アメリカは社会主義の用意ができているのだろうか?
Finian Cunningham
2019年10月13日
Strategic Culture Foundation
一部の民主党政治家の間で、一見より左翼的な政策が現れていることと、社会的、経済的平等に関する普通のアメリカ国民の一層急進的な意識に関して、Strategic Culture Foundationは、アメリカのコリン・S・キャヴェル政治学教授と下記インタビューを行った。
社会主義に向かって生じている、大衆の方向転換に対するアメリカ支配階級の不安を漏らすかのように、共和党のドナルド・トランプ大統領は「悪い社会主義」という演説で、頻繁に非難している。
バーニー・サンダース、エリザベス・ウォーレンやトゥルシー・ギャバードのような民主党大統領候補たちは、何十年もの新自由主義政策を反転させて、裕福なアメリカ人や企業に対する累進課税を公然と要求している。アメリカの有権者は、ひと握りの億万長者が今や全人口の2分の1(1億6000万)より多くの富を持っているアメリカにおける、より急進的な富再分配と、とどまるところを知らない不均等に異議を申し立てる呼びかけに結集している。
キャヴェル教授は、アメリカ社会における社会主義運動に関する歴史的な観点から、アメリカ政治における現在の進展に関する意見を述べている。だが彼は、政治支配層と資本主義擁護の商業マスコミが、より公正な民主的社会に向かう、どんな運動でも妨害するべく熱心に活動していることを警告する。彼は冷戦時代の遺産が、アメリカにおける社会主義の発展を阻止していると言うが、この有害な反共産主義遺産が克服されつつある兆しもある。
インタビュー
質問: 民主党大統領候補バーニー・サンダースは、国民皆保険制度政策と金持ちの累進課税で労働者階級のアメリカ人から多くの支持を受けているように思われます。あなたはこれが普通のアメリカ人の間での社会主義政府に対する目覚めの前兆と思われますか?
キャヴェル: 新聞や文章や主流メディアの多くの調査に描写されている平均的な見方に対する私の理解では、大半のアメリカ国民は、社会主義が一体何かを、ほとんど理解しておらず、腹黒い資本主義政治家が語るものからの恐怖しかありません。
質問: なぜそうなのでしょうか?
キャヴェル: 資本主義国家とその支持者によって、一世紀、反共産主義と反社会主義プロパガンダされてきた後、大半のアメリカ市民の心中で、「社会主義」は邪悪な悪魔のような独裁者が、国民全員に損害を与え、個人の自由と個人的幸福を縮小させて、彼の個人的要求に合わせて、絶え間なく奴隷のように働くよう命令する、大変な責め苦の全体主義地獄なのです。
質問:アメリカ国民の間での、社会主義に関する世間一般の誤解に、あなたは何か変化をみておられますか?
キャヴェル: 100年間、絶え間なくこのようなたわごとを永続させた後、アメリカ国内のアメリカ人は、過去数十年間、1970年代以来の、他のものごとの逆転や、彼らの賃金や生活状況の低迷状態から、この煙幕を見破り始め、資本主義の有益さにまつわって繰り返される主張は、大多数の一般市民ではなく、資本家階級はいう小さな部分に役立つだけだとで結論したのです。それ故、彼らは全員のためのメディケア、つまり国民皆保険制度の実施、伝統的に、過去のアメリカ大統領や政治家に「社会医療制度」として軽蔑されてきたものを要求するサンダースや他の一層左翼の民主党員のような声を受け入れています。この用語に賛成の大半のアメリカ国民が理解しているのは、医療費が減るか、あるいは無料になるだろうということです。
質問: より広範な社会主義経済のための政策はいかがでしょう?
キャヴェル: 学生ローン累積債務危機が現在1.5兆ドル以上あり、少なくともアメリカ国民の6分の1、約4300万人の成人に影響を与えるのですから、高等教育機関の無料化、つまり大学教育を受けることに対しては、一般に強い支持がありますが、経済を「社会化する」ことに関する他のいかなる面についても、よく理解していません。まだ多くの人々の心の中では、より多くの教育が「より良い仕事」つまり、より多くの給料と福利の見込みを約束していることを考えれば、より多くの正式の教育と学位の獲得を通して自分自身を向上させようする傾向があります。
質問: 社会階級という概念はいかがでしょう。アメリカ人は、自分たちの社会・経済の不平等について、階級という言葉で考えているのでしょうか?
キャヴェル: 少なくとも公的メディアでは、めったに明確に表現されませんが、階級意識は、たいていの市民の中に存在しています。ところがアメリカは、まだ能力があって、一生懸命働く人々全員が出世し、「自助努力でやりとげることが」可能なことを保証する、階級から自由な国だと言われています。さらに大半のアメリカ市民は圧倒的多数が毎月の給料を使いきる生活をしており、緊急時の貯金がわずかか皆無なのにかかわらず、自分は「中産階級」メンバーだと信じています。だから、いいえです。自身の存在、機能、強さや力に気が付いた労働者階級は存在しないのです。もし本当の自由の感覚を享受したいのであれば、強制的に資本主義をひっくり返す自分たちの歴史的な役割に気が付いた労働者階級は存在していないのです。商品の消費者として享受するものを、彼らの自由と同一視しているのです。例えば、携帯電話、自動車、アパート、服、道具、ある種の食物。ローマ人が「パンとサーカス」と表現したもので、資本主義者が大衆を十分満足させることが可能である限り、彼らの支配は守られます。それで、現在の瞬間、普通のアメリカ市民が全員のためのメディケア(国民皆保険制度)の可能性と、全員のための大学教育(すなわち無料教育)を進んで受け入れます。それより先は、十分な仕事(つまり、5%以上の失業率)を提供しそこねているアメリカの経済の失敗だけが、平均的なアメリカ国民を、社会主義政府や社会主義社会を受け入れようにするでしょう。
質問:何十年以上前のアメリカ社会主義の先例、例えばユージン・デブスやヘイマーケット殉教者は一体何だったのでしょう?
キャヴェル: ユートピア社会主義コミュニティーは、19世紀早々アメリカに存在しましたが、1886年5月4日のイリノイ州シカゴでの抗議集会で、8人の無政府主義者が陰謀のかどで有罪宜告され、7人の労働者が死刑を宣告されて終わりました。このヘイマーケット殉教者が、労働者の力、無視できない力を呼び起こしました。この平和な労働者組織に対する攻撃を、国際労働の日として記念すべく、一日8時間就労という法律を実現するプロレタリアート階級的要求のため、世界中で、毎年5月1日、国際労働の日、あるいは国際労働者の日になったのです。
質問:それに続いた弾圧にもかかわらず、アメリカでは、国際社会主義にとって、なかなか注目に値するアメリカ遺産ですね。一世紀以上前に自称社会主義候補として大統領職に立候補したユージン・デブスの遺産はどうでしょう?
キャヴェル:1900年に、社会主義候補者ユージーン・V・デブスは、社会党大統領候補として立候補しました。デブスは、1904年、1908年、1912年と1920年、アメリカ社会党の大統領職候補者として立候補し続け、1920年の選挙運動では、デブスは当時刑務所で服役中でしたが、デブスは、ほぼ百万票を獲得したのです。1919年までに、アメリカ共産党(CPUSA)はマルクス主義志向の共産党の主要綱領を採用し、1950年-1954年、資本家連中が組織的に開始したマッカーシズム弾圧が、ゆっくりながら着実に、共産党とその支持者全員を弾圧し、1955年にAFLとのCIOの合併で終わるまで、労働組合CIOの労働争議で主役を演じました。社会主義の考えは、1950年代から1990年代まで、労働者や政治運動家に知識を与えてはいましたが、主にアメリカ社会の中で一定の自由を持っていた僅かな部分の一つ、学界に維持されました。現在、専門紙やジャーナルやウェブサイトが、多くの労働者指向の政党に維持されていますが、資本主義の主流マスコミが、彼らの言説や主張が、国民的な政治議論に、決して現れないようしているのです。
質問:言論の自由や独立メディアというアメリカご自慢の主張はもはやこれまでですね。あなたはアメリカ人が社会主義に賛成投票する近未来の可能性を想像されますか?
キャヴェル:私の願望は、このような可能性が現実になることですが、アメリカ政治とそれを行っている権力が、私がそのような可能性を楽しむのを思いとどまらせるというのが私の率直な評価です。資本主義階級が前世紀に何か実証していたとすれば、資本主義に代わるいかなる社会主義や共産主義の選択肢も鎮圧する準備があり、いとわないことです。
質問:バーニー・サンダースは有望な社会主義大統領候補でしょうか? バーニーでなければ、他にトゥルシー・ギャバードやエリザベス・ウォーレンの誰でしょう?
キャヴェル:私の意見では、もし大統領選挙が、いつもの、民主党、共和党両方、主流メディアなどの妨害や障害なしで今日アメリカで行われれば、バーニー・サンダースが楽勝でしょう。しかしながら、資本主義階級とそのあらゆる機構が、バーニーが決して民主党指名至らないようにするでしょうから、2020年の大統領職本選挙の候補者にはならないでしょうから、これは決して起こらないでしょう。
メモ:コリン・S・キャヴェルはウェストバージニアのブルーフィールド州立大学の終身在職権を与えられた政治学正教授。彼は2001年、アムハーストのマサチューセッツ大学から政治学で哲学博士号を取得。彼はかつて全米と国際的に、いくつかの高等教育機関で教えた。
Finian Cunninghamは主要報道機関の元編集者・記者。国際問題について多く書いており、記事は複数言語で刊行されている。
個々の寄稿者の意見は必ずしもStrategic Culture Foundationのものを意味しない。
記事原文のurl:https://www.strategic-culture.org/news/2019/10/13/is-america-ready-for-socialism/
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相撲は大波瀾。それが、一層興味深い。
公費で堂々と選挙違反行為をしている連中の屁理屈、通るのだろうか?夕方、相撲は録画し、下記田村議員インタビューを拝見する。
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