリビア財界は、実に多くの他の中南米諸国同様、唯一無二の「指標」に取りつかれている。「一般市民より、どれだけ上にゆき、どれだけ稼げるか」。これは植民地主義者の古い心理、封建制の、ファシストの心理だ。

 何年も前、ラパスで私は上院議員でマスコミ所有者の古い家族に晩餐に招待された。私が誰か知ているにもかかわらず、恥も恐れもせず、公然と彼らは話した。

 「我々はこの先住民野郎を追い出すつもりだ。奴は自分を誰だと思っているのだ? 1973年にチリでしたように、そして今ベネズエラでしているように、その過程で我々が何百万ドルも失なおうとも、我々はやるつもりだ。我々の秩序復活が最優先事項だ。」

 こうした人々を説得する方法など皆無だ。彼らをなだめるのは不可能で、押しつぶし、破るしかないのだ。ベネズエラ、ブラジル、チリ、エクアドル、あるいはボリビア。彼らはアルベール・カミュが書いた小説『ペスト』、有名なファシズムのシンボルの伝染病のよう、ネズミのようだ。彼らは隠れることができるが、決して完全に姿を消さない。彼らはいつでも、通告無しで、どこかの幸福な都市を侵略する用意ができている。

 彼らのルーツは欧米にあるので、彼らは常に欧米に協力する用意ができている。彼らはまさに北米の帝国主義者のように、ヨーロッパの征服者のように思考する。彼らは二重国籍を持ち、世界中に家がある。彼らにとって、中南米は単に、暮らし、自然の資源を略奪し、労働を搾取する場所に過ぎない。彼らはここで強盗し、他の場所で金を使う。どこか余所で子供を教育し、どこか余所で手術を(整形も、普通の手術も)受ける。彼らはパリでオペラ劇場に行くが、決して自国では原住民と混じらない。たとえ何らかの奇跡で、左翼に加わっても、それは決してヨーロッパ以外の国々の本当の反帝国主義革命左翼ではなく、北アメリカやヨーロッパのアナルコ・サンディカリスト左翼だ。

 彼らは自国の成功を必要としていない。彼らは偉大な繁栄するボリビア、全国民のためのボリビアを必要としていないのだ。

 彼らは繁栄する企業だけが必要なのだ。彼らは自分の家族と一族のため、彼らの山賊グループのため、彼ら自身のために金、利益を欲している。彼らは崇拝され、「例外的で」、優位にあると考えられるのを望んでいる。誰も聞いていない時、彼らが先住民をそう呼ぶ「汚いインディアン」との大きなギャップなしでは生きられないのだ!

 モラレス大統領時代に完成した多くの業績の一つ、エルアルトの大規模公営住宅プロジェクト(写真:Andre Vltchek 2019年)

 それが、今そうし始めているように、ボリビアは戦い、自身を守るべき理由だ。

 もしこれが、エボと彼の政府に起きていることが「終わり」なら、ボリビアは数十年後退するだろう。再び、あらゆる世代が、水も電気も無し、希望無しで、土から作られた田舎の小屋で、絶望で、生きたまま朽ち果てるだろう。

 「エリート」は今平和について話をしているが、一体誰のための「平和」だろう? 彼らのためだ! エボ以前にあった平和だ。金持ちはゴルフや買い物で、彼ら最愛のマイアミやマドリッドに飛ぶことができるが、国民の90%がいじめられ、恥をかかされ、侮辱される「平和」。私はその「平和」を覚えている。ボリビア国民はもっと良く覚えている。

 私は90年代に数年間隣国のペルーで内戦を報道し、しばしばボリビアに入った。私はそれについての小説 「Point of No Return 後戻りできない場」を書いた。全く恐ろしいものだった。私はコンサートや、きちんとした場所で、一杯のコーヒーを飲むために現地カメラマンを連れて行くことさえできなかった。彼らが先住民チョロ(インディオやメスティーソを指す言葉)だったから。自国内では、とるにたらない人なのだ。それはアパルトヘイトだった。もし社会主義が復帰しなければ、再びアパルトヘイトになるだろう。

 数カ月前、私が最後にボリビアに行った時、それは全く違う国だった。自由で、自信に満ちていた。衝撃的だった。

 私がボリビアとペルーで四半世紀前に見たものを思い出して、私は、はっきり決定的に宣言する。「このようなエリートに提案される「平和」など、くそくらえ」!

 もちろん、これは欧米マスコミは、少しも言及しない。私はニューヨーク・タイムズからロイターに至るまで彼らをモニターしている。アメリカ、イギリス、そしてフランスさえ。彼らの目は輝いている。彼らは興奮を隠すことができない。陶酔感を。

 ニューヨーク・タイムズは、アメリカが計画した1965-66年のインドネシア軍事クーデターも、あるいは1973年9月11日のチリ大虐殺も祝っていた。

 予想通り、今はボリビアだ。欧米中いたる所で大きな微笑。再三再四、OAS(米州機構)の「調査結果」は、事実であるかのように引用されている。西側の権益、特にワシントンの権益に全く従属的な組織の「調査結果」を。

 こう言っているかのようにだ:「クーデターをした連中が、それは実際に起きていないと言っているのだから、我々はクーデターが行われなかった証拠がある。」

*
 11月10日、パリのレピュブリック広場の真ん中で、背信的なボリビア人の大群衆がエボの辞職を要求して集まった。私はこの人々を撮影し、写真を撮った。私は、この場面を、子孫のために持っていたかったのだ。

 彼らはフランスに住んでいる、彼らの忠誠心は欧米に対するものだ。他の人々は、先住民だが、一部はヨーロッパ血統でさえある。

 精力的に彼らの元母国を破壊するために働いて、アメリカとヨーロッパに住んでいる何百万人ものキューバ人、ベネズエラ人、ブラジル人がいる。彼らは新しいご主人を喜ばせるため、儲けるため、さまざまな他の理由でも、そうしている。

 これは平和ではない。中南米だけでも既に何百万もの命を奪った酷い残忍な戦争だ。

 この大陸で、富は地球上最も不公平に分配されている。何億人もの人々が窮乏で暮らしている。一方、他の連中、ボリビア封建制の人間クズの息子や娘が、欧米に仕えるため、知的に条件付けされるべく、ソルボンヌやケンブリッジに通っている。

 私は毎回繰り返すが、まともで誠実な政府が人々によって民主的に選出されるたびに、誰かが、この緊急状況を改善するため素晴らしい解決策や堅実な計画を発明するたびに、時計はカチカチいい始める。そうした指導者は何年も(時には数カ月も)もたない。彼や彼女は殺されるか、打倒されるか、屈辱を受け、権力の座から無理やり追放されるのだ。

 その国はそれから、最近(モレノ下で)エクアドル、(マクリー下で)アルゼンチン、(ボルソナーロ下で)ブラジルに起こったように、文字通り最低のものに戻る。残忍な現状が維持される。何千万人もの生活が破壊される。「平和」が戻る。欧米政権と、その従僕のために。

 そこで、レイプされた国が痛みで叫ぶと、無数の国際NGOや国連政府機関や資金団体が、突然「難民に手を貸し」、「女性に権利を与える」べく子供を教室に入れたり、栄養失調と空腹感と戦うと決めたりするのだ。

 もし自国民に奉仕する選出された政府が、そっとしておかれれば、本物の平和の状態で残されていれば、このどれも必要でないはずなのだ!

 この全ての病んだ感傷的偽善をマスコミは決して公に論じない。進歩的な中南米の国(そして世界中の多数の他の国々)に浴びせられる全ての欧米テロはもみ消される。

 もうたくさんだ!

 中南米は、再び目を覚ましている。人々は憤激している。ボリビアでのクーデターは抵抗に会うだろう。マクリー政権は倒れた。メキシコは慎重に社会主義の方向に進んでいる。チリは社会主義を取り戻したいと思っている。1973年、軍靴に押しつぶされた国が。


 母と子:何世紀もの中で初めて、モラレスが、先住民ボリビア人を社会の中の平等な一員として威厳を持って生きることを可能にした(写真:Andre Vltchek 2019年)

 人々の名において、素晴らしい先住民文化の名において、大陸全体の名において、ボリビア国民は今抵抗し、ファシスト、親欧米勢力と対決して奮闘している。

 革命的な言語が再び使われている。それはパリやロンドンでは時代遅れかもしれないが、南米ではそうではない。ここでは、それが重要なのだ!

 エボは負けなかった。彼は勝った。彼の国は勝った。彼の指導の下、ボリビアは素晴らしい国になった。希望に満ちた国、パトリア・グランデ(大祖国)至る所の何億人もの人々に大きな希望を与える国になった。リオグランデ川の南にいる全員それを知っている。彼に亡命を認めた素晴らしいメキシコも、それを知っている。

 エボは勝った。それから、彼は背信的な軍、背信的な財界凶悪犯、封建制土地所有者、ワシントンに追い出された。エボと彼の家族と僚友は、自身をキリスト教徒と呼ぶ極右の準軍事組織リーダー、ルイス・フェルナンド・カマチョに残忍に取り扱われ、彼の部下の男女にも残忍に取り扱われている。

 ボリビアは戦うだろう。ボリビアは彼が属する場所、大統領官邸に正当な大統領を連れ帰るだろう。

 エボを北のメキシコに運ぶ飛行機は、実際は、彼をボリビアに連れ返るのだ。それは実に大きな迂回だ。何千キロメートル、何カ月も、多分何年も。だが飛行機が離陸した瞬間から、ラパスへと戻る壮大な叙事詩的な旅が始まったのだ。

 ボリビア国民は彼らの大統領を決して見捨てるまい。エボは永久に彼の国民とつながっている。ボリビア万歳!なんてこった!

***

 Andre Vltchekは哲学者、小説家、映画製作者と調査ジャーナリスト。彼の21WIREアーカイブをここで見る。彼は多数の国で、戦争と紛争を報道している。彼の最新刊の4冊は、ジョン・B・カブ・ジュニアと共著の『China and Ecological Civilization』、『Revolutionary Optimism, Western Nihilism』、革命小説『オーロラ』と、ベストセラーの政治ノンフィクション『Exposing Lies Of The Empire』。彼の他の本をここで見る。ルワンダとコンゴ共和国に関する彼の画期的なドキュメンタリーRwanda Gambitや、ノーム・チョムスキーとの対談本『On Western Terrorism』((日本語翻訳版は チョムスキーが語る戦争のからくり: ヒロシマからドローン兵器の時代まで)を見る。Vltchekは現在東アジアと中東に住み、世界中で働いている。彼のウェブサイトツイッターで連絡を取ることができ、Patreonで彼を支援できる。

記事原文のurl:https://21stcenturywire.com/2019/11/13/viva-evo-morales-overthrown-but-bolivian-socialism-will-endure/

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 女優薬物騒動は報じるが、ボリビア・クーデターの本格的な報道などあるのだろうか?相撲の合間に流れる大本営広報部呆導しか見ていないが。ホンジュラス・クーデター時も、まともな報道、全く記憶にない。最近の相撲、世代交代時期を感じる。相撲は、一定程度実力を反映する。宗主国では、政治支配は実力と無関係。宗主国に貢げば、最悪のウソツキでも延々居座りさせ、宗主国に不都合なら、なんとしても打倒する。

日刊IWJガイド「『桜を見る会』前夜祭に関する安倍総理の虚偽説明が発覚! さらに総理とホテル・ニューオータニの裏取引疑惑も!」2019.11.21日号~No.2625号~

 明日のインタビューは興味深い。

参院文教科学委員会で参考人4人全員が英語民間試験導入に否定的意見を陳述! 明日午後5時半より5日の衆院文部科学委員会で文部省の作業部会を「自作自演」と批判した国立京都工芸繊維大学・羽藤由美教授に岩上安身がインタビューします!

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コメント

貴重な記事の翻訳、いつもありがとうございます。
ネトウヨなら、「こいつはコミンテルンの工作員だろ」とか言いそうですが、私はヴルチェク氏の言う通りなんだろうなと思いました。
歴史は繰り返すといいますが、いま世界で起こっていることは、3500年ぐらい前からインドで起こったことの、現代版の拡大された繰り返しなんじゃないかと思えてきました。
日本人は戦前から「名誉白人」とおだてられて、今でもなんとかその地位を維持したいと願う向きも多いんでしょう。相変わらず欧米追従を続けていますが、そのうち用済みになったら容赦なく棄てられる運命なんではないかなと思うんですけどね。「狡兎死して走狗烹らる」という言葉もありますし。
(ところでさっき送信ボタンを押そうとした瞬間に、ブレーカーも落ちてないのに停電して真っ暗に・・・・なんか薄気味悪いな。)

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